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ドル円、歴史的円安の可能性 161円台 為替介入でも円高は短命か

ドル円相場は161円台後半。FRBの利上げ姿勢がドル高要因となった。日米の政策金利の予想水準の差は拡大していて、1986年以来の円安が近づいている。

ドル円、歴史的円安の可能性 161円台 為替介入でも円高は短命か 出所:ブルームバーグ

ドル円相場で円安進行の可能性が急激に強まってきた。ドル円相場は日本時間19日午後の取引で1ドル=161円台で推移。2024年7月以来、1年11か月ぶりの円安水準をつけている。米連邦準備制度理事会(FRB)が17日に示した利上げに前向きな姿勢がドル高要因とみなされているためで、FX市場では円以外の主要通貨もドルに対して安くなっている。一方、金融市場の関心を集めてきたイラン情勢をめぐっては、米国とイランの和平の覚書が発効し、中東有事を材料視したドル買いは落ち着くことも想定される。また、日本銀行が16日に半年ぶりの利上げを決め、年内の追加利上げを見据えていることは円高材料とみることができる。ただ、金融市場が予想する日米の政策金利の差は拡大傾向にあり、足元の円安圧力は強い。FRBの利上げが意識される中では、日本政府が為替介入を行ったとしても効果は短期的にとどまるとも考えられ、39年半ぶりという歴史的な円安水準に到達する展開もちらついてきそうだ。

ドル円相場は一時161.85円 1年11か月ぶりの円安水準に

ドル円相場(USD/JPY)は日本時間19日午後2時段階で1ドル=161.38円で取引されている。ブルームバーグによると、午前4時台には161.81円をつけ、2024年7月10日(161.81円)以来の円安水準となっている。この1年11か月前の円安は日本政府による為替介入で円高が急進するきっかけになっており、足元のドル円相場でも為替介入への緊張が高まっている。ドル円相場は2024年7月上旬から8月上旬にかけての1か月で、161円台後半から141円後半まで20円の円高が進んだ

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

新体制のFRBの利上げ見通し強まる 7月利上げ確率が39%に上昇

足元の円安進行のきっかけはFRBの利上げ見通しが強まったことだ。FRBは17日、ケビン・ウォーシュ新議長の下で初めてとなる連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、経済見通しでは19人の参加者中、9人が年内の利上げを想定していることが明かされた。ウォーシュ氏は記者会見で「物価安定の側に取り組むべき課題がある」と述べ、イラン戦争に伴う原油価格の上昇が要因のひとつとなっている、物価上昇圧力の強まりに警戒感を示した。

FRBの利上げ姿勢を受け、金融市場ではFRBが7月28、29日のFOMCで利上げに踏み切るとの見方も膨らんできた。ブルームバーグによると、18日の金融市場で見込まれている7月FOMC後の政策金利の水準は3.726%で、現状(3.50-3.75%、中間値3.625%)よりも0.101%ポイント高い。7月利上げの確率は39%と見積もられており、FOMCの決定発表前日にあたる16日段階での11%から大きく上昇した。同時に10月までの利上げ確率は100%とみられており、ドル円相場での円安材料といえそうだ。

金融市場で見込まれているFRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

円以外の通貨もドルに対して下落 ポンドはFOMC後に1.64%のポンド安

こうした中、FX市場では円以外の主要通貨もドルに対して下落している。ブルームバーグによると、主要通貨の18日のニューヨーク市場での終値を16日終値と比較すると、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は1.64%のポンド安、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は1.29%のユーロ安、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は0.78%の豪ドル安となった。円の対ドル相場は0.59%の円安で、為替介入への警戒で他通貨よりは底堅かったとはいえ、ドル高圧力の強さが示されている。

円、豪ドル、ポンド、ユーロの対ドル相場の推移のグラフ

イラン和平の覚書発効で有事のドル買いは鎮静化か 日銀の利上げ姿勢も円高要因に

一方、イラン情勢をめぐっては、FOMCの結果が発表された17日、米国とイランの和平覚書が両国の署名を経て発効したと明かされた。2月末の開戦以降続いてきた有事のドル買いは落ち着いていくとみられ、ドル円相場にとっては円高材料といえる。また日銀はFRBに先駆けて16日までの金融政策決定会合で利上げを決定。声明文は「引き続き、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との文言を維持しており、今後の追加利上げが円高材料として働くことも考えられそうだ。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている日銀の12月決定会合後の政策金利の水準は19日午後2時段階で1.204%で、現状(1.00%)よりも0.204%ポイント高い。年内利上げ確率は90%と見込まれている。

金融市場で見込まれている日銀の政策金利の推移のグラフ

日銀の利上げはスローペース? FRBと日銀の予想政策金利の差は拡大傾向

ただ、日銀の追加利上げ姿勢には慎重さもにじむ。感染症治療中の植田和男総裁に代わって16日に記者会見した内田真一副総裁は、物価上昇の上振れリスクが強まったとしつつも、フェーズが変わったわけではないとも指摘。今後の利上げは経済情勢を見極めながらの判断になるとの見方を示した。日銀は2024年3月19日の大規模金融緩和終了後、7月に行った最初の利上げ以降は、少なくとも半年の間隔をあけて利上げを進めており、連続利上げや連続利下げも珍しくない他の主要中銀と比べて、金融政策をスローペースで変更する印象が強い。

日銀、FRB、ECB、BOE、RBAの政策金利の推移のグラフ

このため、金融市場で見込まれている日米の政策金利の水準を比較すると、両者の差は拡大傾向にある。ブルームバーグによると、18日の金融市場で予想されている3会合後(10月)のFOMCで決まるFRBの政策金利の水準と、3会合後(10月)の決定会合で決まる日銀の政策金利の水準を比較すると、FRBの予想政策金利の方が2.807%ポイント高くなっている。こうして算出する両中銀の3会合後の予想政策金利の差は2月5日段階では2.363%ポイントまで縮まっていたが、2月末のイラン戦争開戦を挟んで流れが変わったといえそうだ。

日銀とFRBの予想政策金利の差とドル円相場の推移のグラフ

FRBの利上げ見通しで為替介入は威力不足も ちらつく1986年以来の円安水準

ドル円相場が2024年7月から8月にかけて、為替介入をきっかけに円高が20円も急進した際は、米国の物価上昇率の低下7月雇用統計の悪化を受けて、FRBの利下げ見通しが大きく強まる時期と重なっていた。これに対して、FRBの利上げが予想されている足元の金融市場では、日本政府が為替介入を行ったとしても円高効果は短命に終わる可能性がある。

ブルームバーグによると、ドル円相場が2024年7月3日につけた1ドル=161.95円を超える円安になれば、1986年12月23日(162.70円)以来の記録となる。ドル円相場での為替介入への警戒は根強いものの、円安圧力はかつてなく強まっているとみることができそうだ。


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