【米国株】ナスダック100見通し(7/16~18):22,400-23,170予想 米PPIに注目
15日の市場でナスダックが最高値を更新。関税懸念に対する耐性が高まり、TACOトレードが相場を支えている。次の注目材料は6月の米PPI。ナスダック100の株価指数CFD「米国テク株100」の18日までの見通しについてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・トランプ米政権は関税政策で攻勢を強めている
・しかし米国株は強気相場を維持、ナスダックが最高値更新
・今日は6月の米PPIが米国株の変動要因となろう
・米国テク株100の予想レンジは22,400-23,170(18日まで)
高まる関税問題の耐性、ナスダックは最高値更新
米国株が強気相場を維持している。調整売りに押されながらもナスダック総合指数は15日の市場で前日比37.47ポイント(0.18%)高の20,677.80(速報値)で終え、連日で最高値を更新。
IG米国レポートで注目しているナスダック100も調整売りをこなしながら、取引時間中に23,051.87ポイントまで上昇する場面が見られた。前日比28.96ポイント(0.13%) 高の22,884.59 ポイントで終え最高値を更新した。
ナスダック100のチャート:日足 5月以降

出所:TradingView
トランプ米大統領は12日、欧州連合(EU)に対して30%の関税を課すとした。そして14日には、ロシアに対して50日以内にウクライナと停戦交渉で合意しなければ制裁を科すと表明。また、ロシアから石油やガスなどを購入した第三国に100%の関税を課す「2次関税」を実施すると述べた。しかし、欧州株のトレンドを示すストックス欧州600指数は、530-555レンジの最高値圏を維持している。
関税政策で攻勢を強めるトランプ米政権を横目に強気相場を維持する欧米株式の動きは、関税問題に対する耐性が高まっていることを示唆している。
ストックス欧州600指数のチャート:日足 4月以降

出所:TradingView
後退気味の9月利下げ期待、TACOトレードを意識
米連邦準備制度理事会(FRB)は慎重な利下げ姿勢を維持している。現状、短期金融市場では7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではなく、9月会合での利下げを意識する状況にある。しかし、その思惑は大きく揺れている。6月下旬に、およそ2ヶ月ぶりに90%の確率で9月の利下げを織り込む状況が見られた。しかし6月の雇用統計と消費者物価指数(CPI)の結果を受け、現在はその確率が50%台まで低下している。
それでもナスダックが最高値圏の攻防を維持する状況は、かえって今の強気相場を市場参加者に意識させるだろう。
9月FOMCの利下げ確率の推移:4月以降

ブルームバーグのデータで作成 / OISに基づく確率、7月16日午前9時時点
※マイナス表記:利下げ
S&P500が対象のオプション取引の変動率(ボラティリティ)で算出され、投資家の不安心理を表すVIX指数は現在17ポイント台と、低い水準で推移している。関税政策で攻勢を強めるトランプ米政権の姿勢を受けても、投資家の心理が落ち着ている状況は、「Trump Always Chickens Out(トランプ米大統領はいつも土壇場で腰砕け)」の頭文字を取った「TACOトレード」を意識していることを示唆している。
事実、トランプ氏は14日、8月1日の関税発動日までに欧州連合(EU)や他の貿易相手国と協議する用意があると述べた。交渉次第では関税率が引き下げられる可能性がある。市場参加者はこの点を意識しているがゆえに、米国株は調整売りをこなしながら最高値圏を維持していると考えることができる。
VIX指数 日足 年初来

ブルームバーグのデータで作成
次の注目材料は6月の米生産者物価指数
6月の消費者物価指数(CPI)前月比のコア指数は0.2%増とブルームバーグ予想の0.3%増を下回った。一方、トレンドを示す前年同月比は総合で2.7%増と、ブルームバーグ予想の2.6%増を上回った。コア指数は2.9%で予想と一致した。前月比と前年同月比の結果はいずれも5月から伸びが加速した。
注目すべきは、米CPI後の各市場の反応である。10年債利回りは上昇し、この動きに米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)が追随した(米ドル高が進行した)。一方、米株式市場の約80%をカバーするS&P500は下落した。これら市場の反応は、インフレの粘着性とその再燃を警戒した動きと捉えることができる。
米CPI発表後の各市場の動き:7月15日

出所:TradingView
今日は6月の米生産者物価指数(PPI)が発表される。市場参加者はトランプ関税の影響を見極めようとしている。企業の生産コストを示すPPIが予想外に上振れる場合は、「インフレ再燃の懸念→米金利の上昇→米国株の調整売り」を警戒したい。
米国 生産者物価指数の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフとドット:6月の市場予想
米国テク株100の見通しとテクニカル分析
予想レンジの下限(18日まで):22,400レベル
IG米国レポートで注目しているナスダック100は昨日、取引時間中に高値23,051.87まで上昇する局面が見られた。5月23日以降上昇幅が拡大し、終値ベースで9.4%上昇している。日足のRSIは買われ過ぎの水準付近での推移が続いている。ストキャスティクスは買われ過ぎの水準からデッドクロスへ転じ低下基調にある。今晩の米PPIがインフレ懸念を高める場合は下落相場を想定したい。
ナスダック100を原資産とする株価指数CFD「米国テク株100」は、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
最初のラインは、原資産ナスダック100の10日線が推移している22,760レベルである。この移動平均線は先週11日と14日の市場で相場をサポートした経緯がある。米国テク株100が10日線を下方ブレイクする場合、次の焦点は22,600レベルの維持となろう。22,652はフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しの水準にあたる。すぐ下の22,628は7月14日の安値水準である。いずれも4時間チャートを参照。
米国テク株100が22,600レベルを下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準22,400レベルの維持が焦点に浮上しよう。原資産のナスダック100の20日線がこのラインで推移している(15日時点)。2つの重要なテクニカルラインが重なるこの水準を、今週18日までの予想レンジの下限と想定したい。
サポートライン
・22,759:10日線
・22,652:フィボナッチ・リトレースメント23.6%戻し
・22,628:7月14日の安値
・22,427:20日線
・22,408:フィボナッチ・リトレースメント38.2%、予想レンジの下限
予想レンジの上限(18日まで):23,170レベル
トランプ関税を受けても米PPIが予想の範囲内となる場合は、TACOトレードを意識した買いで米国テク株100は底堅さを維持する展開を想定したい。
今週18日までの予想レンジは、フィボナッチ・エクステンション100%の水準23,170レベルを想定。このテクニカルラインをトライするサインとして、昨日の取引時間中に付けた高値水準23,046レベルの攻防に注目したい。このラインの突破は、23,100のラインを試すサインと捉えたい。
レジスタンスライン
・23,168:エクステンション100%、予想レンジの上限
・23,100:レジスタンスライン
・23,046:7月15日の高値水準
ナスダック100のチャート
【再掲】日足:今年5月以降

出所:TradingView
米国テク株100のチャート
4時間足:6月19日以降

出所:IGチャート
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