日経平均、高市総裁でご祝儀相場か 4万6000円期待 失速リスクも
日経平均株価は週次414円高。高市自民党総裁誕生は週明け6日の大台乗せを期待させるが、長期金利上昇を招けばご祝儀ムード暗転のリスクもある。

日経平均株価に上昇期待が膨らんでいる。日経平均の3日の終値は1週間前比414.51円高で、約1週間ぶりに最高値を更新。値がさ半導体株がそろって買われ、人工知能(AI)ブームへの期待が引き続き相場のムードを明るくしている。週末4日に行われた自民党総裁選挙で勝利した高市早苗氏が積極財政を口にしていることもあり、週明け6日の「ご祝儀相場」が日経平均を4万6000円台に押し上げる展開も考えられそうだ。ただ、アメリカで1日から始まった政府機関の一部閉鎖の結果、金融市場の先行き不透明感は強く、日経平均は上昇の足を引っ張られかねない。2025年の日経平均の大幅な値上がりが少数の銘柄に頼っていることも相場の脆さを示している。さらに高市氏の積極財政は長期金利(10年物国債利回り)上昇という日経平均にとっての逆風を呼び込むおそれもあり、日経平均の今後の見通しには失速リスクもつきまといそうだ。
日経平均株価は週次414円高で最高値 6週続伸は2年4か月ぶり
日経平均株価の3日の終値は前日比では832.77円高の4万5769.50円。9月25日につけた4万5754.93円を上回り、6営業日ぶりの最高値更新となった。週次での上昇(414.51円高)は6週連続で、海外投資家の買い越しが追い風となっていた2023年4月中旬から6月中旬にかけて記録した10週連続以来の週次連騰となる。


このうちソフトバンクグループと東京エレクトロンは、米国でオープンAIがオラクル(ORCL)のクラウドサービスに対して5年間で3000億ドルを支払うと報じられて半導体株が急騰した9月8-12日週以来の4週続伸だ。そのオープンAIは動画生成AIアプリ「Sora(ソラ)」の配信を9月30日に開始。10月2日には日立製作所とデータセンター分野で提携することで基本合意している。日経平均の最高値更新の背景には、オープンAIへの期待の大きさがあるともいえそうだ。

自民党総裁選で高市氏が勝利 積極財政と円安で日経平均4万6000円台も
また日経平均の週明け6日の取引では、自民党総裁選の結果も追い風として意識される可能性がある。自民党総裁に決まった高市氏は「責任ある積極財政」を掲げ、赤字国債増発も「やむを得ない」とする立場。株式市場で歳出拡大による経済活動の刺激が連想されれば、4万6000円台に向けた日経平均の上昇に拍車がかかりそうだ。
また、高市氏は1年前の総裁選に際して日本銀行の金融政策について「金利を今、上げるのはアホやと思う」と述べて利上げを牽制したイメージが強く、週明け6日以降のドル円相場(USD/JPY)で円安が進み、日経平均の上昇が後押しされる展開も考えられる。高市氏は今回の選挙戦では金融政策の手段は日銀が決めるとしつつも、総裁選勝利後の4日の記者会見では需要増大が物価上昇を引っ張る「デマンドプル」型の物価上昇を目指すべきだとの立場を強調。日銀が利上げで需要を抑え込むことに慎重な立場ものぞかせた。

米国の政府機関閉鎖で見通し悪化 「二強」頼みの上昇に脆さ
ただ、世界の金融市場のムードには重苦しさも漂う。米国で1日から始まった政府機関一部閉鎖が大きな不確定要素となっているからだ。すでに3日に予定されていた9月雇用統計などの経済指標の公表が見送られており、政府機関閉鎖が長期化して、連邦準備制度理事会(FRB)が経済の動向を判断する材料が不足する懸念も出てきた。この場合は、株式市場が待ち望むFRBの利下げが遠のく可能性もある。米国株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が2日と3日の連続でほぼ横ばいの値動きとなり、週明けの日経平均の上昇にとってのマイナス要素となりかねない。
さらに、最高値を更新する日経平均の上昇には、ソフトバンクグループとアドバンテストの「二強」に頼るところが大きいという不安要素もある。日経平均の3日終値段階での2024年末比での上昇幅(5874.96円高)のうち、2185円分は株価が2.2倍になっているソフトバンクグループが寄与。1755円分は株価が1.7倍になっているアドバンテストによる押し上げ効果だ。米国半導体大手NVIDIA(エヌビディア)やオープンAIとの関係の近さが好材料視されやすい両社だが、10月中旬以降の2025年7-9月期決算発表を通じてAIブームのムードが変われば、株価には反動減の圧力がかかりやすいともいえる。

高市総裁誕生が長期金利上昇につながれば逆風 日経平均の最高値からの失速も
週明けの株高効果が期待される「高市総裁」の誕生も、積極財政が日本の財政を悪化させる要因としてとらえられれば、日本国債が売られ、長期金利(10年物国債利回り)が上昇するというシナリオも否定できない。ブルームバーグによると、日本の長期金利は3日に一時、1.670%まで上昇し、2008年7月24日(1.683%)以来、17年2か月ぶりの高さを更新した。長期金利の上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に低め、日経平均の割高感を強める材料といえるだけに、ご祝儀相場が長続きしない展開も考えられそうだ。

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