エヌビディア、株価上昇加速なるか 27日決算 今四半期見通しに期待
エヌビディアが27日に行う四半期決算発表は8-10月期の見通しが焦点。AIブームへの期待をさらに強めれば、株価上昇が加速しそうだ。

半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が27日に行う2025年5-7月期決算発表は8-10月期の見通しに注目が集まりそうだ。高性能半導体を手掛けるエヌビディアは人工知能(AI)ブームの追い風を強く受けているほか、7月には中国向け半導体の輸出規制をめぐる不安も解消。株価は3か月前の決算発表前から約9割高となっている。決算発表で示す業績見通しが市場の期待を超えれば、株価上昇が加速する可能性がある。一方、エヌビディアは中国向け半導体輸出をめぐり、ドナルド・トランプ大統領との異例のディール(取引)に応じたもようで、投資家に対する説明が求められる状況。また中国政府はエヌビディア製品の締め出しにかかっているとも報じられており、株価の逆風となる懸念は残る。ただ、大手ハイテク各社のAI関連投資は積み増されており、エヌビディアが27日に示す業績見通しがAIブームへの期待をさらに高めることになれば、米中対立を背景とした不安が打ち消されるシナリオも考えられそうだ。
エヌビディアの2025年5-7月期決算は総収入が53%増の見通し
エヌビディアはアメリカ東部時間27日午後4時20分(日本時間28日午前5時20分)に5-7月期決算を発表。40分後の午後5時から決算会見を開く。ブルームバーグがまとめた事前予想では、総収入は前年同期比53.1%増の459.99億ドルになる見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は48.5%増の1.01ドルになるとみられている。事前予想通りとなれば、総収入の伸び率は6四半期連続で前四半期よりも小さくなり、1株当たり利益の伸び率は2四半期ぶりに前四半期から加速する。

エヌビディアの株価は前回決算から30%上昇 最高値付近で推移
エヌビディアの株価(NVDA)の19日の終値は175.64ドル。12日につけた最高値(183.16ドル)からは後退したものの、前四半期(2-4月期)決算発表直前につけた5月28日終値(134.81ドル)からの上昇率は30.29%高となっている。トランプ氏が相互関税を発表した後のショックが続いていた4月4日につけた94.31ドルとの比較では、足元までの4か月半で9割程度値上がりしたことになる。

ブルームバーグによると、エヌビディアの直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は32.4倍程度で、3か月前の前回決算発表当日の28倍程度から割高感が増している。アナリストが提示する目標株価の平均は190ドル程度で、現状よりも8%ほど高い水準だ。8月中旬には目標株価を240ドルに引き上げる動きも出ている。79人のアナリストのうち、70人は買い、8人は維持、1人は売りを勧めている。
AIブーム継続に期待 8-10月期の業績見通しで市場予想超えられるか
エヌビディアの株価が前回決算発表以降に勢いづいたのはAIブーム継続への期待が高まったからだ。エヌビディアは5月の決算会見で、5-7月期の総収入が前年同期比49.8%増の450億ドルになるとの見通しを提示。4月に中国向けに開発した半導体「H20」が輸出規制の対象となることが明確になった中でも、急成長が続くと評価された。しかもこのH20をめぐる逆風は解消されたもようだ。エヌビディアは7月中旬、トランプ政権が一転してH20の中国への輸出を認めることを確約したと公表しており、株価上昇を勢いづかせている。
このため28日のエヌビディアの決算発表では、8-10月期の業績見通しが焦点となる。5-7月期については輸出規制の影響が避けられないにしても、8-10月期についてはH20の輸出再開が好材料として反映されると期待できるためだ。ブルームバーグによると、金融市場では8-10月期の総収入は前年同期比50.6%増にあたる528.40億ドルが見込まれており、エヌビディアがこの水準を上回る見通しを示せば、株価への上昇圧力が増す可能性がある。エヌビディアの2-4月期の中国向け販売による収入は55.22億ドルで、エヌビディアは5-7月期についてはH20だけで80億ドルの売り上げを見込んでいたと説明していた。

トランプ氏との取引は悪材料か 大手ハイテクの設備投資で不安払拭のシナリオも
一方、エヌビディアの中国向け輸出をめぐっては、トランプ氏との異例のディールが悪材料と受け止められている。英米メディアはエヌビディアがH20の中国への輸出で得た売上の15%を米政府に納めることに同意したと報じ、トランプ氏も11日に記者団に対してこの内容を認めた。27日の決算会見ではエヌビディアのジェンスン・ファンCEOがディールの内容や理由、業績への影響についてどのように説明するかでも、投資家心理が揺れる可能性がありそうだ。また、ブルームバーグによると、中国政府は地元企業に対して、エヌビディアのH20の使用を避けるように促しているといい、エヌビディアが米中対立の板挟みになっている状況は続いている。
ただ、エヌビディアは中国市場で逆風にさらされたとしても、AIブームの追い風を強く受けていることに変わりはない。マイクロソフト(MSFT)など大手ハイテク各社はAIサービスの提供基盤となるクラウド事業拡充のため設備投資額を積み増しており、金融市場でのエヌビディアの成長への期待は大きい。アマゾン・コム(AMZN)、マイクロソフト、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)の2025年4-6月期の設備投資額は合計約950億ドルで、前年同期比67%増となっている。このため、27日の決算発表では中国市場をめぐる不安をAIブームへの期待が凌駕する展開も想定されそうだ。

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