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米国株、利下げ見通しで最高値も S&P500続伸 エヌビディア復調か

S&P500は2日続伸。労働市場の弱さがFRBの利下げ見通しを強めたことが好感された。4日と5日の経済指標が最高値更新につながるかが注目される。

米国株、利下げ見通しで最高値も S&P500続伸 エヌビディア復調か 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場の上昇に勢いが戻った。S&P500種株価指数の3日の終値は2日続伸の前日比0.30%高。伸び率は前日よりも大きくなり、前週末の水準を回復した。民間雇用サービス会社ADPが発表した11月の就業者数が労働市場の弱さを示し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待が強まったことが好感されている。一方、大手ハイテク株の3日の値動きでは上昇基調にブレーキがかかった。ただ、NVIDIA(エヌビディア)の株価の割安感は強まっており、値動きからは復調への期待も感じられる。S&P500の今後の見通しをめぐっては、引き続き、FRBの利下げ見通しが焦点。4日と5日に発表される雇用や物価に関する経済指標が利下げの道筋を固めるかどうかが、S&P500の最高値更新の成否を左右しそうだ。

アメリカのS&P500は上昇が加速 最高値比0.60%安まで値上がり

S&P500(SPX)の3日の終値は6849.72。ブルームバーグによると、前日比での伸び率(0.30%高)は前日の0.25%を超えており、上昇が加速した形だ。S&P500は週初めの1日に、日本銀行の利上げ見通しの強まりを発端とする米国金利の上昇が嫌気され、6営業日ぶりに下落していたが、3日の終値は前週末の水準(6849.09)を回復。10月28日の最高値(6890.89)との比較では0.60%安となっている。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

ADP雇用統計は就業者数が減少 FRBの利下げ見通し強まる

S&P500のムードを明るくしたのは、ADPの就業者数のデータがFRBの利下げ見通しを強めたことだ。ADPが3日に発表した11月の非農業部門の就業者数(政府部門除く)は前月比3.2万人減。前月(10月)の4.7万人増から、一転して労働市場の縮小を示す結果となった。FRB幹部からはこのところ労働市場悪化を警戒する声が相次いでおり、ADPのデータはFRBが9、10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で雇用を維持するために利下げを決めるとの期待を裏付ける株価上昇要因とみなされた。

ADPと雇用統計の就業者数増減の推移のグラフ

ブルームバーグによると、投資家の動向から算出される12月FOMCでの利下げ確率は3日段階で約93%となり、前日の91%から上昇。またジェローム・パウエル議長の任期中最後の会合となる2026年4月FOMC後の政策金利の水準は3.413%と見込まれており、前日から0.025%ポイント低下した。金融市場はFRBがパウエル氏退任までの間に2回の利下げを行う確率が90%あるとみており、S&P500にとっての追い風といえる。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

マグニフィセント・セブンの値上がりは一服 エヌビディアの株価は底打ちの可能性

一方、3日の株式市場では、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7社の株価の値上がりに一服感が出た。マイクロソフト(MSFT)が前日比2.50%安、メタ・プラットフォームズ(META)が1.16%安になるなど、7社中の5社が下落。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は前日比0.53%安となり、8営業日ぶりに反落している。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、テスラ、アップル、マイクロソフト、アマゾン・コムの株価の推移のグラフ

ただ、人工知能(AI)ブームへの期待を背景に2023年以降のS&P500の上昇を牽引してきたエヌビディアの株価(NVDA)には復調の兆しも感じられる。3日の取引では前日比1.03%安の179.59ドルとなったものの、直近2日間の上昇幅の4割を失うにとどまった。10月29日の最高値から11月28日までの間に記録した14.51%安の下落が底を打った可能性もある。ブルームバーグによると、エヌビディアの株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は25.8倍まで下がっており、割高感が大きく薄れていることも好材料といえそうだ。

大手ハイテク株の株価収益率の推移のグラフ

FRBの利下げ見通しは維持されるか? 人員削減数やPCE物価指数で最高値も

こうした中、S&P500の今後の見通しをめぐっては、引き続き、FRBの利下げ見通しが焦点といえる。人事サービス会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが4日午前7時30分(日本時間4日午後9時30分)に発表する11月の人員削減数や、米商務省が5日午前10時(日本時間6日午前0時)に発表する9月の個人消費支出(PCE)物価指数の結果次第では、投資家心理が揺れ動く可能性がある。

このうちチャレンジャーの人員削減数は、11月6日に10月の人員削減が9月の2.83倍に達したと発表された際、米国の経済活動の弱さを示す悪材料とみなされ、S&P500が前日比1.12%安と急落した。ただ、足元の株式市場がADPの11月の就業者数の弱さをFRBの利下げ見通しを強める好材料と受け止めたことを踏まえれば、チャレンジャーの人員削減数が悪い結果だったとしても、S&P500が強気な反応を示すことも想定される。

これに対して、9月PCE物価指数で物価上昇の根強さが示された場合には、S&P500にとっての逆風となる。FRBが2会合連続の利下げを決めた10月のFOMCの議事要旨によると、「多くの参加者」が12月FOMCでは政策金利維持が適切だとみており、9月PCE物価が強ければ、利下げへの慎重論が再燃する筋書きも否定できない。ブルームバーグがまとめた金融市場による予想では、9月PCE物価指数の伸び率は、総合指数と、食品とエネルギーを除いたコア指数がともに前年同月比2.8%になる見通し。実際の結果の上振れは、S&P500の最高値更新に向けた上昇にブレーキをかけそうだ。

PCE物価指数の伸び率の推移のグラフ

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