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米国株、ハイテク株急騰 S&P500週次上昇 エヌビディア最高値接近

S&P500は6週続伸で最高値。雇用統計と半導体株の急騰が追い風となった。大手ハイテク株の株価に過熱感はなく、楽観ムードは強い。

米国株、ハイテク株急騰 S&P500週次上昇 エヌビディア最高値接近 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場で強気が増している。S&P500種株価指数の8日の終値は1週間前比2.33%高で、約1年7か月ぶりの6週続伸。8日発表の4月雇用統計が米国経済の強さを示したことが追い風となった。また8日の取引では、アップルとインテルが半導体の供給について合意に至ったとの報道も好感され、半導体株が大きく上昇。NVIDIA(エヌビディア)の株価は3日続伸となって、約2週間ぶりの最高値が迫っている。S&P500が最高値を連発する中でも、大手ハイテク各社の株価に行き過ぎた割高感はみられず、さらなる上昇も期待できそうだ。一方、投資家心理を暗くしてきたイラン戦争をめぐっては、米国とイランの和平協議に目立った動きはなく、原油価格は高止まりが続いている状態。米国経済への悪影響がこれから広がるとの懸念は拭えない。ただ、ドナルド・トランプ大統領は14、15日の米中首脳会談に向け、交戦の激化は望んでいないもようで、当面の間は株式市場の楽観ムードが続く展開が想定される。

アメリカのS&P500は6週続伸の2.33%高 イラン戦争後11回目の最高値

S&P500(SPX)の8日の終値は前日比では0.84%高の7398.93。2月末のイラン戦争開始後としては11回目の最高値更新を果たした。ブルームバーグによると、週次での上昇(2.33%高)は、ホルムズ海峡開放への期待が出た3月30日-4月3日週から6週連続で、2024年9月上旬から10月中旬にかけての6週続伸に並ぶ記録となった。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

4月雇用統計は理想的な結果 インテルとアップルの関係強化報道で半導体株急騰

S&P500の上昇は8日朝に発表された4月雇用統計で勢いづいた。非農業部門の就業者数は前月比11.5万人増となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の6.5万人増を上回る結果。2月分と3月分のデータの見直しは合計1.6万人の下方修正に留まっている。また失業率は市場予想通りの4.3%になると同時に、平均時給の伸び率は前月比3.6%となり、市場予想(3.8%)を下回った。労働市場の強さが示されつつ、賃金上昇が物価上昇圧力として働く懸念も強めない理想的な結果だったといえる。

アメリカの雇用統計の推移のグラフ

また8日には人工知能(AI)ブームをめぐる好材料も浮上し、S&P500への追い風を強めた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8日昼、半導体の名門企業インテルとIT大手アップルが半導体供給について初期的な合意に達したと報道。インテル(INTC)の株価の8日の終値は前日比13.96%高となった。また8日の取引では、5日に示した業績見通しが好感されているアドバンスド・マイクロ・デバイセズAMD)も11.44%高の急騰。半導体株全体の上昇の勢いが止まらない状況となっている。

インテル、AMD、エヌビディアなどの株価の推移のグラフ

エヌビディアは3日続伸で最高値に接近 株価に過熱感みられず

こうした中、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価も好調だ。8日までの週次の値動きでは、テスラ(TSLA)が9.60%高となるなど、7社すべてが上昇した。株式市場でのAIブームを象徴する銘柄であるエヌビディア(NVDA)の8日の終値は前日比1.75%高の215.20ドル。3日続伸の末、週次では8.44%高となって、4月27日につけた最高値(216.61ドル)が近づいてきた。エヌビディアの株価は最高値直後の27日の取引時間終了後に報じられた対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIの業績不安が引き金となって、5月5日終値では196.50ドルまで下落していたが、強気が戻ってきたようだ。インテルとの合意が報じられたアップル(AAPL)も8日までの週次で7週続伸の4.70%高となっている。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

S&P500にとっては、ハイテク各社の株価が急騰する中でも、割高感の過熱がみられないことも安心材料だ。ブルームバーグのデータによると、エヌビディアの株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は8日段階で23.6倍で、最高値をつけた4月27日時点の26.1倍から低下。この間、株価が0.65%安となる一方で、予想1株当たり利益が9.9%増となっていることが要因だ。同じ期間では4月29日に市場予想を超える決算を発表したにも関わらず株価が下落しているメタ・プラットフォームズMETA)やマイクロソフト(MSFT)の予想PERも低下。アマゾン・コム(AMZN)の足元の予想PERも、株式市場でAIブームが本格化した2023年以降の平均値を下回っている。

マグニフィセント・セブンの予想株価収益率の推移のグラフ

イラン和平協議に進展なし 原油価格は高止まり継続

一方、イラン戦争をめぐっては和平実現の難しさも感じられる。米インターネットメディアのアクシオスは6日、米国とイランが戦争終結に関する覚書について協議していると報じたが、8日段階でも新たな進展はみられない。米中央軍は7日に米軍の艦船がイランからミサイルなどによる攻撃を受けたと公表。また6日と8日には、イランに入港しようとした合計3隻のタンカーの航行を阻止したとも発表している。ホルムズ海峡をめぐる緊張が解けない中、原油価格は高止まりが続いており、米国を含む世界経済にとっての逆風が続いている。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(6月渡し、WTI原油)の8日の終値は前日比0.64%高の1バレル=95.42ドルとなっている。

WTIの推移のグラフ

14、15日には米中首脳会談 半導体合意への期待でS&P500に上昇圧力も

ただ、トランプ氏は現段階ではイランとの交戦を激化させる意図はないようで、7日には米ABCの取材に対してイランとの停戦は維持されていると述べている。トランプ氏は14、15日に中国訪問と習近平国家主席との首脳会談を控えており、イランに対しては海上封鎖による締め付けで圧力をかけることを優先させているもようだ。トランプ氏の訪中は当初、3月31日から4月2日の日程で予定されていたが、トランプ氏がイラン戦争を理由に延期を申し入れていた

このため週明け11日以降のS&P500の見通しをめぐっては、AIブームへの期待とイラン戦争の落ち着きで、上昇圧力が維持されることが想定されそうだ。また、米中首脳会談に向けてエヌビディアの最先端半導体の中国向け輸出に関して前向きな動きが出れば、ハイテク株の上昇がさらに加速することも考えらえる。


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