ユーロ円、ユーロ高の記録更新連発 180円目前 高市円安に歯止めは?
ユーロ円相場は一時179.97円。高市政権発足後の円安やECBの利下げ打ち止めが背景だ。一方、日銀の動きがユーロ高に歯止めをかける可能性もある。
ユーロ円相場でユーロ高の記録更新が続いている。ユーロ円相場は17日の取引で1ユーロ=179円台半ばで推移。14日には一時、179.97円をつけ、史上初の180円台に迫る場面もあった。ユーロ円相場は高市早苗政権誕生の起点となった自民党総裁選挙の翌営業日にあたる10月6日に約1年3か月ぶりの最高値更新を果たし、その後も円安の勢いが増すにつれて記録を塗り替えている。欧州中央銀行(ECB)が6月を最後に利下げを打ち止めにしていることも、ユーロ高を促す要因といえそうだ。一方、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、日本銀行が引き続き利上げを見据えていることがユーロ円相場でのユーロ高に歯止めをかける要因といえる。日銀が利上げに前向きな姿勢を示すなどすれば、ユーロ高の記録更新が一服する可能性もありそうだ。
ユーロ円相場は一時179.97円まで 10月以降はユーロ高記録を相次ぎ更新
ユーロ円相場(EUR/JPY)は日本時間17日午前12時17分段階で1ユーロ=179.52円で取引されている。ブルームバーグによると、ユーロ円相場は自民党総裁選後初の取引となった10月6日に176.25円をつけ、2024年7月11日以来となる史上最高値更新を果たした。その後も繰り返し記録を塗り替えており、11月14日の179.97円で180円台に肉薄している。
円の対ドル相場は高市トレードで4.58%の円安 ユーロを超える大きな下落に
ユーロ円相場での最高値更新の要因は円安だ。ブルームバーグによると、円の対ドル相場の14日のニューヨーク市場での終値は自民党総裁選前日の10月3日終値との比較で4.58%の円安。これに対してユーロの対ドル相場(EUR/USD)は1.03%のユーロ安となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が後退する中、円とユーロの両方がドルに対して下落しているが、積極財政を掲げ、日銀の利上げを牽制したこともある高市首相の政権運営を円安要因とみる投資家の思惑が、円安の度合いをより大きくしている形だ。
ECBは3会合連続で利下げを見送り ユーロは6月以降に強含み
またユーロ円相場でのユーロ高にはECBの利下げが打ち止めになっているという事情もある。ECBは10月30日の理事会で3会合連続で政策金利を維持。6月5日までの7会合連続で利下げを決めた後は様子見姿勢を続けている。2025年に入ってからのユーロの対ドル相場の値動きをみると、利下げの打ち止めが意識された6月以降、円やポンド、豪ドルの対ドル相場と比べて強含んでいる。
クリスティーヌ・ラガルド総裁は10月30日の理事会後の記者会見で、ユーロ圏経済の安定に自信を示すとともに、基調的な物価上昇率についても「(ECBが目標とする)2%付近で安定している」と述べた。翌31日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は総合指数が前年同期比2.1%で、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数は2.4%だった。
日銀は利上げ姿勢を維持 情報発信次第でユーロ高にブレーキも
一方、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、日銀の金融政策が利上げ方向であることが、相場を円高ユーロ安方向に動かしえる要因だといえる。日銀の植田和男総裁は10月30日の金融政策決定会合後の記者会見で、2026年の春闘での労使双方の動きを判断するために「データをもう少しみたい」としつつも、春闘の最終的な結果が出るまでは利上げしないという立場ではないことも強調。春闘の「初動のモーメンタム」で賃上げ動向の強さがみられれば、追加利上げに踏み切る可能性を残している。
足元の金融市場では円安が加速し、1ドル=155円台が視野に入っているが、高市政権下での経済財政諮問会議のメンバー構成などをめぐる思惑が材料視された結果で、日銀からの情報発信が変化したわけではない。また米国経済をめぐる思惑の結果として円安が155円を超える水準まで進んだとしても、この場合には、ユーロもドルに対して弱くなることが想定され、ユーロ円相場は大きく動かないことも考えられる。こうした中、ドル円相場での円安に背中を押される形で日銀が利上げに前向きな姿勢を示すなどすれば、ユーロ円相場でのユーロ高にブレーキがかかることも想定されそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。