米国株、上昇見通し不安 S&P500小幅高 エヌビディア3日で16%高
S&P500は14日は小幅な上昇。米中協議合意後の勢いが減速した。15日には消費や物価、雇用をめぐる経済指標が一斉に発表され、株価が動揺するおそれもある。

アメリカの株式市場の上昇見通しが揺れている。S&P500種株価指数の14日の終値は前日比0.10%高の小幅な上昇。米国と中国の関税大幅引き下げ合意後の勢いが減速した。一方、人工知能(AI)ブームを象徴する銘柄である半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は14日までの3日続伸で、合計16%高と好調。また、電気自動車(EV)大手のテスラは14日までの6連騰で合計26%高となっており、投資家の楽観が続いている様子もうかがえる。それでも株式市場のムードが定まらないのは、トランプ氏の高関税が実体経済に悪影響を及ぼす懸念が消えていないことが要因。大手ハイテク株への期待が続いたとしても、米国の景気後退懸念が強まれば、投資家不安が改めて高まる可能性がある。15日は消費や物価、雇用をめぐる経済指標が一斉に発表されることもあり、S&P500の今後の見通しにとっての悪材料になるおそれがぬぐえない。
アメリカのS&P500は0.10%高 長期金利は3か月ぶりの高水準に
S&P500(SPX)の14日の終値は5892.58。12日に発表された米中の関税大幅引き下げでの合意が好材料となり、3営業日続伸で合計4.11%高となった。しかし14日の上昇の小ささは勢いの陰りも感じさせる。ブルームバーグによると、長期金利(10年物国債利回り)の14日のニューヨーク市場での終値は4.538%で、2月18日(4.551%)以来、3か月ぶりの高水準。3か月前はS&P500が最高値(6144.15)をつけた時期にあたり、S&P500の見通しを悪くする材料として意識される可能性もありそうだ。

エヌビディアは3日続伸で16%高 半導体輸出規制見直し撤回の正式表明が追い風
一方、S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株は14日も堅調な値動きを見せた。エヌビディアの株価(NVDA)の14日の終値は前日比4.16%高の135.34ドル。3日続伸で合計16.02%高となった。1月6日の最高値(149.43ドル)から4月4日の直近の安値(94.31ドル)までの下落分の74.4%を取り戻している。ジョー・バイデン前政権が退陣間際に発表した半導体輸出規制の見直し案について、商務省が13日に撤回方針を正式発表したことが好材料となった。商務省は「将来、代替案を発表する」としているものの、輸出規制の見直しがエヌビディアの業績の新たな足かせになるとの懸念は当面は後退したといえそうだ。

テスラは6連騰で26%高 半導体株も好調な値上がり
また大手ハイテク株ではテスラの株価(TSLA)も急伸。7日からの6営業日続伸で26.27%高となっている。ブルームバーグによると、テスラのイーロン・マスクCEOはエヌビディアのジェンスン・ファンCEOらと共にドナルド・トランプ大統領の中東歴訪に参加。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子との昼食会に出席するなどしている。マスク氏とトランプ氏との距離の近さが株価上昇の背景になっているとも考えられ、投資家の株価の見通しに対する楽観を感じさせる。
エヌビディア以外の半導体株ではアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)がテスラ同様の6営業日続伸で合計19.37%高。半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も3日続伸で合計11.91%高となっている。また、S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングスの株価(ARM)も3日続伸で15.24%高と好調だ。

4月CPIでは物価上昇再燃はみられず 総合指数は市場予想を下回る伸び率
さらに米国の株式市場では、実体経済をめぐる好材料も出ている。13日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同月比2.3%で、2021年2月(1.7%)以来の低さ。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.8%で、前月から横ばいだった。総合指数はブルームバーグがまとめた市場予想(2.4%)を下回る結果、コア指数は市場予想通りの結果で、いずれも現状では、トランプ氏の高関税が物価上昇加速につながっていないことを示す結果だ。

実体経済の見通し不安は続く 4月小売売上高、卸売物価指数、失業保険統計に注目
それでもS&P500の伸びが減速した背景には、トランプ氏の高関税が米国経済に及ぼす悪影響への懸念がある。トランプ氏は依然として自動車や鉄鋼、アルミニウムに対する25%関税を維持しているほか、関税協議の合意にこぎつけた中国や英国に対しても10%の相互関税は維持している。そのうえ米国は日本や欧州連合(EU)を含む多くの貿易相手に対しては関税協議での前進を示せていない。こうした事態が長期化すれば、物価上昇や経済悪化の見通しを強めるとのおそれは残る。
このためS&P500の今後の見通しをめぐっては経済指標の重要性が増す。商務省が15日午前8時30分(日本時間15日午後9時30分)に発表する4月小売売上高で、消費の下振れが感じられた場合にはS&P500を下押しする可能性がある。ブルームバーグによると、小売売上高の伸び率は前月比0.0%、自動車と部品を除いたベースでは0.3%になると見込まれている。また小売売上高と同時刻に労働省が発表する4月の卸売物価指数(PPI)や週次の失業保険関連統計も物価や雇用の見通しを左右する経済指標だ。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長はこれらの経済指標発表の10分後に首都ワシントンで講演する予定で、経済見通しへの言及が注目される。

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