エヌビディア、株価6%上昇 今四半期見通し好感 中国市場喪失痛手
エヌビディアの5-7月期の業績見通しはH20への輸出規制で80億ドル下押しされてもなお高成長を維持する内容。時間外取引で株価は上昇した。

半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が28日の取引時間終了後に行った2025年2-4月期決算発表は投資家の期待をつないだ。総収入が市場予想を上回るとともに、1株当たり利益(EPS)も中国向け半導体「H20」が輸出規制の対象になった悪影響を除けば、市場予想を超える結果。また5-7月期の見通しについても市場予想に沿った数字を示した。5-7月期は輸出規制の悪影響が総収入を80億ドル下押しするものの、旺盛な人工知能(AI)関連需要で高成長を継続するシナリオを描いた形だ。こうした中、エヌビディアの株価は時間外取引で一時、6%超値上がりした。ただ、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは28日の決算会見で、輸出規制の結果、500億ドル近くまで成長すると見込まれる中国のAI関連市場を失ったことへの危機感を表明。ドナルド・トランプ大統領の経済政策でエヌビディアの成長が足を引っ張られていることも間違いなさそうだ。
エヌビディアの2-4月期決算はH20への悪影響を除けば市場予想を超える結果
エヌビディアの2-4月期決算は、総収入が前年同期比69.2%増の440.62億ドル。調整ベースの1株当たり利益が32.4%増の0.81ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が432.85億ドル、1株当たり利益が0.93ドル。発表された実績は総収入が市場予想を超える一方で、1株当たり利益は予想を下回った形だ。ただ、エヌビディアは1株当たり利益について、輸出規制の悪影響を除けば市場予想を超える0.96ドルだったとしている。

また2-4月期の粗利益率は61.0%となり、エヌビディアが3か月前の前回決算発表で示していた71%との見通しを大きく下回った。しかし、輸出規制の悪影響を除いたベースでは71.3%だったとも説明されており、利益率の想定以上の悪化は進んでいないとみることができそうだ。

コレッタ・クレスCFOは28日の決算会見で、H20は輸出規制が適用された4月9日までに46億ドルの売り上げが出ていたが、9日以降に見込んでいた25億ドルの売り上げは実現しなかったと説明。これに伴い、在庫の減損処理などで45億ドルの損失を計上したとしている。エヌビディアはH20が輸出規制の対象になったと発表した4月15日の段階では最大約55億ドルの悪影響が出るとしていた。
5-7月期の総収入は450億ドルの見通し 輸出規制は80億ドルの下押し効果
またエヌビディアは5-7月期の総収入については450億ドルになるとの見通しを公表。5-7月期にH20で見込んでいた80億ドルの収入を失ってもなお、前年同期比で49.80%増にあたる成長を確保するとの見立てだ。直前の金融市場で見込まれていた454億ドルをわずかに下回ったものの、AI需要の拡大への期待は崩れていないといえそうだ。
ジェンスン・ファンCEOは決算会見で、AI開発向けの半導体需要が増えていると同時に、AIが学習結果に基づいてサービスを提供するための半導体の需要が「爆発的に増えている」と言及。またトランプ政権がジョー・バイデン前政権が退陣間際に打ち出した半導体輸出規制見直し案を撤回したことも業績にとっての好材料のひとつになっていると説明した。ファン氏は「AIの時代が到来した。エヌビディアの準備は整っている」と自信を示した。
エヌビディアの株価は時間外取引で6%上昇 最高値まで4%あまりの水準
こうした決算発表の内容は株式市場で好感されたようだ。ブルームバーグによると、エヌビディアの株価(NVDA)は28日の時間外取引で一時、143.17ドルまで上昇。直前の終値(134.81ドル)との比較では6.20%高の水準となった。この高値は1月6日につけた終値ベースでの最高値(149.43ドル)まで、あと4.4%程度の上昇で到達する水準だ。

ファンCEOは中国市場喪失に危機感 「500億ドル市場から締め出された」
ただ、エヌビディアの成長がH20への輸出規制で足を引っ張られたことは間違いない。ファン氏は決算会見で「500億ドル規模の中国市場から米国の産業界が事実上、締め出された」と危機感を表明。中国のAIの発展は米国製の半導体が供給されるかどうかに関わらず続くとし、「問題となるのは中国のAIがアメリカのプラットフォーム上で動くことになるかどうかだ」と述べた。中国のAI開発やサービス展開に米国企業が関わり続けることが重要だとの認識を示した形だ。
一方、エヌビディアは現状の輸出規制に適応するため、H20よりもさらに性能を抑えた半導体製品を中国に供給することも検討しているとしているが、ファン氏は「性能の制限は厳しい内容だ」として現時点では供給計画がないことも認めている。トランプ政権による規制は、エヌビディアの株価の今後の見通しにとっても足かせとして働きそうだ。
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