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豪ドル高、6連騰で104円台 豪中銀が利上げ視野 次は日銀が焦点

豪ドル円相場は1年4か月ぶりの104円台半ば。RBAが利上げを視野に入れたことが材料視された。今後は日銀の動きが注目される。

豪ドル高、6連騰で104円台 豪中銀が利上げ視野 次は日銀が焦点 出所:Adobe Images

豪ドル円相場で豪ドル高が進行した。日本時間10日の取引では一時、1豪ドル=104円台半ばをつけ、1年4か月ぶりの豪ドル高水準を更新している。オーストラリア準備銀行(RBA)が9日に2026年に利上げに転じる可能性を示唆したことが要因で、豪ドルはドルに対しても上昇した。こうした中、豪ドル円相場の今後の見通しは、日本銀行の動向に左右されそうだ。日銀は18、19日の金融政策決定会合での利上げが濃厚になっているが、2026年の利上げペースには不透明感が残る。FX市場で日銀の利上げへの積極姿勢が意識されるようになれば、豪ドル円相場での豪ドル高にブレーキがかかる可能性もある。

豪ドル円相場は一時104.40円 1年4か月ぶりの豪ドル高水準を更新

豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間10日午前11時12分段階で1豪ドル=103.86円で取引されている。ブルームバーグによると、午前1時29分には104.40円をつけ、2024年7月22日(105.43円)以来の豪ドル高水準となっている。豪ドル円相場はニューヨーク市場での終値ベースで2日から9日にかけて6営業日続伸し、この間、2.47円の豪ドル高が進んだ。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

オーストラリア中銀は2026年は利上げの方向 物価上昇加速を警戒

豪ドル高の要因は、オーストラリアの中央銀行にあたるRBAが利下げの打ち止めを示唆したことだ。RBAは9日までの理事会で政策金利を3.60%で維持することを決定。ミシェル・ブロック総裁は記者会見で2026年の金融政策について「追加利下げはなさそうだ」と言及し、理事会での議論は「政策金利を維持するのか、利上げの可能性があるのか」に費やされたと説明した。RBAはオーストラリア経済の現状について、消費や投資の強まりが民間需要を高めているうえ、労働市場では賃金の高い上昇率が続いていると分析し、物価上昇が加速することを警戒している。

RBAの9日の情報発信は、RBAが2026年2月の理事会で利上げに転じるとの見方を強めた。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている2月理事会後の政策金利の水準は日本時間10日午前11時12分現在で3.689%で、8日段階から0.056%ポイント上昇した。利上げ確率は37%と見積もられ、理事会前の14%から大きく上昇している。

金融市場で見込まれるオーストラリア中銀の政策金利の見通しの推移のグラフ

豪ドルはドルに対しても上昇 円やポンド、ユーロと対照的な値動き

RBAの利上げ見通しの強まりを受けて、豪ドルはドルに対しても上昇。ブルームバーグによると、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は9日のニューヨーク市場の終値で0.27%の豪ドル高だった。円やポンド、ユーロの対ドル相場は、アメリカの長期金利上昇を受けて値下がりしていたが、豪ドルは対照的な強さをみせたことになる。

円、豪ドル、ユーロ、ポンドの対ドル相場の推移のグラフ

日銀は12月利上げが濃厚 2026年の金融政策の見通しは豪ドル円にも影響

こうした中、豪ドル円相場の今後の見通しは、日銀の動向によっても左右されそうだ。日銀の植田和男総裁は1日に19日までの決定会合で利上げを検討すると言及。ブルームバーグによると、10日の金融市場では利上げ決定の確率が91%程度と見積もられている。植田氏はドル円相場での円安進行が物価上昇圧力として働きうるとしており、利上げで円安を食い止める狙いも感じさせている。

ただ、日銀が2026年も利上げを続けるかどうかには不透明感も残る。植田氏の利上げ姿勢は長期金利(10年物国債利回り)の上昇につながっており、利上げ継続は日本の企業や個人の経済活動を冷やしすぎる恐れもあるからだ。ブルームバーグによると、10日午前11時12分段階の金融市場では、2026年6月の決定会合後の政策金利の水準は0.870%と見込まれており、12月利上げを行ったうえで、さらに2026年前半での利上げが決まる確率は57%と見積もられている。

日銀の政策金利の見通しの推移のグラフ

このため、今後のFX市場で日銀が2026年前半にもさらなる利上げを決めるとの見方が浸透していけば円高圧力が強まり、豪ドル円相場での豪ドル高に歯止めがかかる可能性もありそうだ。一方、利上げ継続の見通しが長期金利のさらなる上昇を招き、政府の利払い増加が財政の健全性を悪化させるとの懸念につながれば、かえって円安を招くことも否定できず、豪ドル円相場の方向性が定まらない展開も想定されそうだ。


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