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米国株、イラン情勢に潜む急落リスク S&P500反発 金利高再燃も

S&P500は4営業日ぶり反発。米国の金利低下が好感された。ただ、イラン情勢は緊張感が高まっており、急落リスクが潜んでいそうだ。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

アメリカの株式市場の値下がりが小休止した。S&P500種株価指数の19日の終値は前日比0.21%高で、4営業日ぶりの反発。米財務省が国債の買い戻しを拡大すると発表したことが、金利上昇の抑え込みに乗り出していると受け止められ、好材料となった。19日の取引では社債発行が悪材料視されてきた大手ハイテク各社の株価が上昇しており、S&P500を押し上げている。ただ、19日の取引では半導体株が連日の急落に見舞われており、7月下旬以降の上昇基調が崩れた。また、イラン情勢の先行き透明感を背景とした原油価格の上昇には歯止めがかかっておらず、世界経済にとっての重荷となり続けている。こうした中、ドナルド・トランプ大統領は19日の取引時間終了後、イランに対する経済制裁による圧力を強める考えを公表。イラン情勢をめぐる緊張感の高まりは金利上昇を再燃させる可能性があり、S&P500の今後の見通しには急落リスクも潜んでいそうだ。

S&P500は0.21%高 小幅ながら4営業日ぶり反発

S&P500(SPX)の19日の終値は7707.98。S&P500は18日までの3営業日続落で1.37%安となっていたが、19日は前日比0.21%高の小幅な反発となった。ブルームバーグによると、19日の終値は13日につけた最高値(7789.99)からは1.17%安の水準となっている。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

米財務省が国債買い戻しの拡大を発表 大手ハイテク株が値上がり

S&P500の下落に歯止めをかけたのは金利上昇リスクの後退だ。米財務省は19日、すでに予定されていた10年-30年物の米国債の買い戻しの規模を「少なくとも2倍に引き上げる」と発表。米国債をめぐっては、17日に30年物米国債の利回りが19年2か月ぶりの高水準となったことが注目されていただけに、金融市場では今回の財務省の動きは金利上昇抑制を狙った決定だと受け止められている。19日の金融市場では、30年物国債の利回りが前日よりも0.092%ポイント低い、5.191%となっている。

米国債の利回りの推移のグラフ

米国債の利回り低下を受けて、19日の株式市場ではS&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社のうち6社の株価が値上がりした。テスラ(TSLA)は前日比4.23%高となって3営業日ぶりの反発。アマゾン・コム(AMZN)は2.46%高で、7営業日ぶりの反発だった。アマゾンなどは人工知能(AI)サービスの拡充のために必要な巨額の資金を社債発行で調達する動きを強めており、このところの金利上昇が悪材料とみなされてきた。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

半導体株は連日の急落 原油価格は3週間半ぶりの高値

ただ、19日の取引ではAIブームが追い風となってきた半導体株が連日の急落に見舞われ、S&P500の反発の足を引っ張っている。ブロードコム(AVGO)は前日比4.61%安で、4営業日続落の間に13.24%安。半導体の名門企業インテル(INTC)も2営業日続落で合計10.33%安となった。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)も3営業日続落の間に合計9.33%安だ。

エヌビディア、AMD、インテル、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

19日は米国に上場する半導体株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も2営業日続落で合計6.99%安となっている。SOXは17日の段階では、AIブームの継続性への不安が高まる中で記録した7月29日の直近の安値から、20.80%高まで上昇する復調をみせていたが、勢いが途切れた感がある。

フィラデルフィア半導体株指数の推移のグラフ

また、S&P500にとってはホルムズ海峡の封鎖が解消される見通しがつかず、原油価格の上昇が続いていることも依然として重荷だ。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(9月渡し、WTI原油)の19日の終値は前日比1.05%高の1バレル=85.83ドルとなり、7月24日(89.31ドル)以来、3週間半ぶりの高値となった。イラン情勢をめぐっては8月上旬、イランとオマーンが続けてきたホルムズ海峡の自由な航行を確保するための協議が合意に至ったと公表されたことから、WTIが75.22ドルまで下落する場面もあったが、その後は具体的な進展はみられていない。

WTIの価格の推移のグラフ

トランプ氏が対イラン経済制裁強化を表明 S&P500に急落の恐れ

こうした中、原油価格にかかる上昇圧力はさらに強まる可能性が高まってきた。ドナルド・トランプ大統領は19日午後7時前、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、「最も強力な経済作戦を発表する」と表明。自国の金融機関や企業、空港、政府機関がイランに対する事業継続の支援を行うことを容認している国について、「莫大な経済的な報い」を受けることになるとした。またトランプ氏は、すべての同盟国に対して、イランの孤立化に向けた米国の取り組みに協力するよう求めている。今後、具体的な施策が公表されれば、ホルムズ海峡の開放がさらに遠のくとの見方が、S&P500に下落圧力をかける可能性がある。

ホルムズ海峡封鎖という世界経済にとってのリスク要因がさらに長期化することになれば、世界的な物価上昇が米連邦準備制度理事会(FRB)を含む各国の中央銀行に物価上昇抑制のための利上げを迫るという構図が、改めて米国債の利回り上昇につながる可能性がある。米財務省が19日に米国債の買い戻しに乗り出したことは、事態の深刻さの裏返しととらえることも可能で、S&P500の見通しには急落リスクが潜んでいるといえそうだ。

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