S&P500は2営業日続落。30年物国債利回りが19年2カ月ぶりの高さになるなど、金利上昇が嫌気されている。AIブーム継続への不信も続いている。
アメリカの株式市場に金利上昇リスクが浮上した。S&P500種株価指数の17日の終値は2営業日続落の前週末比0.52%安。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価が総崩れとなる値動きで、マイクロソフトやアマゾン・コムといった2026年4-6月期決算発表が好感された銘柄も下落が続いている。米国の金融市場では超長期ゾーンの米国債利回りの上昇が注目されており、人工知能(AI)関連投資のために社債発行を繰り返している大手ハイテク各社にとっての悪材料とみなされているようだ。金利上昇の背景にはホルムズ海峡開放の見通しがつかないことがあり、原油価格の上昇も改めて金利高要因として意識されている。一方、米国に上場する半導体株は17日の取引で反発し、メモリ半導体のマイクロン・テクノロジーが牽引役となった。ただ、半導体株の値動きからはAIブーム継続への疑念の根強さも感じられ、S&P500の今後の見通しをめぐっては、下落圧力の強さが意識されそうだ。
S&P500(SPX)の17日の終値は7745.06 。ブルームバーグによると、前週末比0.52%安は14日の0.17%安に続く値下がりで、この2営業日の間に13日の最高値(7798.99)から0.69%安に後退した。また、長期金利(10年物国債利回り)は17日終値で4.723%高となり、FRBが利上げで出遅れるとの観測が浮上した7月31日(4.736%)以来の高水準となった。
S&P500の17日の取引はマグニフィセント・セブンの7社のすべてが値下がりしたことが重荷となった。メタ・プラットフォームズ(META)が前週末比3.54%安となったほか、マイクロソフト(MSFT)は3.04%安、テスラ(TSLA)は0.87%安となっている。このうちマイクロソフトは7月29日の決算発表に際して、2026年の設備投資額の見通しが会計基準変更の結果として縮小するとしたことが好材料視されて、8月10日には決算発表当日比29.58%高となっていたが、17日終値はこの高値から5.08%安となっている。同様にアマゾン・コム(AMZN)も30日の決算発表でクラウド事業の成長加速が好感され、8月3日には決算発表当日比で20.60%高となっていたが、17日までにこの高値から8.00%安まで下落が進んだ。
大手ハイテク各社の株価下落は超長期ゾーンの金利上昇が嫌気された結果である可能性がある。ブルームバーグによると、30年物米国債の利回りの17日の終値は5.306%で、2007年6月12日(5.402%)以来、19年2カ月ぶりの高水準だ。大手ハイテク各社はAIサービス拡充のために巨額の設備投資を続けており、社債発行で資金を調達する必要に迫られている。米国の金利上昇が進めば、今後の各社の金利負担が膨らむことが想定され、S&P500の牽引役である大手ハイテク各社の業績にとっての悪材料といえそうだ。
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こうした金利上昇の背景には、終結の見通しがつかないイラン戦争に伴うホルムズ海峡封鎖の長期化がある。6月17日に発効が発表された米国とイランとの和平合意の覚書では、イランがホルムズ海峡を航行する民間船舶に60日間に限り無料で安全な航行を確保する措置を講じることが定められていたが、7月7日以降は合意が順守されていない状況が続いてきた。ドナルド・トランプ大統領は8月17日、ホワイトハウスで記者団から覚書の期間延長を望んでいるかと問われ、「ノー」と答えている。17日の金融市場では原油先物市場の指標価格であるWTI(9月渡し、WTI原油)の終値が前日比2.55%高の1バレル=84.50ドルとなり、7月31日(84.67ドル)以来の高値となった。原油高は物価上昇圧力を強める要因で、FRBが利上げによって物価上昇を抑え込む必要性を強める、S&P500にとっての逆風だ。
一方、17日の米国株式市場では半導体株の堅調さも確認された。ブルームバーグによると、米国に上場する半導体株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の17日の終値は前週末比1.64%高となり、7月14日以来の高値となった。AI向けの高帯域幅メモリ(HBM)を手掛けるメモリ半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)は前週末比4.13%高の1011.75ドルとなり、7月1日(1032.28ドル)以来の高値となってSOXを牽引。このほか、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も前週末比5.55%高となって3営業日ぶりに反発しており、S&P500を下支えした。
ただ、株式市場でのAIブームを象徴する銘柄で、マグニフィセント・セブンの一角でもあるNVIDIA(エヌビディア、NVDA)は前週末比0.07%安で、小幅ながらも2営業日続落。ブロードコム(AVGO)も同様に2日続落の0.14%安となっている。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)は5営業日ぶり反落の1.63%安だ。このうちエヌビディアは17日、ソフトバンクグループ( 9984)などが支援するSBエナジーがオハイオ州南部で建設中の大規模データセンターにエヌビディアの半導体が独占的に採用され、オープンAIが20年間のリース契約を結んで利用すると発表。同時にエヌビディアが建設に金融面での支援を行うとともに、SBエナジーに15億ドルを出資すると発表した。ブルームバーグは、エヌビディアがこのデータセンター建設に関連して、最大1050億ドルを支出することに合意したと報じており、「循環取引」との疑念を強める側面があることは否めない。
投資家心理への重荷となっているイラン情勢やAIブームの継続性をめぐる不安は早期の解消が実現する可能性が低い。このためS&P500の今後の見通しをめぐっては下落圧力が高まり、最高値更新がさらに遠のく値動きになることも考えられそうだ。
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