原油価格、再上昇 ホルムズ海峡に試練 イラン和平協議見通し不良
WTIは一時、3連休前の安値から7%超高まで上昇。イランのホルムズ海峡再封鎖宣言が材料視された。米国とイランの協議は今後も曲折が予想される。
原油価格が再び上昇した。原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し)は日本時間22日の取引で一時、1バレル=79ドル近くまで値上がり。3連休前の18日につけた安値から7%以上高い水準となり、下落基調にブレーキがかかった。イランが20日、イスラエルによるレバノン南部への攻撃を問題視し、17日に発効した和平覚書で定められたホルムズ海峡の開放を撤回したことが要因だ。一方、米国側はホルムズ海峡の開放は維持されているとの立場。21日にはスイスで米国とイランに仲介国を交えた4か国協議も行われ、一定の前進があったもようだ。ただ、スイスでの協議に際しては米国とイランの双方が緊張を高める発言を繰り出しており、今後の協議にはなお曲折が予想される。原油価格は今後も不安定な値動きが続きそうだ。
WTIは一時78.96ドルまで上昇 3連休前の安値から7.31%高
WTI(7月渡し、WTI原油)は日本時間22日午前8時台に1バレル=78.96ドルをつけた。ブルームバーグによると、18日の安値(73.58ドル)からは7.31%高にあたる水準だ。WTIは和平覚書の成立が公表された15日以降、80ドル未満での取引が続いてきたが、再び上昇圧力が増した形となった。
イラン軍がホルムズ海峡再封鎖を宣言 米国は開放維持に自信
原油価格上昇の背景にあるのはイラン情勢の悪化だ。イラン国営メディアによると、イラン軍は20日午後、ホルムズ海峡の再封鎖を宣言。17日発効の覚書に盛り込まれていた60日間に限って民間船舶に対して安全な航行を確保する措置を撤回した。覚書はレバノンを含む地域での即時の持続的な停戦で合意しているが、レバノンを拠点とする親イラン組織ヒズボラと、レバノン南部への駐留を続けているイスラエル軍の間では交戦が続いており、イラン側は合意が履行されていないと主張している。
一方、イランによる再封鎖宣言にも関わらず、米国側はホルムズ海峡開放の維持に自信をみせている。ドナルド・トランプ大統領は日本時間22日午前5時台(米国東部時間21日午後4時台)、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、「ホルムズ海峡は開放され、石油輸送は急ピッチで動いている」と言及した。米中央軍は20日、ホルムズ海峡周辺への駐留を続け、ホルムズ海峡開放を含む合意事項が履行されることを監視し続けるとしていた。
スイスでの4か国協議は今後の枠組みなどで合意 原油価格への上昇圧力は継続か
また、覚書に盛り込まれていた最終合意に向けた60日間の協議は21日にスイスで始まっている。イランメディアのタスニム通信によると、米国とイランの協議は現地時間21日午後3時ごろから、仲介国のパキスタンとカタールを交えた4か国協議の形で行われた。イラン側はモマンマド・バゲル・ガリバフ国会議長が交渉団を率い、米国のJDヴァンス副大統領らと協議したという。日本時間22日午前10時台にカタール外務省の公式Xアカウントに投稿された声明文によると、スイスでは今後の協議に向けた枠組みが合意されるとともに、ホルムズ海峡の安全な航行に関する不測の事態や誤った意思疎通を避けるための連絡経路を設置。レバノンでの戦闘鎮静化に向けた協議の窓口を設けることも決まったという。
ただ、スイスでの協議は荒れ模様だったようだ。タスニム通信は声明文発表前、初回の協議は1時間半ほど続いた後、30分の休会となり、イラン側が協議再開を拒否していると報じていた。トランプ氏が21日にSNSへの投稿で、イランがヒズボラへの支援を止めない場合には「米国は再びイランに打撃を加える」と予告したことを問題視したためだという。トランプ氏の投稿を受けてガリバフ氏はSNSのXへの投稿で、「われわれは米国の脅迫は全く相手にしない」と反撃しており、米国とイランの今後の協議も難航が予想される。
イスラエルがレバノン南部への駐留を続ける限り、イスラエルとヒズボラとの交戦が米国とイランの和平協議を危うくする構図に変化は出ない。このため原油価格は当面の間、上昇圧力がかかりやすい状況となりそうだ。
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