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TSMC、イラン戦争の影響は? 16日決算 見通し下方修正で株安も

TSMCの16日の決算発表はイラン戦争の影響が焦点。ヘリウムの調達難が成長率予想の下方修正につながり、株価下落を招く恐れがある。

TSMC、イラン戦争の影響は? 16日決算 見通し下方修正で株安も 出所:Adobe Images

半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が16日に行う2026年1-3月期決算発表はイランでの戦争が経済活動に及ぼす悪影響を表面化させる可能性がある。イラン戦争に伴うホルムズ海峡の封鎖は、半導体製造に不可欠なヘリウムの調達難などにつながりかねない不安要素。TSMCが10日に公表した3月の台湾ドルベースでの売上高は堅調な結果だったが、ホルムズ海峡封鎖がさらに長期化していけば4月以降の業績が下押しされるとの不安は拭えない。このためTSMCの16日の決算発表では、2026年の総収入の成長率が下方修正されることも想定される。TSMCの業績は世界の半導体関連産業の行方を占う試金石といえるだけに、世界の株式市場で投資家心理が冷え込み、株価が下落する展開も警戒されそうだ。

TSMCは16日に1-3月期決算を発表 総収入は40%増の見通し

TSMCは台湾時間の16日午後2時(日本時間16日午後3時)から決算会見を開く。決算内容は会見の30分前に公表される見通しだ。

TSMCが決算発表に先駆けて10日に発表した3月の台湾ドルベースでの総収入は前年同月比45.2%増の4151.91億台湾ドル。3月の台湾ドルの対ドルレートの平均値で換算すると130.29億ドルとなり、1-3月期の総収入は前年同月比40.50%増の358.37億ドルと試算できる。TSMCは1月15日の前回(2025年10-12月期)決算発表で、1-3月期の総収入は346億-358億ドル(中間値352億ドル)になるとの見通しを示しており、予想範囲の上限付近での着地になったようだ。

TSMCの月次の総収入と伸び率の推移のグラフ

またブルームバーグがまとめた事前予想では、TSMCの1-3月期の米国預託証券(ADR)ベースでの1株当たり利益(EPS)は前年同期比53.3%増の3.25ドルになる見通し。前四半期の40.2%増から成長が加速するとみられている。

TSMCの総収入と1株当たり利益の推移のグラフ

TSMCの株価はイラン戦争後に5.74%安 投資家心理の悪化が影響

TSMCのADRベースでの株価(TSM)の9日の終値は前日比0.11%安の365.49ドル。前回決算発表前日にあたる1月14日終値との比較では11.73%高となっている。ただ、2月25日につけた最高値(387.73ドル)からは5.74%安となっており、2月28日のイスラエルと米国によるイラン攻撃で始まったイラン戦争をめぐる投資家心理の悪化が響いた形だ。

TSMCの株価と予想株価収益率の推移のグラフ


ブルームバーグによると、TSMCの直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益から算出される株価収益率(PER)は9日段階で25.2倍。前回決算発表時の25.6倍からほぼ横ばいとなっている。アナリストが提示する目標株価の水準は438.91ドルで、足元の水準よりも20%ほど高い。31人のアナリストのうち30人は買い、1人が維持を推奨している。

ホルムズ海峡封鎖でヘリウムに調達難の恐れ 台湾の天然ガス火力依存にも不安

TSMCの16日の決算発表はイラン戦争の長期化の影響が焦点となる。米国とイランは米国東部時間の7日に2週間の停戦で合意したものの、石油などの重要通商ルートであるホルムズ海峡の封鎖は解除されていないもよう。天然ガスから分離・精製され、半導体製造時の冷却工程などに用いられるヘリウムの供給不足がTSMCにとっての逆風になるとの懸念が強まっている。アメリカの内務省のデータによると、2024年に世界で生産されたヘリウムの約35%はホルムズ海峡西側に位置するカタールで生産されている。

またTSMCにとっては台湾の発電の多くが中東から輸入する天然ガスを用いた火力発電に頼っていることも不安材料だ。米エネルギー情報局(EIA)によると、2024年の台湾の発電量の43%は天然ガス火力発電で賄われている。また台湾が2025年に輸入した液化天然ガス(LNG)の33%はカタール産で、オーストラリア産の34%に次ぐ多さだった。やはりホルムズ海峡封鎖が長引けば長引くほど、電力不足への懸念が強まり、TSMCの業績に悪影響を及ぼすシナリオが浮上する状況といえそうだ。

2026年の総収入の成長見通しの下方修正も 世界の半導体株に余波の懸念

このためTSMCの16日の決算発表では、魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOらからホルムズ海峡封鎖についてどのような言及があるかが注目される。魏氏は前回の決算会見で2026年の総収入の成長率について「30%近い」との見通しを示していたが、下方修正されたり、見通し自体が取り下げられたりする可能性も否定できない。

TSMCは人工知能(AI)向けの高性能半導体の製造を担い、米国のNVIDIA(エヌビディア、NVDA)などが顧客に名前を連ねる。ホルムズ海峡封鎖でTSMCの製造能力が低下する事態になれば、世界の株式市場で投資家心理を冷やす恐れがある。TSMCやエヌビディア、半導体検査装置のアドバンテスト(6857)などの株価は、イラン側から戦争終結に向けた姿勢が感じられた3月末以降、上昇基調となっているものの、半導体製造をめぐる厳しい現実が下落材料になる展開も考えられそうだ。

TSMC、アドバンテスト、エヌビディアなどの株価の推移のグラフ

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