ユーロ円、2026年の見通しは? ユーロ高は限界か 日銀利上げ焦点
ユーロ円は183円台で最高値付近。2026年はECBの政策金利の維持がユーロ高圧力を弱める可能性があり、日銀の利上げ意欲が相場を動かしそうだ。
ユーロ円相場でのユーロ高が続いている。24日午前の取引では1ユーロ=183円台で取引され、史上最高値付近を維持している形だ。日本銀行の19日までの金融政策決定会合後に大きく円安が進んだことがユーロ円相場でのユーロ高要因となっている。またユーロをめぐっては、18日までの理事会で政策金利を維持した欧州中央銀行(ECB)の金融政策が、今後は利上げ方向になるとの見方もユーロ高要因といえる。一方、金融市場ではECBは2026年中は政策金利を動かさないともみられており、ユーロ高圧力が急激に強まっているわけではない。また片山さつき財務相や高市早苗首相による22日以降の情報発信は円安圧力を弱めており、ユーロ円相場のユーロ高が上限に達しつつあるとの見方も成り立つ。ただ、2026年のFX市場で日銀の利上げ見通しが後退した場合などには、さらなるユーロ高進行の可能性もありそうだ。
ユーロ円相場は一時184.92円 日銀の利上げ後にユーロ高が進行
ユーロ円相場(EUR/JPY)は24日午前11時49分段階で1ユーロ=183.69円で取引されている。ブルームバーグによると、ユーロ円相場は自民党総裁選挙後初の取引となった10月6日に176.25円をつけ、2024年7月11日以来の最高値を更新。その後も円安傾向が続く中で、12月19日には初の184円台に突入している。この日のユーロ高は、決定会合で利上げを決めた日銀の植田和男総裁の記者会見が2026年の追加利上げに慎重とみなされたことが要因だ。週明けの22日には184.92円をつける場面もあった。
ECBの次の金融政策変更は利上げか 2026年の物価上昇率見通しを上方修正
またFX市場ではECBが利上げに向かうとの見方もユーロ高要因として働いている。ECBは18日までの理事会で4会合連続で政策金利を維持しつつ、クリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で「あらゆる選択肢を維持しておくべきだというのが理事会の一致した考えだ」と述べ、次の金融政策変更が利上げになる可能性を否定しなかった。ECBは18日に示した経済見通しで物価上昇率の伸び率について、2026年は1.9%、2027年は1.8%、2028年は2.0%との見通しを示し、2026年の物価上昇率は前回(9月)見通しから0.2%ポイント上方修正している。ユーロ圏の11月の消費者物価指数の伸び率は前年同月比2.1%だった。
ユーロは2025年の主要通貨で最強 連続利下げでも対ドルで14%のユーロ高
2025年のFX市場では、ユーロは主要通貨の中で最強だったといえる。ECBは2024年9月から2025年6月まで7会合連続で利下げを実施。ECBによる積極的な利下げはユーロ安要因といえるが、タイミングがアメリカでのドナルド・トランプ大統領の経済政策がドルへの信頼度を弱めた2025年前半と重なり、ユーロは対ドルで強含んだ。さらに2025年6月以降はECBの利下げが打ち止めになるとの見方が材料視されたうえ、FRBの9月から12月にかけての利下げもあり、ユーロの強さは維持されている。ブルームバーグによると、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)の23日のニューヨーク市場の終値は2024年末との比較で13.92%のユーロ高で、円の対ドル相場の0.62%の円高との差が鮮明だ。
ECBは2026年は政策金利を維持する見通し 日銀は利上げ視野
一方、ユーロ円相場でのユーロ高が2026年も維持されるかどうかには不透明感もある。ECBの次の金融政策変更が利上げ方向だったとしても、タイミングはまだまだ先になる可能性があるからだ。ブルームバーグによると、24日午前11時49分の金融市場では、ECBの2026年10月の理事会後の政策金利(中銀預金金利)の水準は、現状の2.00%よりも低い1.968%と見込まれている。ECBが利上げに動くとしても2027年以降になるとの見方が大勢だといえ、ユーロ高圧力の鎮静化も見込まれそうだ。
また、日銀が2026年の追加利上げを見据えていることから、円については上昇圧力がかかる可能性がある。植田氏の19日の記者会見は円安要因とみなされたが、植田氏は物価上昇の動向をみたうえで追加利上げに踏み切る可能性は「十分にありえる」とも述べている。ブルームバーグによると、24日午前11時49分の金融市場では、日銀の6月の決定会合後の政策金利の水準は0.866%と見込まれており、6月までの利上げ確率は55%程度とされている。
片山財務相らが円安を強く牽制 日銀の利上げ見通し後退ならユーロ高も
さらに日本政府が急激な円安進行を望んでいないことも、足元のFX市場で為替介入への警戒を強める円高要因といえそうだ。片山財務相は22日のブルームバーグでのインタビューで為替の過度で無秩序な動きに対しては「断固として措置をとる」と述べて、為替介入の可能性を示唆。また高市首相は23日に公開された日本経済新聞でのインタビューで、自身が掲げる積極財政が日本の財政悪化を懸念させる円安要因と受け止められていることについて、政府債務残高の伸び率を成長率の範囲に抑えて財政の持続可能性を確保し、「国内外の市場の信認を高めていく」とした。ブルームバーグによると、ドル円相場(USD/JPY)は24日午前11時台には1ドル=155.56円をつけ、20日午前6時台につけた157.78円から2円超の円高に動いている。
このため2026年のユーロ円相場はユーロ高が打ち止めになることも想定されそうだ。ただ、同時にユーロ圏の経済や物価の動向が予想よりも上振れ、ECBの利上げのタイミングが前倒しになった場合や、日本の物価上昇が落ち着きをみせ、日銀が利上げを進める状況が整っていないとの見方が出た場合には、ユーロ高がさらに進む可能性もある。
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