米国株、CPIで波乱恐れ S&P500連日最高値 米国売り懸念再燃
S&P500はトランプ氏とパウエル氏の対立の再燃が不安材料。13日発表のCPIが利下げ見通しを弱めれば、投資家心理が大きく悪化する恐れがある。
アメリカの株式市場に最高値から転落する懸念が出ている。S&P500種株価指数の12日の終値は前週末比0.16%高で連日の最高値更新。しかし米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げへの期待は改めて後退しており、投資家心理は悪化した。FRBのジェローム・パウエル議長が11日、ドナルド・トランプ政権からの政治的圧力に異例の反発を示し、中央銀行の独立性が脅かされている事態を連想させたことが要因だ。13日のFX市場ではドル安も進んでおり、2025年春に起きた「米国売り」の流れが再来するとの懸念も膨らむ。一方、大手ハイテク株の取引では、アルファベットの時価総額が4兆ドルに達するという前向きなニュースも出たものの、ライバル企業の株価の値動きは冴えない。こうした中、13日に発表される2025年12月の消費者物価指数(CPI)がFRBの利下げ見通しを弱める結果となれば、S&P500が波乱に見舞われる恐れもありそうだ。
アメリカのS&P500は連日で最高値更新 年明け7営業日中の6日で上昇
S&P500(SPX)の12日の終値は6977.27で、前週末に続く最高値更新。ブルームバーグによると、S&P500は2026年に入ってからの7営業日中、6営業日で値上がりしている。
FRBの4月までの利下げ確率は47%に 投資家心理が悪化
しかし年明け以降の金融市場ではS&P500の上昇を下支えしてきたFRBの早期利下げへの期待は後退している。ブルームバーグによると、12日の金融市場で見込まれているパウエル氏の任期中最後の連邦公開市場委員会(FOMC)となる4月会合後の政策金利の水準は3.524%まで上昇。4月までの利下げ確率は47%で、12月末の79%から大きく低下している。
同時に12日の金融市場では投資家心理も悪化した。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の12日の終値は前週末よりも4.35%高い15.12となっている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
トランプ政権がパウエル氏を刑事訴追か パウエル氏がトランプ大統領を批判
投資家の不安をかきたてたのは、FRBとトランプ大統領の対立の深刻化だ。パウエル氏は11日夜に公表したビデオ声明で、司法省から大陪審への召喚状を受け取ったことを公表。「FRBが大統領の意向に従うのではなく、公共に尽くす最善の判断に基づいて政策金利を設定していること」が司法省による刑事訴追の動きにつながったとした。パウエル氏は召喚状の内容について、自身が2025年6月に行ったFRBの庁舎改修に関する議会証言に関するものだと説明しつつ、トランプ氏が議会証言をFRBに圧力をかけるための「口実」に使っていると批判している。
トランプ氏はこれまで、利下げに慎重姿勢をとってきたパウエル氏を「遅すぎる」と批判。これに対してパウエル氏はトランプ氏への批判を口にすることはなかったが、初めて対決姿勢をとったことになる。トランプ氏がパウエル氏を任期終了前に解任しようとしているのであれば、FRBの独立性が揺らぐことは避けられず、投資家の米国経済に対する信頼の失墜がS&P500への下落圧力として働くことも想定される。
FX市場ではドル安が進行 米国売り再来の懸念も
米国経済への不安は12日のFX市場の値動きからも感じられた。ブルームバーグによると、12日のニューヨーク市場の終値では、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)が前週末比0.46%のポンド高、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)が0.36%の豪ドル高、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)が0.26%のユーロ高。円は高市早苗首相が衆院解散を検討しているとの報道が円安要因となったものの、ドルの弱さが際立つ値動きだ。米国の金融市場では2025年4月、トランプ氏によるパウエル氏批判や、相互関税をめぐる混乱が要因となって、S&P500と米国債、ドルが同時に売られる「米国売り」が進んだことがある。
アルファベットの時価総額が4兆ドルに メタなどライバル企業の株価は下落
一方、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の値動きには明るい動きも出た。アルファベット(GOOGL)とアップル(AAPL)は12日、両社による複数年契約に基づき、アルファベットのAIモデル「ジェミニ」とクラウドサービスがアップルの次世代AI機能に採用されることを公表。ブルームバーグによると、アルファベットの株価は前週末比1.00%高となり、時価総額は4兆0096億ドルとなった。アルファベットは2025年秋以降、AI関連事業の総合力と財務の健全性への評価が高まっている。ただ、12日の取引では、アルファベットのライバル企業の株価は下落。メタ・プラットフォームズ(META)は1.70%安、マイクロソフト(MSFT)は0.44%安、アマゾン・コム(AMZN)は0.37%安となった。
12月CPIが13日に発表 利下げ見通し後退でS&P500に波乱の恐れも
こうした中、金融市場は13日午前8時30分(日本時間13日午後10時30分)に発表される12月CPIで大きく揺れる可能性がある。ブルームバーグによると、12月CPIの伸び率は総合指数と、食品とエネルギーを除いたコア指数の両方で前年同月比2.7%になる見通し。FRBとトランプ氏の対立に注目が集まる中、12月CPIで物価上昇の根強さが感じられた場合には、利下げ見通しが改めて後退し、S&P500をめぐる楽観姿勢が大きく弱まる恐れもありそうだ。
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