エヌビディア、株価急落　時間外取引で6％安　中国向け輸出規制強化

エヌビディアの株価が15日の時間外取引で急落　一時6％安

エヌビディアの株価（NVDA）は15日の時間外取引で一時、104.74ドルまで下落。15日の終値（112.20ドル）との比較では6.65％安となった。エヌビディアの株価はトランプ氏の相互関税発表の影響が強まった4日の終値で94.31ドルをつけた後、トランプ氏が相互関税の一部停止を発表した9日には114.33ドルまで値上がりしていたが、改めて下落圧力が強まったといえる。

トランプ政権が半導体の中国輸出規制を強化　エヌビディアのH20も対象に

エヌビディアの株価が急落したのは、エヌビディアの中国向け輸出が難しくなる可能性が高まったためだ。エヌビディアは15日に公表した文書で、9日にトランプ政権から、「H20」の中国への輸出には政府の認可が必要になる通告を受けたと発表。また14日には認可が必要となる期間に期限は設けられていないとも通告されたとしている。

エヌビディアは、米国政府がH20が中国のスーパーコンピューターに使われるリスクに対応する必要性を示唆したとしている。さらに2-4月期決算への影響については、H20の在庫や購入契約などに関連して最大約55億ドルの影響が出るとの見通しを示した。

H20はディープシークがAI開発で活用　米政府が警戒か

エヌビディアは最先端AIの発に不可欠な半導体で高いシェアを持ち、株価は2023年には3.4倍、2024年には2.7倍になった。一方、ジョー・バイデン政権から続いてきた中国向け半導体輸出規制は業績の不安要素で、エヌビディアは規制の対象から外れるように性能を抑えたH20を開発するなどしてきた。しかしH20は低コストで高性能AIを開発したとして脚光を浴びた中国企業「DeepSeek（ディープシーク）」のAI開発に用いられており、トランプ政権下でも規制の必要性が検討されてきた。

S&P500の先物価格も急落　日本の半導体株にも余波

こうした中、金融市場ではS&P500（SPX）に関連した先物価格も値下がりしている。ブルームバーグによると、日本時間16日午前9時台には、エヌビディアをめぐる報道が伝わる前の午前6時段階から1％近く安い水準で取引される場面もあった。

エヌビディアの時間外取引での値下がりは16日の東京株式市場での日本の半導体株の値下がりにもつながっている。米中対立が株式市場でのAIブームに急ブレーキをかける可能性が意識れており、世界の株式市場に逆風が吹く可能性もありそうだ。