TSMC、2026年に強気見通し 半導体株急騰 AI事業予想を上方修正
TSMCは2026年の高成長見通しを示し、世界の半導体株が急騰した。米国と台湾の貿易協定合意も追い風になりそうだ。
半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が示した人工知能(AI)ブームに対する強気な姿勢が世界の半導体株への追い風となった。TSMCは15日の2025年10-12月期決算発表に際し、2026年の総収入が30%近く伸びるとの見通しを提示。AI関連事業の2029年までの予想成長率も上方修正した。15日のアメリカの株式市場ではTSMCの株価が4%超値上がりしている。また、TSMCは旺盛な半導体需要に応えるため、2026年も設備投資額の大幅な積み増しを続ける方針。こうした中、15日の世界の株式市場ではTSMC以外の半導体製造関連企業の株価も急騰した。米国と台湾が15日に発表した貿易協定での合意もTSMCの業績にとって安心材料といえ、株価上昇への好条件が重なっている。
TSMCの2025年10-12月期決算は総収入と利益ともに予想を超える結果
TSMCが15日に発表した10-12月期決算は総収入が前年同期比25.5%増の337.31億ドル。アメリカで上場している米国預託証券(ADR)ベースでの1株当たり利益(EPS)は40.2%増の3.14ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は総収入が326.07億ドル、1株当たり利益が2.85ドル。発表された結果はいずれも市場予想を上回る結果だったといえる。総収入はTSMCが9日に発表した台湾ドルベースでの12月の実績をドル建てに換算した数字(337.00億ドル)とほぼ一致している。
2026年の成長率は30%近い見通し TSMCの株価は1か月で23%上昇
またTSMCの2025年通期の総収入は1224.24億ドルとなり、前年比35.9%増の成長を達成。2024年の30.0%増から成長が加速した。さらにTSMCの魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは15日の決算会見で、2026年の総収入の成長率は「30%近い」との見通しを提示。AI関連の収入の2024年から2029年までの伸び率については、年率換算で「50%台半ばから後半」になるとも述べた。魏氏は2025年10月の前回決算会見では、AI関連事業の伸び率を年率換算40%台半ばとしていたが、今回の会見で上方修正をかけた形だ。
こうしたTSMCの強気な業績見通しを受けて、15日の米国株式市場ではTSMCの株価(TSM)が前日比4.44%高の341.64ドルまで上昇。3日ぶりに最高値を更新した。ブルームバーグによると、TSMCの株価は12月17日につけた直近の安値(276.96ドル)からの約1か月で23.23%上昇している。
TSMCは2026年も設備投資を大幅上積み 半導体製造装置株の追い風に
また、TSMCは旺盛な半導体需要を受け、生産能力の向上にも取り組む。黄仁昭(ウェンデル・ファン)CFOは15日の決算会見で2026年の設備投資額について520億-560億ドル(中間値540億ドル)との見通しを示し、前年比32%前後の上積みを想定していることを明かした。2025年の37.4%増からは伸びが減速するものの、総収入の成長率見通しを上回る急拡大になる。魏氏は設備投資額について、顧客企業や顧客企業の顧客とも慎重に協議した結果だとして、AI関連需要は「本物だ」としている。
米国と台湾は貿易協定で合意 不透明感の緩和は株価の追い風に
半導体株にとっては15日に米国と台湾が発表した貿易協定での合意も追い風といえそうだ。米商務省の発表文によると、米国が台湾製品に課す20%の相互関税を15%に引き下げることや、台湾企業が新たに2500億ドル以上の米国内への直接投資を行い、先端半導体などの生産能力を高めることなどが合意された。一方、ドナルド・トランプ大統領は14日、1962年通商拡大法232条に基づき、一部の先端半導体輸入に25%の関税を課す布告に署名。ただ、15日の米国と台湾の合意では、米国内で半導体生産能力の拡大に関わっている台湾企業は、建設期間中、計画されている生産量の2.5倍まで232条での関税負担なしに半導体を輸出することができるとされている。米国内での生産能力拡大後は、上限が1.5倍に引き下げられる。
米国と台湾の合意はTSMCにとっては不確定要素が取り除かれた形といえる。TSMCの株価をめぐっては、今後も上昇圧力がかかり続ける可能性がありそうだ。
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