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5月の米国株は米中交渉、経済指標、ハイテク株にらみ 不安定相場を警戒、S&P500の見通し

トランプ関税ショックの相場がひとまず終息している。だが、5月の米国株も上下に振れる不安定な相場を警戒したい。焦点は米中交渉、経済指標そしてハイテク株の3つとなろう。S&P500の5月見通し。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事のサマリー

4月の米国株はトランプ関税ショックで急落した。しかし4月の後半以降は急反発するジェットコースター相場となった。再びリスク選好のムードが漂う米国株だが、5月も上下に振れる不安定な相場を警戒したい。注目材料は米中の通商交渉、経済指標、そしてハイテク株の動向となろう。4月のジェットコースター相場を乗り切ったS&P500は、2023年以降の上昇相場を象徴するサポートラインの維持に成功した。再び下値をトライする局面では、このラインの維持が焦点となろう。一方、S&P500の上昇幅が拡大する局面では、節目の6000ポイントのトライが焦点となろう。


4月の米国株はジェットコースター相場に、S&P小幅下落、ナスダックは上昇

4月の米国株はジェットコースターのような相場となった。4月2日に米国のトランプ大統領が相互関税を発表し、世界的な貿易摩擦の懸念が強まった。米株式市場の時価総額約80%をカバーするS&P500は4月7日に4835ポイントまで急落した。2月19日の終値ベース最高値6144ポイントから実に21%の急落となった。

しかし、その後は米中の通商交渉に対する期待とマグニフィセントセブンの決算を受け、一転して急反発した。4月はマイナス0.76%と小幅な下落で終えた。一方、ハイテク株比率の高いナスダック100は1.5%高、総合指数は0.85%高となった。

米国の主要株価指数 4月の変動率

米国の主要株価指数 4月の変動率

ブルームバーグのデータで筆者が作成


5月も不安定な相場を警戒 焦点は米中交渉、経済指標、ハイテク株

5月の米国株も上下に振れる不安定な相場を警戒したい。焦点は3つある。ひとつが米中の通商交渉である。市場の混乱を受けトランプ米政権は硬軟織り交ぜた関税外交を展開している。中国が貿易交渉開始の手がかりを模索しているとの報道や一部の米国製品について関税の適用除外を非公表で開始したとの報道も見られる。

最近の米中の動きを受け、貿易摩擦の懸念がひとまず後退している。ゆえに、現時点で4月の急落相場が再燃する可能性は低い。だが、国益を賭けた交渉は紆余曲折が予想される。米中対立の根深さを伝える報道が続けば、株安の要因となろう。下で述べる経済指標の内容次第では、不意に下落幅が拡大する不安定な相場を警戒したい。

現在、米株式市場の主要テーマは「景気」である。ゆえに経済指標も重要な焦点となろう。雇用、物価そして先行指標に注目したい。

4月の米雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は17.7万人増と、ブルームバーグ予想の13.8万人増を上回った。失業率は前月から横ばいの4.2%だった。労働市場の堅調さを示唆したが、トランプ関税の影響が出るのはこれからである。週間で発表される新規失業保険申請件数で労働市場の状況を確認したい。4週移動平均でトレンドを把握したい。

パウエルFRB議長はトランプ関税がインフレに与える影響を見極める必要性から、追加の利下げについては慎重に判断する姿勢を維持している。ゆえに物価指数は、米FRBの政策動向を左右するだろう。13日に4月の消費者物価指数(CPI)、15日に同月の生産者物価指数(PPI)がある。いずれも重要な指標ではあるが、筆者が注目しているのは「5月」の指標である。

16日に5月ミシガン大学調査の期待インフレ率がある。消費者が抱くインフレ期待は実際の物価に大きな影響を与える。ゆえに、4月のCPIやPPI以上に材料視される可能性がある。またミシガン大学消費者態度指数は、27日の5月消費者信頼感と同じく消費者マインドの先行指標である。消費者のインフレ警戒レベルがさらに高まる場合は、個人消費の縮小懸念を強める要因となろう。

22日の5月購買担当者景気指数(PMI)は企業マインドを確認する重要な指標である。景気判断の分かれ目である「50」を下回る場合は、トランプ関税による景気懸念を強める要因となろう。

5月 注目の米経済指標

5月注目の米経済指標

冒頭で述べたとおり、4月後半の米国株は急反発した。投資家の期待に応える決算でマグニフィセントセブンが買われ、ハイテク株比率の高いナスダック指数は上昇で終えた。

注目は多くの機関投資家が運用指標にするS&P500も小幅な下落で終え、2023年以降の上昇相場を象徴するサポートラインを維持したことである(下の週足チャートを参照)。

年初来の動向を確認すると、マグニフィセントセブンは決算でトレンドが左右される状況にある。1月~2月の決算では投資家の期待を下回る業績見通しで下落トレンドが続いた(下のチャート、赤ゾーンを参照)。しかし、4月~5月の決算では投資家の期待に応える業績見通しでマグニフィセントセブンに急速な買い戻しが入り反発ムードにある。(下のチャート、緑ゾーンを参照)。マイクロソフト(MSFT)とメタ・プラットフォームズ(META)は年初来でプラスへ転じている。通商交渉で米中対立が緩和に向かえば、マグニフィセントセブンの買いが5月相場の上昇をけん引することが予想される。サポートラインの維持に成功したS&P500は、以下で述べるレジスタンスラインの攻防に注目したい。

マグニフィセントセブンと株価指数の動向:年初来

マグニフィセントセブンと株価指数の動向:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成


S&P500の5月見通しと注目のテクニカルライン

焦点はサポートラインの維持、5月予想レンジの下限は4900
5月のS&P500は、上で述べた3つの焦点で上下に振れる不安定な相場を想定したい。米中交渉の不透明感と景気減速を意識させる経済指標が重なる場合は、下落幅の拡大を警戒したい。

下落局面での最大の焦点は、2023年以降の上昇相場を象徴するサポートラインの維持となろう(週足チャートを参照)。このラインは今月、4900ポイント付近で推移する。この水準を5月の予想レンジの下限と想定したい。

S&P500がサポートラインを目指すサインとして、100ポイントのレンジで下値の攻防を見極めたい。5400台には一目転換線、5300の下には一目基準線が推移している。今月中旬まで5600ポイント以上を維持すれば、5500ポイントのすぐ下で推移している日足一目雲の上限の攻防が焦点となろう。一目雲の下方ブレイクは、S&P500の下落幅が拡大するサインとなろう。5100ポイントは、4月21日の安値水準にあたる。節目の5000ラインを再び下方ブレイクする場合は、サポートライン(4900ポイント)のトライを想定したい。

サポートライン
・5500:一目雲の上限(日足)
・5454:一目転換線(日足)
・5283:一目基準線(日足)
・5200:サポートライン(日足)
・5101:4月21日の安値(日足)
・5000:節目のライン(日足)
・4900:サポートライン、予想レンジの下限(週足)
※移動平均線と一目均衡表の水準:5月2日時点

3つの移動平均線の攻防、予想レンジの上限は節目の6000
一方、S&P500の上昇局面では、3つの移動平均線-13週線、52週線そして26週線の攻防に注目したい。今週は13週線と52週線をトライした(週足チャート、緑矢印を参照)。日足チャートのフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5646ポイントを上方ブレイクした状況を考えるならば、来週は13週線と52週線を突破し、5800ポイント台で推移している26週線を目指す可能性があろう。日足チャートではフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準5837ポイントの攻防に注目したい。200日線の上方ブレイクは、26週線(76.4%戻し)をトライするサインとなろう。

S&P500が5800ポイント台の攻防となる場合は、日足の一目雲を突破することになる。このケースでは、遅行スパンもローソク足を完全に上方ブレイクするだろう。一目均衡表が三役好転へ転じる場合は、テクニカルの面でも市場参加者にS&P500 の強気地合いを印象付けよう。

26週線をも一気に上方ブレイクする場合は、米中懸念が後退しかつマグニフィセントセブンの買いが続いている状況が想定される。26週線の上方ブレイクは、節目の6,000ポイントをトライするサインと考えたい。このラインを5月の予想レンジの上限と想定したい。

レジスタンスライン
・6000:予想レンジの上限(日足、週足)
・5837:76.4%戻し(日足)
・5827:26週線(週足)
・5746:200日線(日足)
・5682:52週線(週足)
・5670:13週線(週足)
※移動平均線の水準:5月2日時点


S&P500のチャート

週足:2022年7月以降

週足:2022年7月以降

出所:TradingView

日足:今年2月以降

日足:今年2月以降

出所:TradingView


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