2026年のFX市場の見通しは? 円は最弱通貨脱却か ポンドに弱さ
2026年のFX市場はドル安が継続する見通し。日銀の利上げが見込まれる円は強含み、「最弱通貨」の座をポンドに引き渡す可能性もある。
2026年のFX市場では2年連続でドル安が意識されそうだ。ドルは2025年、ドナルド・トランプ大統領の経済政策運営が米国経済の不安材料になった結果、ユーロなどの主要通貨に対して下落。2026年は米連邦準備制度理事会(FRB)が新議長の下で利下げに前向きになるとみられ、ドル安傾向が継続する可能性がある。一方、円は2025年、高市早苗政権発足を材料視した10月以降の急落で、ドルとほぼ同等の弱さだったが、2026年は日本銀行の利上げ姿勢が円高要因になると見込まれる。同時に金融市場ではイギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)の利下げ継続が見込まれており、ポンドが円に代わって主要通貨で最弱となることも想定されそうだ。また、オーストラリア準備銀行(RBA)の利上げが見込まれる豪ドルは円に対して強含み、欧州中央銀行(ECB)の政策金利維持が想定されるユーロは、円に対するユーロ高に歯止めがかかる可能性がある。
2026年は2年連続のドル安か FRBの利下げ姿勢が強まる見通し
2025年はドル安傾向の1年だった。ブルームバーグによると、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は26日のニューヨーク市場の終値で、2024年末比13.70%のユーロ高。同様に、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は8.53%の豪ドル高、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は7.84%のポンド高となっている。米国で1月に大統領に就任したトランプ氏の高関税政策や、利下げに慎重姿勢をとっていたFRBのジェローム・パウエル議長への批判が米国経済への不安を高め、6月までに大きくドル安が進んだことが要因だ。2026年はトランプ氏が指名する次期FRB議長が利下げ姿勢を強めるとみられ、引き続きドルが売られやすくなることが想定される。
一方、2025年は円の弱さも目立った。円は米国経済への不安が強まった2025年前半はユーロと並ぶ「安全資産」とみなされ、4月にはドルに対して2024年末比11%超の円高となったが、高市政権発足の起点となった10月4日の自民党総裁選挙を境に円安が急進した。総裁選前日の3日段階で円の対ドルレートは2024年末比6.60%の円高だったが、12月26日段階では0.40%の円高にとどまっている。高市氏が掲げる積極財政政策が財政の健全性を損ねるとの見方が円売りの材料とされた結果だ。
日本の長期金利は1年間で1%ポイント近く上昇 2026年は円高傾向か
しかし2026年は日銀の利上げに向けた情報発信が強まるとみられ、円の強さが戻ってくる可能性もありそうだ。日銀は19日までの金融政策決定会合で11か月ぶりの利上げを決め、政策金利である無担保コールレートは30年ぶりの高さとなる0.75%とされた。植田和男総裁は25日の講演では、かつてのような賃金と物価がほとんど変化しない経済状況に戻る可能性は「大きく低下した」と述べ、今後、物価上昇抑制のための利上げが重要になるとの見方を示唆している。日銀が2024年以降、主要中銀が利下げに踏み切る中でも続けてきた利上げがさらに進むことが想定される。
こうした中、日本の長期金利(10年物国債利回り)は大きく上昇。ブルームバーグによると、22日終値で2.078%となり、1999年2月16日(2.110%)以来の高さを記録した。26日終値段階での2024年末比の上昇幅は0.949%ポイントで、同じ期間でのドイツの長期金利の上昇幅(0.497%ポイント)を大きく上回っているほか、米国の長期金利の0.441%ポイント低下とも大きく差をつけている。ドル円相場(USD/JPY)は29日昼に1ドル=156円台で取引されており、2026年の円高進行も考えられそうだ。
2026年のポンドは円に対して安くなる可能性 英中銀は利下げ継続見通し
日銀の利上げ姿勢とは対照的に、FRBと同様の利下げ継続が見込まれているのがBOEだ。BOEは18日、政策金利を3.75%まで引き下げると発表。ブルームバーグによると、26日の金融市場では2026年4月の金融政策委員会後の政策金利は3.51%と見込まれ、4月までの追加利下げの確率が88%程度あるとみられている。BOEは今後の利下げについては「ギリギリの判断になる」としているが、月次GDPでは10月まで2カ月連続の前期比マイナス成長となっており、利下げの必要性が意識されている。ポンド円相場(GBP/JPY)は29日昼の取引で1ポンド=211円台前半で取引され、2008年8月以来のポンド高水準だが、2026年はポンド安が進み、円に代わる最弱通貨になる可能性がある。
豪ドルは2026年に上昇か オーストラリア中銀は6月までの利上げも
逆にオーストラリアの中央銀行にあたるRBAは日銀同様、2026年前半の利上げも見込まれている。ブルームバーグによると、26日段階の金融市場では2026年6月の理事会後の政策金利は3.865%と見込まれ、6月までの利上げがほぼ確実視されている。RBAは9日までの理事会で3会合連続で政策金利を維持し、ミシェル・ブロック総裁は記者会見で理事会での議論について、「政策金利を維持するのか、利上げの可能性があるのか」に費やされたと説明した。豪ドル円相場(AUD/JPY)は29日昼の取引で1豪ドル=105円台前半をつけ、2024年7月以来の豪ドル高水準となっており、2026年は円に対して強含むことも考えられる。
ユーロ円相場の最高値には歯止めか ECBは利上げを急がない見通し
また、ECBは英国とオーストラリアの中間にあたる金融政策の舵取りになるとみられている。ECBは18日までの理事会で4会合連続で政策金利を維持しつつ、次の金融政策変更が利上げになる可能性を否定せず。同時に物価上昇率の見通しについては、2028年まで目標値である2.0%に近い水準で推移するとみており、利上げの必要性が高まっているわけではないようだ。ブルームバーグによると、26日の金融市場では、2026年10月の理事会後のECBの政策金利(中銀預金金利)の水準は1.947%と見込まれ、現状の2.00%と同水準が見込まれている。ユーロ円相場は29日昼の取引で1ユーロ=184円台前半で取引され、2025年は史上最高値更新を連発してきたが、2026年はユーロ高に歯止めがかることも考えられる。
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