原油価格、19%急落 WTI一時91ドル 米イランの2週間停戦に不安も
WTIは一時91ドルまで急落。トランプ氏の2週間停戦受け入れが材料視された。長期的な停戦の成立には不安があるが、混乱回避が期待されている。
原油価格が急落した。原油先物市場の指標価格であるWTI(5月渡し)は日本時間8日朝、1バレル=91ドルまで下落。前日のニューヨーク市場の終値から19%超の値下がりとなった。アメリカのドナルド・トランプ大統領がイランとの2週間の停戦の受け入れを発表し、目前に迫っていた米国によるイランの発電所などへの攻撃が回避されたためだ。イランも石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡について2週間の封鎖解除の意向を示している。一方、イランは引き続き、核開発継続が認められることなどを要求しているとみられ、2週間後に向けて改めて緊張が高まる可能性もある。ただ、トランプ氏の停戦受け入れからは、ホルムズ海峡をめぐる混乱を収束させたい本音が感じられ、金融市場では事態が改善に向かうとの期待が高まっている。
WTIは一時91.05ドルまで下落 前日終値から5時間で19.39%の急落
WTI(5月渡し、WTI原油)は日本時間8日午前10時43分段階で1バレル=96.88ドルで取引されている。ブルームバーグによると、午前8時24分には91.05ドルをつけ、前日のニューヨーク市場の終値(112.95ドル)から約5時間で19.39%安の下落を記録したことになる。
トランプ氏が2週間の停戦に同意 イランも2週間のホルムズ海峡開放の意向
原油価格を急落させたのは、イランでの戦争をめぐる事態の急展開だ。トランプ氏は日本時間8日午前7時32分、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、イランがホルムズ海峡を即時に完全で安全な形で開放することを条件に、「イランに対する爆撃を2週間停止することに同意する」と表明。イランから10項目の提案を受けたことを明かし、交渉のたたき台として認める考えを示した。これに先立つ午前4時17分には仲介国のパキスタンのシャバーズ・シャリフ首相がSNSのXへの投稿で、トランプ氏に対して外交的な解決を継続するための交渉期限の2週間延長を求めるとともに、イランに対してホルムズ海峡の2週間開放を要請していた。
トランプ氏は6日の記者会見では、イランに対して日本時間8日午前9時までの交渉期限を示したうえで、ホルムズ海峡の封鎖解除などを求め、受け入れられなければイランの発電所や橋などへの爆撃を行うとしていた。日本時間7日午後9時過ぎのSNSへの投稿でも「今晩、ひとつの文明が完全に消滅し、二度と戻ることはないだろう」と言及し、緊張を高めていた。
トランプ氏の停戦受け入れ後、イランのアッバス・アラグチ外相はXへの投稿で、トランプ氏がイランの10項目の提案を交渉のたたき台として認める考えを示したことを評価し、イランへの攻撃が終わればイランも防衛行動を停止することや、「2週間、ホルムズ海峡の安全な通航が可能になる」ことにも言及した声明文を発表した。イラン最高安全保障委員会を代表した決定内容だという。
イランはウラン濃縮の継続を要求 トランプ氏との認識に齟齬?
一方、2週間の交渉期限の間に米国とイランの間の溝が埋まるかどうかは不透明だ。イランのタスニム通信は8日、トランプ氏の停戦受け入れ表明後、イランが行った10項目の提案の内容を報道。米国がイランを攻撃しないことやイランが受けた被害の金銭的な補償、イランに対する経済制裁の解除に加え、イランによるホルムズ海峡の管理やウラン濃縮の継続が認められること、米軍の中東地域からの撤退などの項目を列挙した。イランの核開発を否定してきたトランプ氏自身はたたき台にすることを認めた10項目の内容に言及しておらず、米国とイランの間に認識の齟齬がある可能性もある。
また、2週間後に長期的な停戦が成立したとしても原油の供給量は簡単には戻らないとみられ、WTIは今後も高止まりする可能性がありそうだ。中東の産油国は原油の貯蔵容量が不足している結果、原油生産を抑制しているもようで、生産量をホルムズ海峡封鎖前の水準に戻すには数か月の時間がかかると指摘されている。ブルームバーグのデータでWTIの価格を受け渡し期日別にみると、12月渡しの商品の価格は8日午前の取引で1バレル=71ドル前後で推移している。
トランプ氏は戦争の長期化を嫌気か ホルムズ海峡緊張緩和に期待
ただ、トランプ氏が交渉期限の約1時間半前になってイランの発電所などへの攻撃を思いとどまったことは、イランとの戦争の激化やホルムズ海峡封鎖の長期化を回避したい思惑がにじむ。金融市場ではS&P500種株価指数(SPX)の先物商品の価格が上昇するとともに、FX市場では「有事のドル買い」の巻き戻しも起きており、ホルムズ海峡をめぐる緊張が緩んでいくとの期待が強まっているようだ。
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