ポンド円見通し(12/10):止まらない円安、2008年以来の209円台が視野に
IG証券のアナリストによるポンド円予想。2008年8月以来の209円台が視野に。米FOMC後に米ドルの反発でドル円が上昇すれば、ポンド円の上昇拡大を意識したい。
要点
- 円安が止まらない。9日の外為市場では円が独歩安の展開に。ポンド円は2008年8月以来となる209円台を視野に上昇拡大
- FOMC後に米ドルが反発しドル円157円台以上の攻防となれば、ポンド円の上昇拡大が予想される
- 来週の日銀会合で2026年の利上げペース鈍化の観測が強まれば、211.74レベルを突破する可能性も出てくる
ブルームバーグの為替データで作成
早くも来年の利上げペースが焦点に
来週18~19日の金融政策決定会合で、日銀が利上げに踏み切る可能性が意識されている。翌日物金利スワップ(OIS)市場では、12月の利上げ確率が90%近くまで上昇している。
本来であれば、利上げ観測の高まりはその国の通貨高要因だ。しかし外為市場で円安が進行している現状は、市場参加者の関心がすでに2026年の利上げペースへ移行していることを示唆していると筆者は考えている。
OIS市場が織り込む政策金利の予想水準を確認すると、来年6月以降に日銀が政策金利を1%へ引き上げることを見込んでいる。当然、今後の国内外の経済情勢によって市場の思惑は揺れ動くだろう。しかし現時点で、利上げペースが緩やかになるとの見方が広がっている状況は、円安の一因になっていると考えられる。
日銀 政策金利の予想水準:2026年
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 10日12時時点
ブルームバーグの為替データで作成
ポンド円の短期見通しとテクニカル分析
短期見通し
英国の10年国債利回り(長期金利)と20年・30年の長期ゾーンの利回りの上昇が抑制されている。2025年秋季予算の内容を受け、ひとまず英国の財政懸念が後退していることを示唆している。
英国債利回りの日足チャート:今年9月以降
TradingView提供のチャート
一方、国内金利は上昇している。10年国債利回りは節目の2.0%を視野に上昇が拡大。20年債と30年債利回りにも上昇圧力が強まっている。この状況でポンド円が強気相場を維持していることは、上で述べた日銀の利上げペースの思惑に加え、日本の財政悪化を意識した円安圧力も高まっていることを示唆している。日銀の12月利上げがもはや材料視される状況にないことも踏まえれば、ポンド円の上昇局面では後述するチャート水準での攻防に注目したい。
注目のレジスタンスライン
日足チャートでポンド円(GBP/JPY)のトレンドを確認すると、MACDはポンド円が強気地合いにあることを示唆している。RSIは買われ過ぎの水準付近にあるが、50を目指すムードにはない。一目均衡表の3本線-転換線・基準線・遅行線のトレンドも考えるならば、目先のポンド円は209円台の攻防を意識したい。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション100%の水準209.36レベルの攻防に注目したい。
FOMC後に米ドルの買い戻しが進行すれば、ドル円(USD/JPY)は157円台の攻防となろう。円安優勢のなかでドル円の上昇が拡大すれば、ポンド円は209.36レベルを突破し、210円を視野に上昇拡大が予想される(FOMC前に突破する可能もある)。
210円台で底固めとなれば、211円のトライが視野に入る。このケースでは、もう一つのフィボナッチ・エクステンション100%の水準211.74レベルのトライを意識したい。
上値のチャートポイント
・211.74:フィボナッチ・エクステンション100%
・211.00:レジスタンスライン
・210.00:レジスタンスライン
・209.36:フィボナッチ・エクステンション100%
来週の日銀会合で2026年の利上げペースが緩やかになるとの思惑が強まれば、211.74レベルも突破する可能性が出てくる。米ドルの買い戻しによるドル円の上昇と円安の進行が重なれば、2008年7月の高値215.88円を重要なレジスタンスラインと想定し、212円、213円と1円刻みで新たな上値の水準を見極めることになろう。
一方、ポンド円が調整売りに直面する場合、目先は転換線と10日線が推移している207.00レベルの維持が焦点となろう(日足チャートを参照)。
ポンド円の日足チャート:今年7月以降
TradingView提供のチャート
ポンド円の月足チャート:2005年以降
TradingView提供のチャート
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