日経平均、上昇基調に転機か 週次250円高 日米財務相協議が焦点に
日経平均株価は5週続伸。海外投資家の買いを背景に上昇基調が続く。ただ、3万8000円台は維持できておらず、円高進行の不安は根強い。

日経平均株価の上昇基調が転機を迎える可能性が出てきた。日経平均の16日の終値は1週間前比250.39円高で5週続伸。アメリカと中国が関税の大幅引き下げで合意したことが安心材料となり、週半ばには終値で3万8000円台を回復する場面もあった。海外投資家は前週まで6週連続で日本株を買い越しており、日経平均を下支えする効果を生んでいる。半面、日経平均は3万8000台の維持には失敗しており、米中協議の結果を受けた楽観ムードは長続きしなかった。ドル円相場では円高傾向も感じられ、日本株への逆風として意識されている。日経平均の今後の見通しをめぐっては、週明け以降の開催が見込まれる日米財務相協議や16日に発表された米国格下げの余波といった不安も山積しており、日経平均の値動きが大きくなることも考えられそうだ。
日経平均株価は週次250円高 1年2か月ぶりの5週続伸
日経平均株価(N225)の16日の終値は前日比では1.79円安の3万7753.72円。週次での上昇は5週連続で、日経平均が約34年ぶりの最高値更新を果たした2024年1月終わりから3月初めにかけて以来の記録となった。日経平均は12日に発表された米中による関税大幅引き下げ合意が好材料となり、13日には終値で3万8183.26円まで上昇。2月27日(3万8256.17円)以来の高値となった。


半導体株の値上がりの追い風となったのは、米国の商務省が13日に、ジョー・バイデン前政権が退陣間際に発表した半導体輸出規制見直し案の撤回方針を正式に発表したこと。1月13日に発表されたバイデン前政権の見直し案は日本の半導体株の下落のきっかけにもなっただけに、撤回方針は投資家にとっての安心材料になったようだ。アドバンテストの株価は1月10日につけた最高値(1万0380円)から4月22日の直近の安値(5391円)まで4989円下落していたが、5月16日終値時点でこの下落分の約38%を取り戻している。

海外投資家は6週連続で日本株を買い越し 米国株への不安が背景か
こうした日本株の好調さの背景には海外投資家の日本株買いもある。日本取引所グループ(JPX)が15日に発表した投資部門別売買状況によると、海外投資家は前週(5-9日週)、東京証券取引所と名古屋証券取引所の合算ベースで日本株を3570億円買い越し。海外投資家の買い越しは6週連続で、2024年の年明けから2月中旬にかけての7週連続以来となる。今回の海外投資家の買い越しは、ドナルド・トランプ大統領が相互関税を発表した3月31日-4月4日週から始まっており、米国経済の見通しへの不安が日本株の人気を高めている側面がありそうだ。

円高は一時144円台 日米財務相協議や米国格下げをめぐる思惑が日経平均の重荷に
一方、日経平均は15日には3万8000円台を割り込んでおり、上昇基調の変化も感じられる。また、ドル円相場(USD/JPY)は米中合意が発表された12日に1ドル=148.65円まで円安が進んだが、16日には一時、144円台まで円高に戻す場面もあった。円高は海外で稼ぐ日本企業にとっては業績を下押しする材料で、日経平均の逆風といえる。

日経平均の今後の見通しをめぐっては、やはりドル円相場の動向が注目されそうだ。加藤勝信財務相は16日の閣議後記者会見で、20-23日にカナダで開かれる主要7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて、米国のスコット・ベッセント財務長官との日米財務相協議を検討していることに改めて言及。こうした中、金融市場で「米国が日本に対して円安是正を求める」との思惑が強まれば、ドル円相場での円高圧力として働くことが考えられそうだ。また、トランプ氏の情報発信でもドル円相場が大きく動く可能性があり、日経平均が下押しされる展開も想定される。
さらに16日の米国の金融市場では格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる米国の格下げというショックも起きた。2023年8月にフィッチ・レーティングスが米国債を格下げした際には、米国の長期金利上昇が円安につながる展開が秋まで続きつつも、先行き不透明感が日経平均の足を引っ張る展開となっている。今回のムーディーズによる格下げの余波がどのような形で生じるかは不透明だが、投資家心理を冷やすことは避けられず、週明けの日経平均にも悪影響が及ぶ可能性がありそうだ。
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