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ドル円、雇用統計で円安の可能性 158円台 協調介入後の円高に弱さ

ドル円相場は158円台。日米協調介入後の155円台から円安に振れている。FRBの利上げ見通しの根強さが要因といえ、7月雇用統計が注目される。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

ドル円相場で円安圧力が続いている。ドル円相場は日本時間7日午後の取引で1ドル=158円台で推移。日米両政府による協調為替介入後につけた155円台前半から改めて円安が進んでいる形だ。為替介入後の円高が長続きしなかった要因には、米国の金融政策の見通しの不透明感がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長が利上げを急がない姿勢を示す中でも、金融市場では9月利上げを見込む声が根強い。また、イラン情勢の行方も見通しが立ちにくく、くすぶり続ける原油高懸念はドル円相場での円安要因といえる。一方、日本銀行の金融政策をめぐっては、9月利上げ観測も高まってきた。日米両政府が示した円安阻止の決意と合わせれば、今後、徐々に円高の流れが強まる可能性もある。ただ、ドル円相場の短期的な値動きは、米国で7日に発表される7月雇用統計で大きく左右されそうだ。労働市場の強さが確認されれば、FRBの利上げ見通しが強まることで、ドル円相場がさらに円安に動く展開も考えられる。

ドル円相場は一時158.57円 日米協調介入の円高効果薄れる

ドル円相場(USD/JPY)は日本時間7日午後2時57分に1ドル=158.35円で取引されている。ブルームバーグによると、午前9時台には158.57円をつけ、7月31日(160.88円)以来の円安水準となる場面もあった。ドル円相場をめぐっては、8月3日、日米の財務相が米国東部時間の7月31日に協調市場介入を行ったと発表。3日午前9時台には155.23円まで円高が進み、7月23日につけた39年半ぶりの円安水準(163.99円)との比較では8.76円の円高水準となったが、その後、この円高水準から3円超、円安に戻したことになる。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

こうした円安の流れの根強さは、日米両政府による円安是正に向けた決意とは対照的だ。片山さつき財務相は8月3日の声明で「米国財務省との緊密なコミュニケーションを維持している」と強調。米国のスコット・ベッセント財務長官もSNSのXへの投稿で、さらなる協調介入を行うことも躊躇しないとし、「円の大幅な過小評価を是正するための日本による金融市場と金融政策における断固たる行動を強く支持する」としていた。日本の財務省は7月30日にも市場介入を行ったとみられている。

FRBの9月利上げ見通しに根強さ 原油価格の下落も停止

日米両政府による協調介入という異例の決断でも円高進行が続かなった背景にはFRBの金融政策の不透明感がある。ウォーシュ氏は金融政策に関する情報発信は最低限に抑えるとする立場。7月29日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見では利上げを急がない姿勢を感じさせたものの、金融市場では9月15、16日のFOMCでの利上げ確率は56%程度あると見込まれている。ブルームバーグによると、6日段階で見込まれている9月FOMC後の政策金利の水準は3.772%で、現状の政策金利(3.50-3.75%、中間値3.625%)よりも0.147%ポイント高い。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

FRBの金融政策を左右する米国の物価情勢をめぐっては、イランとオマーンがホルムズ海峡の安全な航行に関する協議で合意したとされたことで原油価格が下落し、FRBが物価上昇抑制のために利上げをする必要性が薄れたとの見方が出ていた。ただ、合意内容をめぐっては6日以降、米国とイスラエルの船舶の通航を禁止することなどが盛り込まれているとも報じられており、ホルムズ海峡の開放に向けた雲行きは怪しくなってきた。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(9月渡し、WTI原油)は日本時間7日午後2時57分段階で1バレル=78.30ドルで取引されており、6日のニューヨーク市場の終値比で1.31%高となっている。

WTIの価格の推移のグラフ

FX市場の流れは不明瞭 主要通貨の値動きが割れる

こうした中、このところのFX市場では相場の流れが明確になっていない。主要通貨の6日のニューヨーク市場での終値を日米の為替介入が行われた後の7月31日終値と比較すると、豪ドルの対ドルレート(AUD/USD)が0.19%の豪ドル高、ユーロの対ドルレート(EUR/USD)が0.02%のユーロ安、ポンドの対ドルレート(GBP/USD)が0.21%のポンド安だ。円の対ドルレートは同じ期間で0.65%の円安となっている。

円

日銀の9月利上げ確率は65%まで上昇 中期的には円高進行か

一方、日銀の金融政策をめぐっては、利上げ見通しが強まってきた。ブルームバーグによると、7日午後2時57分の金融市場で見込まれている9月17、18日の金融政策決定会合後の政策金利の水準は1.142%で、利上げ確率は66%となっている。9月利上げの確率は日米両政府による為替介入前の7月30日段階では23%だったことを踏まえれば、日本政府が米国政府の協力を得てまで円安修正に乗り出す中、日銀も利上げを進めることで円高の流れを作らざるを得ないとの見方が広がっているようだ。

日銀の政策金利の見通しの推移のグラフ

実際、日銀の植田和男総裁は7月31日までの決定会合後の記者会見で、基調的な物価上昇率が2%に近づいているとの立場を繰り返し、今後は「利上げのペースを速めることも十分にありえる」としていた。このためドル円相場では、中期的には円高の流れが徐々に強まっていく可能性がありそうだ。

7月雇用統計は堅調な結果か 上振れの場合は円安進行も

ただ、短期的なドル円相場の値動きは、金融市場の注目度が高い米国の経済指標で左右される度合いが大きくなるとみられる。米国で7日午前8時30分(日本時間7日午後9時30分)に発表される7月雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比8.0万人増になると見込まれており、堅調な結果となりそうだ。米国経済をめぐっては人工知能(AI)関連の半導体需要の強さが景況感を上向かせていることもあり、7月雇用統計が市場予想よりも強い結果となってFRBの利上げ見通しが強まることで、ドル円相場が円安に動くことも考えられる。

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