米国株、見通しにリスク S&P500週次続伸 重要半導体決算で波乱も
S&P500は週次0.93%高で、2週連続の値上がり。ただ、企業業績への期待が膨らみすぎている恐れもあり、マイクロンの決算発表が試練になる可能性がある。
アメリカの株式市場の見通しに晴れ間が差した。米国株式市場が休場だった19日、先物市場ではS&P500種株価指数に関連した先物商品が小幅安で取引終了。S&P500は18日までの1週間を0.93%高としており、2週連続での値上がりとなった。米国とイランの和平協議の覚書が発効し、ホルムズ海峡開放への期待が高まったことが要因だ。一方、イラン情勢の見通しには不透明感もあり、金融市場では原油価格が下げ止まっている。また、足元の株価は人工知能(AI)ブームを背景とした企業業績への高い期待に支えられているだけに、投資家心理が揺れ動けば、波乱に見舞われる恐れもある。実際、米連邦準備制度理事会(FRB)がケビン・ウォーシュ新議長の下での利上げ姿勢を感じさせた17日には、大手ハイテク株の上昇に冷や水がかかった。こうした中、24日にはメモリ半導体大手のマイクロン・テクノロジーの四半期決算発表が予定されており、S&P500の今後の見通しにとってのリスク要因といえそうだ。
アメリカのS&P500は週次0.93%高 ホルムズ海峡開放期待が追い風
S&P500(SPX)に関連した先物商品は、米国株式市場がジューンティーンスの休日だった19日、小幅に値下がりした。ブルームバーグによると、シカゴ・マーカンタイル取引所でのEミニS&P500先物(9月限)は19日の終値が7556.25となり、前日比0.19%安の小幅な値下がり。S&P500は休日前の18日までの週次で0.93%高となり、2週連続での値上がりを記録していたことを踏まえれば、休日中も堅調さは維持されたといえそうだ。
S&P500にとってはイラン戦争の和平への期待が最高の好材料といえる。14日に合意が発表されていた和平の覚書は17日になって両国による署名と発効が明らかにされた。米中央軍は18日、SNSのXへの投稿でイランに対する海上封鎖を終了したと発表。覚書にはイランが60日間に限り、民間船舶がホルムズ海峡の無料で安全な航行を確保することも定められており、緊張は緩和している。また、イラン和平の障害となってきたイスラエルと、レバノンを拠点とする親イラン組織ヒズボラの交戦も鎮静化する可能性がある。ブルームバーグによると、米政府はイスラエルとヒズボラが現地時間19日午後4時からの停戦で合意したと明かしている。
米国とイランの公式直接協議は始まらず 原油価格は下げ止まりで再上昇の懸念
一方、イラン情勢の見通しには不透明感もつきまとう。19日にスイスでの開催が見込まれていた米国とイランによる覚書への署名式は中止されており、両国の公式な直接協議が始まる機会は失われた。イランメディアのタスニム通信によると、イラン当局は19日に発表した声明で、ホルムズ海峡を通過する船舶に許可申請を求めているほか、安全な航行を確保するための費用が発生していることも付言されており、費用負担の在り方が今後の争点となる可能性もある。
こうした中、金融市場では原油価格が下げ止まっている。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)は18日の終値段階で、1バレル=76.60ドルとなり、終値としては3営業日連続での76ドル台となっている。米国とイランの正式な和平合意に向けたイランの核開発をめぐる協議が難航するなどすれば、原油価格は再び上昇する恐れもあり、S&P500にとっての不安材料といえそうだ。
企業業績への期待は高すぎか? 大手ハイテク株の値動きに脆さ
また足元のS&P500の堅調さは企業業績への高い期待に支えられており、投資家のAIブームへの期待が揺らげば、下落圧力に見舞われる恐れがある。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は19日段階で355ドル程度。イスラエルと米国によるイラン攻撃前日にあたる2月27日比で12.26%高となっている。ただ、この予想1株当たり利益の水準は直近12か月の実績としての1株当たり利益の水準よりも20%以上高く、投資家の期待の大きさが膨らみすぎているとの懸念もある。
実際、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価には脆さもみられた。FRBが連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を発表した17日は、ウォーシュ氏が物価安定化に軸足を置いて金利の先高観を強めたことを要因として、7社すべての株価が下落。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は前日比2.38%安の急落となった。18日には1.59%高と反発してはいるが、前日の下落分は取り戻せておらず、イラン和平への期待を背景とした大手ハイテク株の上昇に早くもブレーキがかかった。
24日にマイクロンが決算発表 投資家の失望を招けばS&P500に下落圧力も
こうした中、週明け22日以降のS&P500の見通しにとっては、マイクロンが米国東部時間24日午後4時30分(日本時間25日午前5時30分)に行う2026年3-5月期決算発表が試練となる。AI向けの最先端メモリ半導体を手掛けるマイクロンの株価(MU)はイラン和平への期待が高まった4月以降、6月18日までに3.3倍となっており、NVIDIA(エヌビディア、NVDA)など他の半導体株を大きく超える値上がりをみせてきた。それだけに24日の決算発表が投資家の高い期待に応えられなければ、株式市場での半導体ブームの過熱感が意識される展開も考えられ、S&P500に大きな下落圧力がかかる可能性もありそうだ。
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