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ポンド円、17年ぶり最高値 上昇限界? 17日のCPIでポンド高再燃も

ポンド円相場は2008年夏以来のポンド高水準。英中銀は18日の利下げ発表が濃厚だが、前日のCPIでポンド高が加速する可能性もある。

ポンド円、17年ぶり最高値 上昇限界? 17日のCPIでポンド高再燃も 出所:Adobe Images

ポンド円相場でポンド高が進んだ。ポンド円相場は日本時間15日の取引で1ポンド=207円台で推移。9日には2008年夏以来17年ぶりのポンド高水準となる208円台後半を記録している。イギリスの財政状況に対する不安が後退したことがポンド高進行の要因だ。一方、英国経済は10月まで2か月連続でマイナス成長に陥っており、経済状況には脆さも感じられる。英国の中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)は18日に利下げを発表する公算が高く、FX市場でのポンド高圧力が強まっているわけではない。このためポンド円相場の今後の見通しをめぐっては、BOEの政策金利発表の前日に公表される11月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇圧力の後退が確認されれば、ポンド高傾向にブレーキがかかる可能性がある。ただ、各国中銀の間ではこれまでの利下げサイクルが終わりに近づいているとの見方も目立ち、11月CPIが予想から上振れた場合にはポンド高がさらに進行する可能性もある。

ポンド円相場は一時208.95円 2008年8月以来17年4か月ぶりのポンド高水準

ポンド円相場(GBP/JPY)は日本時間15日午前12時21分時段階で1ポンド=207.69円で取引されている。ブルームバーグによると、ポンド円相場は9日に一時、208.95円をつけ、2008年8月12日(210.63円)以来、17年4か月ぶりのポンド高水準に到達。その後も207円台後半を超えるポンド高水準で推移している。ポンド円相場は高市早苗政権発足の起点となった自民党総裁選挙の前日の10月3日段階では197円台で取引される場面もあったが、2か月あまりで11円のポンド高が進んだことになる。

ポンド円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

このところのFX市場では英政府が11月26日に発表した秋季予算案が財政の健全化に配慮した内容だったことからポンド高が進行。ブルームバーグによると、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)の12日のニューヨーク市場での終値は秋季予算案発表前日と比べて1.56%のポンド高となった。これに対して円の対ドル相場は0.15%の円高に留まっており、ポンド円相場を円高方向に動かす要因となっている。

円、ポンド、ユーロ、豪ドルの対ドルレートの推移のグラフ

英国経済は2か月連続のマイナス成長 11月CPIは2か月連続で伸び率低下見通し

一方、ポンド高の継続には逆風も目立つ。英統計局が12日に発表した10月の月次GDPの実質成長率は前月比マイナス0.1%で、9月のマイナス0.1%に続く2か月連続でのマイナス成長。またBOEは18日に0.25%の利下げを発表することが濃厚となっており、マイナス成長とともにポンド安を促す材料といえそうだ。ブルームバーグによると、15日午前12時21分の金融市場ではBOEの利下げの確率は85%程度とみられている。

このためBOEの政策金利発表前日の17日午前7時(日本時間17日午後4時)に発表される11月CPIで物価上昇の落ち着きが確認されれば、ポンド高の進行は難しくなりそうだ。ブルームバーグがまとめた事前予想によると、12月CPIの伸び率は総合指数で前年同月比3.5%と見込まれており、2か月連続で物価上昇率が前月から低下する見通し。食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数では前月(10月)と同じ3.4%と見込まれている。BOEは11月6日に金融政策の維持を発表した際の声明文で、「物価上昇率はピークをつけたと判断される」としていた。

イギリスの物価上昇率の推移のグラフ

また、日本銀行の金融政策をめぐっては、18、19日の金融政策決定会合での11か月ぶりの利上げが確実視されている情勢。やはり当面のポンド円相場ではポンド安要因として意識されそうだ。ブルームバーグによると、15日午前12時21分の金融市場では今回の決定会合後の政策金利の水準は0.868%と予想され、利上げ確率は95%程度と見込まれている。

日銀の政策金利の見通しの推移のグラフ

各国中銀は利下げサイクル終了も視野 英国CPI上振れならポンド高加速も 

ただ、日銀を除く主要中銀が進めてきた利下げサイクルは、物価上昇再燃への懸念を受けて反転する可能性も指摘され始めた。オーストラリア準備銀行(RBA)は9日に政策金利を維持しつつも声明文では物価上昇圧力の強さへの懸念を示し、ミシェル・ブロック総裁は次の金融政策変更は利上げ方向であることを示唆した。また欧州中央銀行(ECB)の次期総裁候補としても名前が挙がるイザベル・シュナーベル理事は8日、ブルームバーグのインタビューで経済活動の強さに言及したうえで「次の金利の動きは利上げになると予想している」と述べた。米連邦準備制度理事会(FRB)でも、2026年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ、クリーブランド連銀のベス・ハマック総裁が12日に現段階での利下げには慎重姿勢を示している。

こうした中、英国で17日に発表される11月CPIが物価上昇の根強さを示す結果となれば、BOEの2026年以降の利下げ見通しが後退する可能性がある。ブルームバーグによると、15日の金融市場ではBOEの4月の金融政策委員会後の政策金利の水準は3.483%と見込まれ、12月の利下げ決定後、来春までには追加利下げが行われることがほぼ確実視されている情勢。11月CPIでこうした見方が覆され、BOEも物価上昇への警戒感から利下げに慎重になるとの見方が強まれば、ポンド円相場でのポンド高が加速する筋書きも考えられる。

イングランド銀行の政策金利の見通しの推移のグラフ

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