米国株、強気に潜む不安 S&P500続伸 米中首脳会談やCPIが焦点に
S&P500は連日の最高値。半導体株の上昇が続いている。一方、イラン和平への期待後退は大手ハイテク株の上昇の一服感につながった。
アメリカの株式市場の強気にほころびが見えた。S&P500種株価指数の11日の終値は前週末比0.19%高で連日の最高値更新。人工知能(AI)ブームに沸く半導体株が勢いづいており、NVIDIA(エヌビディア)の株価は2週間ぶりの最高値に到達した。一方、イラン戦争での和平実現が遠のいたことは悪材料で、11日の取引では大手ハイテク株の値動きに一服感が出た。11日の金融市場では原油価格が4営業日ぶりの高値へと上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待が薄れていることが背景になっていそうだ。S&P500の今後の見通しをめぐっては、14、15日に行われる米中首脳会談が材料視され、大手ハイテク株の値動きに影響する可能性がある。さらに投資家の間では原油価格の高止まりが米国経済に及ぼす悪影響への不安は消えておらず、12日発表の4月の消費者物価指数(CPI)も焦点となる。想定以上に強い物価上昇圧力が示される波乱が起きれば、S&P500が最高値から転落するリスクも潜んでいそうだ。
アメリカのS&P500は0.19%高 2営業日連続で最高値更新
S&P500(SPX)の11日の終値は7412.84。前週末の0.84%高に続く値上がりで、2営業日連続での最高値更新となった。ブルームバーグによると、S&P500は米国とイランの和平への期待が高まり始めた3月末から上昇傾向が強まっており、11日終値は3月30日の安値(6343.72)との比較では16.85%高にあたる。
エヌビディアは2週間ぶり最高値 インテルやクアルコムも急騰
S&P500の11日の値上がりを後押ししたのは半導体株の上昇だ。AI開発に不可欠な高性能半導体を供給してきたエヌビディアの株価(NVDA)は11日終値で前日比1.97%高の219.44ドルとなり、4月27日(216.61ドル)以来、2週間ぶりの最高値を更新。4営業日続伸の間に11.67%高となっている。また半導体の名門企業のインテル(INTC)の株価も11日に3.62%高となり、前週末の13.96%高の勢いが衰えていない。株価上昇が出遅れていたクアルコム(QCOM)も11日に8.42%高となり、5営業日続伸の間に41.07%高となっている。
米国とイランの和平への期待は後退 トランプ氏がイランからの提案を批判
一方、11日のS&P500の値動きにはイラン戦争をめぐる思惑が悪材料になった。ドナルド・トランプ大統領は11日、記者団に対して、イランとの和平協議の現状は弱々しいものだとし、「大がかりな生命維持装置がとりつけられた状態だ」と言及。イランが核兵器を持たないことに同意していないことに不満を示した。トランプ氏はこれに先立つ10日夕方、自身のSNSのトゥルースソーシャルへの投稿で、和平協議についてイランから返答があったことを明かし、内容について「まったく受け入れられない」としていた。
イラン国営メディアによると、イラン外務省報道官は11日、週次の定例記者会見でイランが仲介国のパキスタン経由で米国に和平に関する提案を送ったことを認め、内容について、イランの国益だけでなく、中東や世界にとっての安定や安全も踏まえた「寛大な提案」だとしている。S&P500は米国とイランが終戦に向けた覚書について協議しているとの6日の報道が追い風となっていたが、両国間の溝の深さが示されたことで、見通しへの楽観は後退したといえそうだ。
マグニフィセント・セブン指数は5営業日ぶり下落 アルファベットなどが下落
こうした中、11日の取引では、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価の上昇に一服感が出た。アルファベットの株価(GOOGL)の11日の終値は前週末比3.03%安で、最高値から転落。メタ・プラットフォームズ(META)が1.77%安、アマゾン・コム(AMZN)が1.35%安となるなど、7社中の5社が値下がりしている。7社の株価に基づいてBITA社が算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は11日に0.28%安となり、5営業日ぶりに下落した。
WTIは4営業日ぶりの高値 FRBは年内利上げの可能性も
大手ハイテク株の値動きの背景には、イラン和平への期待後退で、原油価格が上昇していることがある。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(6月渡し、WTI原油)の11日の終値は前週末比2.78%高の1バレル=98.07ドルで、4営業日ぶりの高値。取引時間中には100.37ドルまで上昇する場面もあった。原油高がもたらす物価上昇圧力は、S&P500への追い風として期待されるFRBの利下げを遠のかせる要因だ。
金融市場では株式市場の期待とは裏腹に、年内の利上げすらも見込まれている。ブルームバーグによると、11日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.692%で、現状(3.50-3.75%、中間値3.625%)よりも高い。年内利上げ確率は24%と見込まれている。
米中首脳会談は大手ハイテク株に影響も 4月CPIでの物価上昇圧力にも懸念
S&P500の今後の見通しをめぐっては、14、15日に北京で行われるトランプ氏と習近平国家主席の首脳会談に注目が集まる。ブルームバーグによると、トランプ氏が率いる訪中団には、アップル(AAPL)のティム・クックCEOやテスラ(TSLA)のイーロン・マスクCEOが同行。一方、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは訪中団のメンバーから外れたという。3社はいずれも生産や販売で中国との関わりが深く、会談後の情報発信が株価の値動きに影響を与えることも考えられる。
さらに原油価格の高止まりは、12日午前8時30分(日本時間12日午後9時30分)に発表される4月CPIの重要度を高めている。ブルームバーグによると、総合指数の伸び率は前年同月比3.7%となり、前月(3月)の3.3%からさらに物価上昇が加速する見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.7%となり、やはり前月(2.6%)よりも高くなると見込まれている。発表される結果が市場予想を上回り、物価上昇圧力の強さを感じさせれば、イラン戦争の実体経済への悪影響が想定以上に大きいとの懸念を膨らませ、S&P500にかかる下落圧力が増す展開も想定されそうだ。
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