米国株にFRBリスク S&P500連騰停止 利下げに慎重見通しか
S&P500は7営業日ぶりに反落。米国経済の底堅さが見込まれる中、FRBが利下げに慎重姿勢を示せば、下落圧力がかかる可能性もありそうだ。

アメリカの株式市場の上昇が一服した。S&P500種株価指数の29日の終値は前日比0.30%安で、7営業日ぶりの反落。決算発表シーズンに入っている大手ハイテク株でも下落が目立ち、上昇機運に冷や水がかかった。米国と中国の関税協議は合意に至っておらず、株価の起爆剤にはなっていない。こうした中、30日に発表される米国の2025年4-6月期GDP速報値では個人消費が復調する見通し。米国経済の底堅さを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が30日までの連邦公開市場委員会(FOMC)に際して利下げへの慎重姿勢を示す可能性がある。米国経済をめぐっては物価上昇の根強さも見込まれており、株式市場が待ち望む利下げが遠のき、S&P500に下落圧力がかかるリスクがありそうだ。一方、トランプ氏の高関税政策をめぐる不透明感が和らいできたことも事実で、ジェローム・パウエル議長の30日の記者会見がS&P500を上昇させる可能性もある。
アメリカのS&P500は7営業日ぶり反落 上昇機運に冷や水
S&P500(SPX)の29日の終値は6370.86で、7営業日ぶりの値下がり。最高値の連続更新記録は6でストップした。0.30%安という小幅な下落率ながら、一方的な上昇にはブレーキがかかったといえる。


S&P500の上昇一服の背景には、29日までスウェーデンで開かれていた米中の関税協議が決着しなかったこともある。スコット・ベッセント財務長官はストックホルムで記者団に対し、協議の内容について30日にドナルド・トランプ大統領に報告し、判断を仰ぐ考えを示した。米中が5月に合意した関税の大幅引き下げは8月12日に期限が切れる。スウェーデンでの協議で即時に合意が発表されなかったことは、S&P500にとっての逆風になったようだ。米国は欧州連合(EU)との間では27日に、米国がEU製品への関税を15%とし、EUが米国に6000億ドル相当の投資を行うことなどで合意している。
米国の4-6月期の個人消費は1.5%増に復調見通し FRBは利下げに慎重姿勢も
こうした中、S&P500の今後の見通しをめぐっては、米国の実体経済の動向も注目される。米商務省が30日午前8時30分(日本時間30日午後9時30分)に発表する4-6月期GDP速報値についてブルームバーグがまとめた事前予想によると、個人消費の伸び率は前期比年率1.5%となり、1-3月期(確報値)の0.5%から復調する見通し。GDPの実質成長率は2.5%となり、やはり1-3月期のマイナス0.5%からプラス成長に転換する見通しだ。

こうした経済の底堅さが示されれば、FRBのパウエル氏は30日のFOMC後の記者会見で、利下げへの慎重姿勢を維持する可能性がある。パウエル氏は2025年に入ってから利下げを見送ってきた理由として、米国経済の底堅さが維持されてている中で景気を下支えするための利下げを急ぐ必要がないことを挙げてきたからだ。ブルームバーグによると、金融市場の動向から算出される12月FOMC後の政策金利の水準は29日段階で3.863%。現状の政策金利(4.25-4.50%、中間値4.375%)から0.25%幅の利下げが約2回行われることが見込まれている。

パウエル氏の記者会見でS&P500に下落圧力か 利下げ姿勢にじめば上昇も
また、米国の物価情勢もFRBにとっては利下げへの障害になるおそれがある。31日発表予定の6月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率は、総合指数で前年同月比2.5%となり、4月の2.2%を底として2か月連続で物価上昇が加速する見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は5月と同じ2.7%となり、やはり物価上昇鎮静化の動きが進まないと見込まれている。これに対して、30日にGDP速報値と合わせて発表される4-6月のPCE物価指数は、コア指数の伸び率が前期比年率で2.3%となり、1-3月期の3.5%から物価上昇が大きく減速する見込みだが、パウエル氏は単月ベースでの物価上昇の根強さへの警戒を示すことも想定される。

FRBの金融政策をめぐっては、トランプ氏がこれまで何度もFRBに利下げを要求。政策金利が下がれば、米国の経済活動が刺激されるほか、株式投資の魅力が想定的に上がることで株価が上がりやすくなるとの期待は強い。このためパウエル氏が30日に利下げに慎重姿勢を示せば、S&P500には下落圧力がかかる可能性がある。
一方、トランプ氏の高関税政策をめぐっては、22日夜に発表された日米の関税協議合意をきっかけに、不透明感が和らいできたことも事実。米中間の協議をめぐる見通し不安はあるものの、パウエル氏の情報発信に利下げに前向きな姿勢がにじむ可能性もありそうだ。この場合にはパウエル氏の30日の記者会見がS&P500を上昇させる展開も考えられる。
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