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米国株、和平見通しに不安再燃 S&P500反落 雇用統計も焦点に

S&P500は10営業日ぶり反落。米国とイランの停戦が危ぶまれている。一方、5日発表の雇用統計は堅調な結果になりそうだ。

米国株、和平見通しに不安再燃 S&P500反落 雇用統計も焦点に 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場の楽観ムードが後退した。S&P500種株価指数の3日の終値は前日比0.74%安で、10営業日ぶりの反落。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテクの7社の株価でも、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が2日続落となるなど、値下がりが目立った。米国とイランの交戦が報じられる中、停戦の継続が危ぶまれていることが要因だ。原油価格が3日までに3日続伸となり、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げがますます遠のいていることは、株式市場にとっての逆風といえる。一方、米国の労働市場をめぐっては良好な数字が相次ぎ、5日に発表される5月の雇用統計も堅調な結果が出るとの期待は強い。さらにイラン戦争をめぐっては、日本時間4日朝、イスラエルとレバノンが停戦で合意したと報じられ、S&P500の見通しにとっては好材料だ。ただ、中東和平の実現が不確かなことは間違いなく、今後、高値圏にあるS&P500のさらなる上昇に一服感が出る展開も考えられる。

アメリカのS&P500は10営業日ぶり反落 長期金利は4.5%目前まで上昇

S&P500(SPX)の3日の終値は7553.68。ブルームバーグによると、前日比での値下がり(0.74%安)は5月19日(0.67%安)以来となる。ドナルド・トランプ大統領がイランとの和平協議が「最終段階にある」と述べた20日以来の連騰記録は9でストップした。また米国の長期金利(10年物国債利回り)は3日終値で4.496%まで上昇し、5月25日(4.559%)以来の4.5%超えが迫っている。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアは2日続落 アルファベットは4日続落で合計7.98%安

S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株の3日の値動きでも、エヌビディアの株価(NVDA)が前日比3.62%安となって2日続落。メタ・プラットフォームズ(META)が3.17%安、アマゾン・コム(AMZN)が2.53%安となるなど、マグニフィセント・セブンの7社の中の6社の株価が下落している。このうちアルファベット(GOOGL)は3日、株式による資金調達の規模が847.5億ドルになると発表し、1日に示した800億ドルから引き上げた。株式の売り出しは株価の下落要因といえ、アルファベットの株価は3日までの4営業日続落の間に7.98%安となっている。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

米国とイランが攻撃の応酬 原油価格は1週間半ぶりの高値に

3日のS&P500の下落の要因は米国とイランの和平実現が遠のいたことだ。米中央軍は2日の取引時間終了後、SNSのXへの投稿でイランの港に向かっていたタンカーのエンジンルームへにミサイル攻撃を加え、航行不能にしたと公表。一方、米メディアは、イランがクウェートの国際空港などを弾道ミサイルで攻撃し、1人が死亡、63人が負傷したと報じている。イランはバーレーンの米軍基地にも攻撃を加えたという。イランメディアのタスニム通信は3日、和平に向けた覚書の協議について「イラン側はここ数日、米国からの草案に返事をしていない」としている。

米国とイランの交戦がホルムズ海峡の開放への期待を遠かせる中、金融市場では原油価格の上昇が続いている。ブルームバーグによると、原油の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)の3日の終値は前日比2.41%高の1バレル=96.02ドル。3日続伸の間に合計9.91%高となった。取引時間中には一時、97.00ドルをつけ、5月25日(99.43ドル)以来の高値を付ける場面もあった。

WTIの価格の推移のグラフ

原油高で物価上昇過熱懸念 FRBの年内利上げ確率は81%に

原油高は世界的に物価上昇圧力として働いており、金融市場ではFRBの次の金融政策変更は利上げになるとの見方が強まっている。ブルームバーグによると、3日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.817%で、現状(3.50-3.75%、中間値3.625%)よりも0.192%ポイント高い水準。年内利上げ確率は81%と見積もられている。FRBは2024年9月から2025年12月にかけて政策金利を1.75%ポイント引き下げ、2月末のイスラエルと米国によるイラン攻撃前は年内2回の追加利下げがS&P500への追い風になると期待されてきたが、見通しは一変している。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

労働市場に底堅さ 5日発表の5月雇用統計はS&P500の好材料か

一方、企業活動の足かせといえる原油高の長期化にも関わらず、米国の労働市場は底堅さを示している。2日発表された4月の雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が761.8万件となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の686.6万件を大きく超えた。また民間雇用サービス会社ADPが3日に発表した5月の全米雇用リポートでも、非農業部門の雇用者数(政府部門除く)が前月比12.2万人増となり、市場予想(12万人)とほぼ一致する結果となっている。

また5日午前8時30分(日本時間5日午後9時30分)に発表される5月雇用統計も堅調な結果になる可能性がある。ブルームバーグによると、非農業部門の就業者数は前月比8.5万人増となり、直近3カ月の平均では12.8万人増になる見通し。失業率は4.3%で前月(4月)から横ばい。平均時給の伸び率は前年同月比3.4%となり、4月(3.6%)よりも低くなると見込まれている。予想通りの結果となれば、労働市場の急変も、賃金上昇が物価を上昇させる構図の強まりも感じさせない、S&P500にとっての好材料になりそうだ。

アメリカの雇用統計の推移のグラフ

イスラエルとレバノンの停戦に期待 S&P500の見通しは予断許さず

さらにイラン戦争をめぐっては日本時間4日朝になってイスラエルとレバノンが停戦で合意したとも報じられている。ブルームバーグによると、米国を加えた3か国で発表した共同声明では、レバノンを拠点とする親イラン組織ヒズボラによるイスラエルへの攻撃の「完全停止」を条件として、イスラエルとレバノンが「直接交渉を継続する方針」が確認されたという。イランは米国との和平交渉に際し、イスラエルによるレバノン領への攻撃が続いていることを問題視している。

ただ、投資家は中東情勢の見通しを楽観しているわけではなさそうだ。ブルームバーグによると、S&P500に関連した先物商品(EミニS&P500先物=6月限)の価格は、イスラエルとレバノンの停戦合意が伝わった日本時間午前8時以降も目立った上昇はみせていない。S&P500の3日の終値はは3月30日につけた直近の安値から19.07%高の水準にあり、今後は上昇に一服感が出る可能性もありそうだ。


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