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米国株、利下げ見通しに疑念の目 S&P500最高値 経済指標が焦点に

S&P500は最高値を0.07%更新。FRBの利下げは好感されたが、追加利下げの確度は低い。今後の経済指標に際しての急落リスクは残る。

米国株、利下げ見通しに疑念の目 S&P500最高値 経済指標が焦点に 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しに疑念の目を向けている。S&P500種株価指数の10日の終値は前日比0.81%高で、1か月半前につけた最高値をわずか0.07%更新する水準に終わった。FRBが10日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げを決め、2026年も利下げを進める方向性を示したものの、確度の高さが感じられなかったことが要因だ。また10日の取引時間終了後にはクラウド事業を手掛けるオラクルの株価が急落しており、人工知能(AI)ブームへの期待の脆さも示されている。投資家がFRBの利下げを確信でできない背景には、政府機関閉鎖で先送りされてきた重要経済指標の発表が2026年初めにかけて相次ぐこともあり、S&P500の今後の見通しをめぐっては、これらの経済指標の発表で急落に見舞われるリスクも否定できない。

アメリカのS&P500は3営業日ぶり反発 最高値を0.07%更新

S&P500(SPX)の10日の終値は6895.96。3営業日ぶりの反発で、10月28日につけたこれまでの最高値(6890.89)を更新した。とはいえ、超過幅はわずか5.07ポイントで勢い不足は明らか。日本時間11日の金融市場ではS&P500に関連した先物商品が値下がりしており、1か月半ぶりの最高値に株式市場が沸き立ったとはいえなさそうだ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

FRBは3会合連続で利下げ 2026年は1回を想定

S&P500の10日の値上がりの要因はFOMCの結果が好感されたこと。FRBは市場予想通り、3会合連続の0.25%利下げを決め、政策金利を3.50-3.75%(中間値3.625%)に設定した。FOMC後に発表された経済見通しでは2026年末の政策金利の水準は3.4%とされ、あと1回の利下げが想定されていることになる。投票では2人が現状維持、1人が0.50%幅での利下げを求めたが、残り9人は0.25%利下げを支持した。

FOMC参加者の政策金利の見通しのグラフ

ジェローム・パウエル議長は10日のFOMC後の記者会見で「利上げは誰にとっても基本的な想定ではない」として、次の政策金利変更は利下げ方向であることを示唆した。物価動向については、サービス価格の上昇率が低下傾向にあると指摘。ドナルド・トランプ大統領の高関税政策の結果として大きくなっているモノの物価上昇率も2026年1-3月期にはピークをつける可能性に言及した。

労働市場悪化の懸念も 2026年の経済成長は「堅調」

またFOMC後の声明文では前回まであった「失業率は低いままだ」との文言は取り除かれ、労働市場悪化への懸念をにじませた。米労働省が9日に発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数がブルームバーグがまとめた市場予想を超える767.0万人と好調だったものの、レイオフ(一時解雇)が185.4万件となり、2か月連続で前月から悪化するという不安材料も示されている。また自発的な離職率は1.8%まで下がり、労働者が次の仕事を見つける自信が低下している可能性がある。物価に過熱感が見られないとの判断と労働市場悪化への警戒感は、FRBが労働市場を下支えするための利下げに踏み切る余地があるとの見方を裏付けるS&P500の値上がり要因といえそうだ。

アメリカの求人件数と離職率の推移のグラフ

またFRBの経済見通しで経済の堅調さが示されたこともS&P500をめぐる投資家心理を上向かせた。2026年10-12月期のGDPの実質成長率は前年同期比2.3%とされ、2025年10-12月期の見通し(1.7%)から成長が加速するとの道筋が示されている。パウエル氏は経済成長加速の要因として、トランプ政権の財政政策や、AI関連投資の強さや個人消費の堅調さが続いていることなどを理由に挙げている。2025年の成長率が政府機関閉鎖で押し下げられたことを踏まえても、「来年の堅調な成長」が見込まれるとした。

FOMC参加者の成長率の見通しのグラフ

FRBの2026年の利下げの確度は低調 1月利下げ確率は21%程度

一方、S&P500が最高値をわずかに更新するにとどまった背景には、FRBが示した利下げの方向性の確度が高いとはいえないという事情がある。パウエル氏は記者会見で政策金利は経済活動を刺激することも冷やすこともない「中立金利」に近づいていると言及。2026年1月27、28日に開かれる次回FOMCまでに公表される経済指標を慎重に検討する考えを示した。ブルームバーグによると、10日の金融市場では1月FOMC後の政策金利は3.594%とされ、利下げ確率は21%程度と見積もられている。またパウエル氏の任期中最後の会合となる4月FOMCまでに利下げが決まる確率は78%程度で、追加利下げが次期議長に委ねられるとの見立ても残っているようだ。

FRBの政策金利の水準の見通しの推移のグラフ

AIブームへの期待には脆さ 来年初めまでの経済指標ラッシュでS&P500急落も

こうした中、10日の取引ではS&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク企業の株価の値動きも盛り上がりに欠けた。マイクロソフト(MSFT)は前日比2.86%安で5営業日ぶりの反落。メタ・プラットフォームズ(META)は1.03%安で3日続落だった。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は前日比0.14%安となっている。

アルファベット、エヌビディア、マイクロソフト、テスラ、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コムの株価の推移のグラフ

さらに10日の取引時間終了後にオラクルが発表した2025年9-11月期決算は総収入が市場予想を下回る結果。ブルームバーグによると、オラクルの株価は10日の時間外取引で直近の終値から11%超値下がりする場面もあった。オラクルは前回決算に際して受注残高の増加やオープンAIとの大型契約が判明したことが好材料視されて、発表翌日に株価が前日比35.95%高となったが、今回の株価の反応からはS&P500の最高値の背景にあるAIブームへの期待への脆さも感じられる。

S&P500をめぐる楽観ムードが広がらなかった要因には、11月12日まで43日間にわたって続いた政府機関閉鎖の結果として先送りされてきた経済指標の発表ラッシュが控えていることもありそうだ。16日には11月雇用統計、18日には11月の消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているほか、年明けの1月9日には12月雇用統計、13日には12月CPIの発表が当初予定通りに行われる。これらの経済指標の結果次第では1月FOMCのムードが大きく変わることも考えられ、S&P500の今後の値動きは急落懸念と背中合わせになることも想定される。


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