米国株、急落リスク拡大の恐れも S&P500反発 イラン和平は困難か
S&P500は2日ぶり反発。イラン和平やAIブームへの期待も感じられた。ただ米国が延期した交渉期限が近づく中、改めて緊張感が高まる恐れがある。
アメリカの株式市場に楽観ムードが出始めた。S&P500種株価指数の25日の終値は前日比0.54%高の反発。イランでの戦争終結をめぐり、米国とイランの水面下での交渉が始まっているとの見方が強まっているためだ。25日は原油価格も下落しており、ホルムズ海峡封鎖の解除への道筋を指摘する声も出ている。また、25日の株式市場では英半導体大手アーム・ホールディングスの株価が急騰するといった動きもあり、投資家の人工知能(AI)ブーム再燃への関心の強さも感じられた。ただ、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価が不振から抜け出せているわけではなく、AI関連投資の負担の重さは引き続き株価の重荷となっている。また、ドナルド・トランプ大統領が設定したイランとの交渉期限の28日朝が近づく中、投資家の警戒感は高いままで、S&P500の今後の値動きは、週末にかけて急落リスクの高さが改めて意識される展開も考えられそうだ。
アメリカのS&P500は0.54%高の反発 イラン攻撃延期後の楽観ムード継続
S&P500(SPX)の25日の終値は6591.90。前日の0.37%安から、2日ぶりに反発する値動きとなった。S&P500は23日には、トランプ氏が週末に予告していたイランの発電所への攻撃を5日間延期したことで前週末比1.15%高となっており、イラン情勢の先行きに対する株式市場の楽観ムードが感じられる。25日終値は1月27日の最高値(6978.60)との比較では5.54%安だ。
イラン和平への期待で原油価格は下落 トランプ氏は5月14、15日の中国訪問を発表
トランプ氏は24日には、イランから大きな「プレゼント」をもらったと述べ、石油やガスに関するイランからの譲歩があったことを示唆。米国メディアは、イランは表向きは米国との協議を否定しているものの、水面下では交渉に応じているとの見方を伝えている。25日の原油先物市場では指標価格のWTI(5月渡し、WTI原油)が前日比2.20%安の1バレル=90.32ドルとなり、S&P500にとっての安心材料となったようだ。トランプ氏は25日、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、延期していた中国訪問と習近平国家主席との首脳会談を5月14、15日に行うことも明かしている。
こうした中、イラン和平に対する具体的な道筋が話題になり始めたことも、S&P500をめぐる楽観ムードの背景となっている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は25日の報道の中で、想定される米国とイランの合意内容として、イランがウラン濃縮の数年間の停止と周辺国への攻撃を行わないことを約束することと引き換えに、ホルムズ海峡封鎖の解消度合いに応じて米国がイランに対する経済制裁を徐々に解除する案を挙げた。
アームの株価は25日に16.38%高 自社製半導体販売で総収入5倍との見通し
また25日の株式市場ではAIブームへの関心の強さも明らかになった。半導体関連技術のライセンス供与を収益源とするアームは24日、自社製半導体の販売に参入すると発表。アームの株価(ARM)は25日の終値で前日比16.38%高の157.07ドルとなった。アームはS&P500の構成銘柄ではないものの、AIブームへの期待が株価を大きく押し上げる効果を再認識させる値動きといえる。
アームの発表内容はAIデータセンター向けの中央演算処理装置(CPU)の製造を台湾積体電路製造(TSMC、TSM)に委託するという計画で、メタ・プラットフォームズ(META)が最初の顧客になるという。ブルームバーグによると、アームは5年以内に総収入が約250億ドルになるとの見通しを示している。アームは2月4日の四半期決算発表に際し、2026年3月通期の総収入が約49億ドルになるとの方向性を示しており、半導体販売への参入で収入が5倍になると見込んでいる形だ。
マイクロソフトは設備投資負担が悪材料視 マグニフィセント・セブンは下落基調
ただ、25日の取引ではAIブームをめぐる不安の強さも感じられた。S&P500への影響度が大きいマグニフィセント・セブンの一角であるマイクロソフト(MSFT)の株価は25日に前日比0.46%安となり、7社の中で唯一の値下がり。ブルームバーグが関係者の話として、マイクロソフトがオラクルとオープンAIが建設途中で計画を取りやめにしたデータセンターを借り受ける契約で合意したと報じたことが、新たな投資負担として意識された。
大手ハイテク各社の株価は10月下旬の決算発表以降、設備投資負担の重さが改めて悪材料視されたことで下落圧力にさらされてきた。マイクロソフトの25日終値が10月末比で28.34%安となっているほか、テスラ(TSLA)、アマゾン・コム(AMZN)、エヌビディア(NVDA)、メタ、アップル(AAPL)が同じ期間で6-15%程度値下がりし、S&P500の足を引っ張っている。
投資家の警戒感は依然高水準 交渉期限近づく中でS&P500の急落リスクは継続
こうした中、株式市場で改めてイラン和平の難しさが注目されれば、投資家心理が悪化することは避けられない。トランプ氏が延期した発電所への攻撃の期限は28日朝で、イランから公式な譲歩の動きがみられなければ、戦火拡大とホルムズ海峡封鎖のさらなる長期化への懸念が強まりそうだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数の終値(VIX)は25日終値で25.33となり、18営業日連続で20の大台を超えている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
トランプ政権はイランに向けて地上軍の増派も進めており、イランが強硬姿勢を維持した場合には戦争が泥沼化する恐れもある。ホルムズ海峡封鎖の軍事力による開放の困難さも踏まえれば、S&P500の今後の見通しは急落リスクに直面しつづける展開も想定されそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。