米国株、最高値更新期待 S&P500半年ぶり急騰 エヌビディアは転落
S&P500は週次3.73%高。エヌビディアの転落は止まらないが、他のハイテク株は堅調だ。週明け以降の経済指標にも強気な反応が出る可能性がある。
アメリカの株式市場が勢いに乗っている。S&P500種株価指数の28日の終値は1週間前比3.73%高で、5月中旬以来、半年ぶりの高い週次上昇率。1か月ぶりの最高値更新が視野に入ってきた。米連邦準備制度理事会(FRB)の12月利下げへの期待が再燃しているためで、投資家の不安心理は大きく和らいでいる。一方、株式市場における人工知能(AI)ブームを牽引してきた半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は最高値から15%安の水準まで下落し、不振が止まらない状況。ただ、エヌビディア以外の大手ハイテク株は週次で大きく上昇していて、米国株式市場でのエヌビディア依存の解消が進みつつあるともいえそうだ。S&P500の今後の見通しをめぐっては、週明け12月1日以降に相次いで発表される経済指標が焦点。投資家の楽観ムードが高まる中、S&P500の反応が強気になる展開も想定される。
アメリカのS&P500は週次3.73%高 5月中旬以来の高い上昇率
S&P500(SPX)の28日の終値はサンクスギビングデーの休日前比0.54%高の6849.09。5営業日続伸で、10月6日までの7日続伸以来の連騰記録となった。ブルームバーグによると、週次での上昇率(3.75%高)はドナルド・トランプ大統領による相互関税発表後の急落からの回復局面にあった5月12-16日週(5.27%高)以来の高い上昇率。1か月前の10月28日につけた最高値(6890.89)から0.61%安の水準まで回復してきている。
FRBの12月利下げ見通しが再燃 投資家心理は改善
S&P500の復活の要因はFRBの12月利下げ見通しの強まりだ。ブルームバーグによると、28日の金融市場で見込まれている12月9、10日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.665%で、19日段階での3.801%から0.136%ポイント低下した。12月利下げへの期待は10月29日にFRBのジェローム・パウエル議長がFOMC参加者内の意見の相違を強調して以降、低下していたが、このところはニューヨーク連銀のジョン・ウイリアムズ総裁らが利下げ支持を示唆しており、投資家に好感されている。
投資家心理の改善はVIX指数(VIX)の値動きからも明らかだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIXの28日の終値は前日よりも5.00%低い16.35。10月27日(15.79)以来の低さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
エヌビディアは2週続落 最高値から14.51%安
一方、米国の株式市場では異変も続いている。株式市場におけるAIブームの立役者として2023年以降のS&P500の上昇を牽引してきたエヌビディアの株価(NVDA)は28日の終値が177.00ドルとなり、9月24日(176.97ドル)以来、約2か月ぶりの安値水準。週次では1.05%安で、前週(17-21日週)の5.94%安に続く値下がりとなった。10月29日の最高値(207.04ドル)からは14.51%安で、転落が止まらない状況といえそうだ。
エヌビディアは19日に行った2025年8-10月期決算発表が投資家の期待を超える好決算。19日の時間外取引では株価が直前の終値から6%超値上がりする場面もあった。しかし翌20日の終値は前日比3.15%安となり、株価復活のきっかけとなはらなかった。
メタは5週ぶり反発の9.04%高 ブロードコムは週次18.45%高の急騰
ただ、エヌビディア以外の大手ハイテク株の値動きには底打ちが感じられる。SNS大手メタ・プラットフォームズ(META)の株価は28日までの週次で9.04%高で5週ぶりの反発。電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)も週次9.99%高となって4週ぶりに反発した。アマゾン・コム(AMZN)も週次5.68%高で3週ぶりの反発だ。このほか、マイクロソフト(MSFT)は週次4.21%高、アップル(AAPL)は2.71%高。そして新型AIモデル「ジェミニ3」への評価が高まっているアルファベット(GOOGL)は週次6.85%高で、前週(8.41%高)に続く大幅上昇となった。S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」の7社の中で、エヌビディアを除く6社が値上がりした形だ。
またエヌビディアと同業の半導体大手の株価も好調だ。ブロードコム(AVGO)の株価は28日までの週次で18.45%高、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も週次12.61%高で、それぞれ4週ぶりの反発。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価も週次3.03%高となって5週ぶりに反発している。投資家はこれまでのエヌビディアへの一極集中を解消し、その他の半導体株へのシフトを進めているとみることができる値動きで、S&P500の大崩れを防いでいるといえそうだ。
12月1日以降に経済指標発表相次ぐ 労働市場悪化は利下げ見通しを強める好材料か
S&P500の今後の見通しをめぐっては、週明け12月1日以降に発表される経済指標が焦点。1日午前10時(日本時間2日午前0時)には米サプライマネジメント協会(ISM)の11月の製造業の景況感指数(PMI)が発表されるほか、3日には民間雇用サービス会社ADPの11月全米雇用レポート、4日には人事サービス会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによる米国企業の人員削減集計が公表される。
このうち労働市場関連の指標はFRBの利下げ見通しを左右するデータといえ、注目度が高くなりそうだ。1か月前はチャレンジャーが示した10月の人員削減が9月の2.83倍に達したことが悪材料視され、発表当日6日のS&P500が前日比1.12%安と急落(7日)した。ただ、足元ではFRBの利下げ見通しが強まっているうえに投資家心理も改善傾向にあるだけに、雇用関連指標で弱い結果が出た場合でも、FRBの利下げの確度を強める結果と受け止められ、S&P500が上昇で反応する可能性もありそうだ。
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