S&P500は2営業日ぶり反落。財務懸念が強まっている大手ハイテク株が急落した。24日のマイクロンの決算発表も不安材料といえそうだ。
アメリカの株式市場の見通し不安が再燃した。S&P500種株価指数の22日の終値は3連休前比0.37%安で2営業日ぶり反落。アルファベットやアマゾン・コムといった大手ハイテク株が急落し、S&P500の足を引っ張った。12日に上場したばかりの宇宙開発企業スペースXが社債発行による資金調達を発表したことが、以前からくすぶっていた大手ハイテク企業の財務問題への注目を改めて強めたとみられる。一方、イラン情勢をめぐっては米財務省が22日、イランに対する経済制裁の緩和を発表。原油価格は下落しており、ホルムズ海峡開放が進んでいくとの楽観が強まった。ただ、22日の金融市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)がケビン・ウォーシュ新議長の下で、年内に2回の利上げを行うとの見方も強まっており、株価への下落圧力は増している。また24日の取引時間終了後に行われるメモリ半導体のマイクロン・テクノロジーの決算発表も投資家心理を冷やす恐れがあり、悪材料への関心がS&P500を急落させる恐れがありそうだ。
S&P500(SPX)の22日の終値は7472.79。ジューンティーンスの休日のため4営業日だけだった前週は、17日の米国とイランの和平協議の覚書発効を受けて週次0.93%高と堅調だったが、週明けの取引で0.37%安とつまづく結果となった。22日の終値は2日の最高値(7609.78)との比較では1.80%安だ。また、ブルームバーグによると、米国の長期金利(10年物国債利回り)は22日終値で4.510%で、10日(4.553%)以来、7営業日ぶりの高水準となっている。
大手ハイテク各社の株価急落がS&P500の足を引っ張った背景には、12日の上場で注目を集めたスペースX(SPCX)の動向がありそうだ。スペースXは22日、社債発行による資金調達を行う方針を発表。発行規模などは明らかにしていないが、ブルームバーグは18日の段階で、スペースXが「少なくとも200億ドル」の社債発行を検討していると報じていた。スペースXの株価の22日の終値は3連休前比16.43%安で3営業日続落。新規株式公開(IPO)で750億ドルを調達した直後に新たな資金調達が発表されたことが、上場後の買い手が売りに転じるきっかけになった側面がありそうだ。
22日に株価が急落した大手ハイテク各社も、スペースXと同様に社債発行による資金調達を進めており、財務状況への懸念が膨らんでいる。アルファベットは3月末の長期負債残高が1139億ドルとなり、3カ月前から47.5%増加。2月に200億ドルの社債を発行したほか、ポンド建てとスイスフラン建てでも社債を発行し、その後も円建て社債の発行や、株式売却による資金調達を発表している。同様にアマゾンも3月末の長期負債残高(2579億ドル)が3カ月前から36.5%増となっていた。やはり3月に370億ドルの社債と、145億ユーロの社債を発行したことが影響した。各社が人工知能(AI)関連投資のために巨額の資金調達を進めていることは、中長期的に利益を下押しするとみられ、S&P500にとっての不安材料といえる。
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一方、イラン情勢をめぐっては、S&P500の見通しを明るくする材料が出た。アメリカのJDヴァンス副大統領は22日、スイスでのイランとの協議後、記者団に対して、イランが国際原子力機関(IAEA)の査察官がイランに戻ることを認めたと言及。17日の和平協議の覚書発効後に始まった60日間の協議で最大の焦点となるイランの核開発に関し、イラン側が軟化の姿勢をみせたといえる。こうした進展を受けて、スコット・ベッセント財務長官は22日、イランの原油輸出を60日間限定で認める措置をとったと発表した。国営イラン通信(IRNA)は「イランは新たな約束はしていない」と報じ、外務省報道官がインタビューで「IAEAとのやりとりは既存の手続きに基づいて続けられる」と述べたとしている。
こうした中、22日の金融市場では原油価格が下落した。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)の22日の終値は1バレル=74.82ドルで、3連休前比2.32%安。日本時間22日午前8時台の段階では、イラン軍が20日にホルムズ海峡の再封鎖を宣言したことなどを受けて78.96ドルまで値上がりする場面もあったが、相場は落ち着きを取り戻したといえる。米中央軍がホルムズ海峡の開放を維持する考えを示していることもあり、原油先物市場では中東からの原油輸出が今後も進んでいくとみられているようだ。
ただ、WTIがイラン戦争開始前につけていた67ドル台に戻るには時間がかかるともみられる中、原油高が世界経済における物価上昇圧力として働き続けるとの見方は強い。このため22日の金融市場ではFRBの利上げ見通しが拡大。ブルームバーグによると、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は4.043%と見込まれており、3連休前比で0.029%ポイント上昇した。FRBが年末までに2度の利上げを行う確率は66%まで高まっている。FRBのウォーシュ新議長は17日のFOMC後の記者会見で、物価上昇への対応に軸足を置くことを強調しており、金利の先高観が株式投資の相対的な魅力を低くするS&P500にとっての逆風になっている。
またS&P500の今後の見通しをめぐっては、マイクロン(MU)が米国東部時間24日午後4時30分(日本時間25日午前5時30分)に行う2026年3-5月期決算発表も注目される。マイクロンは3月18日の2025年12月-2026年2月期決算発表に際しては設備投資負担の重さが嫌気され、株価は翌19日から26日までの6営業日続落で合計23.02%安となっていた。マイクロンはAI向けの高性能メモリ半導体を手掛け、株価はイラン和平への期待が強まった4月以降に3.5倍となっているが、今回の決算発表でも投資家の失望を招いた場合は、株価下落が他の大手ハイテク株の値動きに影響する可能性もありそうだ。
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