アーム、急騰株価に急落リスク 6日決算 強気の成長見通し示せるか
アーム・ホールディングスの2026年1-3月期決算発表は4-6月期の見通しが焦点。1か月で7割超の急騰をみせた株価の急落も懸念される。
英半導体大手アーム・ホールディングスが6日に行う2026年1-3月期決算発表は強気な業績見通しを示せるかが焦点だ。アームは3月下旬に自社製半導体の販売に参入すると発表し、株価が発表前から7割超急騰する場面も出た。一方、1-3月期の業績は総収入と利益の成長がともに減速するという冴えない内容になるとみられ、4-6月期について投資家を驚かせるほどの高い成長見通しを示さなければ、株価が急落に見舞われる可能性がある。実際、アームの株価には脆さも目立ち、28日の取引では対話型人工知能(AI)サービスChatGPTで知られるオープンAIの業績不安をめぐる報道を受けて、株価が急落した。アームの自社製半導体事業が業績を押し上げる効果の実現には時間がかかるとみられ、急騰した株価がさらなる下落に見舞われる展開も想定されそうだ。
アームの2026年1-3月期決算は総収入と利益の成長が減速する見通し
アームはアメリカ東部時間5月6日午後5時(日本時間7日午前6時)から決算会見を開く。ブルームーバーグがまとめた事前予想によると、アームの1-3月期決算は総収入が前年同期比18.5%増の14.71億ドルになる見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は5.5%増の0.58ドルと見込まれている。予想通りになれば、総収入と1株当たり利益の伸び率は、いずれも2四半期連続で前四半期から低下する。アームは2023年9月14日に米ナスダック市場に米国預託証券(ADR)を上場し、これまでに10回の四半期決算を発表。実績が市場予想を下回ったのは、総収入と1株当たり利益ともに2025年4-6月期のみだ。
アームの株価は前回決算発表から89.37%高 最高値も更新
アームの株価(ARM)の28日の終値は198.65ドルで、前回決算発表があった2月4日比で89.37%高となっている。24日には234.81ドルの最高値をつけた。前回決算発表ではアームが示した1-3月期の業績見通しが弱気と受け止められ、4日の時間外取引で株価が急落したが、翌5日以降は株価が上昇している。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益から算出される株価収益率(PER)は28日時点で93.6倍。前回決算発表当日の50.7倍から割高感が強まっている。アナリストが提示する目標株価の平均は169ドル程度で、現状よりも15%ほど低い。47人のアナリストのうち33人は買い、12人は維持、2人は売りを勧めている。
自社製半導体事業参入で株価は7割超上昇 4-6月期の成長見通し次第で急落の恐れ
アームの株価の上昇が勢いづいたのは、3月24日の取引時間中に自社製半導体の販売に参入すると発表したためだ。AIデータセンター向けの中央演算処理装置(CPU)の製造を台湾積体電路製造(TSMC、TSM)に委託する計画で、ジェイソン・チャイルドCFOは24日の発表イベントで、2031年3月期には自社製半導体事業の収入は150億ドルになると説明。知的財産(IP)事業の収入見込み額の100億ドルと合わせれば、2031年3月期の総収入は250億ドルとなり、2026年3月期の見通し(49億ドル)の5倍になる計算だ。アームの4月24日の最高値は参入発表前日の3月23日比で71.53%高にあたる。
一方、アームの2026年1-3月期の業績が2四半期連続での成長減速に留まる理由は、顧客企業がアームの知的財産を用いて製造した半導体で得た収益に応じて受け取るロイヤルティ収入の不振だ。ブルームバーグのまとめでは、1-3月期のロイヤルティ収入は前年同期比14.2%増の6.93億ドルと見込まれており、伸び率は2023年10-12月期(10.6%増)以来、9四半期ぶりの低さになるとみられている。チャイルド氏は前回決算発表時、1-3月期のロイヤルティ収入は「季節性」の影響で伸びが弱まると指摘していた。また、顧客企業がアームの知的財産を用いた半導体製造の契約を結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入も1-3月期は前年同期比22.3%増の7.76億ドルとなり、2四半期連続で成長が減速すると見込まれている。
こうした中、アームが6日の決算発表に際して示す4-6月期の業績見通しで、成長ペースの加速が感じられなければ、投資家の間で失望感が広がり、株価が急落する可能性がありそうだ。ブルームバーグによると、金融市場では4-6月期の総収入は前年同期比18.5%増、1株当たり利益は5.7%増の成長が予想されている。
オープンAIをめぐる不安はアームへの逆風に 28日に株価が8%急落
実際、アームの自社製半導体事業参入発表を受けた株価の急騰にはブレーキがかかっている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が27日の取引時間終了後に、オープンAIが顧客数や収入に関する社内目標の達成に失敗していたと報じたためだ。アームは、NVIDIA(エヌビディア、NVDA)やオラクル(ORCL)などとともにオープンAIの大規模AIインフラ構築構想「スターゲート」の技術パートナーに名を連ねている。アームの株価は28日の取引で前日比7.98%安の急落。これに先立つ28日の東京株式市場では、アームの親会社のソフトバンクグループの株価(9984)も9.86%安となっている。
AIサービスをめぐる競争は激化 当面は知的財産事業の成否が株価を左右か
WSJによると、オープンAIはChatGPTについて、2025年末までに週間アクティブユーザー数の10億人到達を目指していたという。オープンAIは3月31日に1220億ドルの資金調達を完了したと発表した際、週間アクティブユーザー数について「すぐに10億人に到達する」としており、2025年末の目標達成に失敗していたようだ。WSJはChatGPTに関する収入についても、ライバルにあたるアルファベット(GOOGL)のジェミニへの評価が高まる中、目標を達成できなかったとしている。オープンAIは資金調達完了発表時、足元では毎月20億ドルの収入を得ているとしていた。
オープンAIは10月段階でAIインフラ構築に1兆4000億ドルの資金が必要になると表明。その後2月には、必要な資金の見積もりを「2030年までに6000億ドル」まで圧縮したと報じられていたが、成長ペースが目標から遅れている中では、資金不足に陥る懸念が膨らみかねない。
AIサービスをめぐる競争が激化する中、アームの株価への期待を押し上げた自社製半導体事業についても成否が明確になっているわけではない。自社製半導体事業の最初の顧客はメタ・プラットフォームズ(META)になるとされているが、チャイルド氏は自社製半導体事業の収入は2028年3月期から計上されるとしており、当面の間は既存の知的財産事業の実績と見通しを受けて、急騰した株価に下落圧力がかかる可能性もありそうだ。
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