日経平均、4万8000円台目前 歴史的上昇 高市トレードに死角は?
日経平均株価は6日に2175円高。高市自民党総裁の就任はアベノミクスの再来への期待も高めるが、楽観ムード反転のおそれもつきまとう。

日経平均株価が歴史的な上昇をみせた。日経平均の6日の終値は前週末比2175.26円高の4万7944.76円。4日の自民党総裁選挙で積極財政を掲げる高市早苗氏が勝利したことが投資家ムードを一気に明るくした。上昇幅は過去4番目の大きさとなったうえ、大幅下落後の反発ではないケースとしては最高の記録ともいえ、高市氏への期待が異例の高まりをみせているといえそうだ。投資家の間ではアベノミクスの再来も想起されており、さらなる上昇も期待される。ただ、足元の長期金利(10年物国債利回り)や物価をめぐる情勢はアベノミクス当時とは大きく異なり、爆発的な値上がりの後に反動が生じるおそれがあることは否めない。日経平均の今後の見通しをめぐっては、長期金利の動向や、米国経済をめぐる悪いニュースで相場のムードが一変するリスクもありそうだ。
日経平均は2175円高で史上4番目の上げ幅 急落の反発でないケースでは過去最高
日経平均株価(N225)の6日の上昇幅(2175.26円高)は、4月10日(2894.97円高)以来、半年ぶりの大きさ。日経平均プロフィルによると、歴代でみても4番目の大きさとなる。また、6日の上昇は前週末につけた最高値からの大幅上昇という意味では異例の値上がりといえる。ブルームバーグによると、史上最高の上昇幅だった2024年8月6日の3217.04円高は、アメリカの雇用統計の悪化などを背景とした直前3日間での7643.40円安の反動、2番目の上昇幅だった2025年4月10日の2894.97円高は米国の相互関税発表を受けた連日の急落の反発だった。また3番目の上昇幅だった1990年10月2日(2676.55円高)の直前5営業日では、日経平均は3555.97円安となっていた。
日経平均をめぐっては、4日に行われた自民党総裁選挙で「責任ある積極財政」を掲げる高市氏の勝利で上昇圧力への期待が高まる一方、財政悪化への懸念が長期金利上昇という日経平均にとっての逆風を招く懸念も出ていた。しかしブルームバーグによると、日本時間6日の東京株式市場の取引時間中には長期金利の大幅な上昇は起こらず。一時、1.686%をつけて17年2か月ぶりの高値を更新したものの、投資家の警戒感は強まらなかった。逆にドル円相場(USD/JPY)は1ドル=150円台まで円安が進み、日経平均にとっての追い風になった。


アベノミクスの再来に期待 日経平均には上昇の余地か
株式市場が期待するのはアベノミクスの再来だ。2012年12月26日から2度目の政権を担った当時の安倍晋三首相は、金融緩和と財政出動、成長戦略を「三本の矢」とする経済政策の展開に着手。日経平均は2013年5月22日には1万5627.26円をつけ、第二次安倍政権発足前からの約半年で55%上昇した。
高市氏は4日の総裁選勝利後の記者会見で、日銀が物価上昇抑制を狙った利上げを行えば、需要を冷やしてしまうリスクがあることへの懸念に言及。選挙戦の最中には成長戦略の重要性を強調してきた。これに積極財政を加えれば、安倍氏と同様の経済戦略が打ち出されることになる。また、6日の日経平均の上昇は歴史的な上げ幅とはいえ、上昇率でみた4.75%高は日経平均プロフィルがまとめている歴代20位までの上昇率には入らない水準。アベノミクスの再来を想定するならば、足元の日経平均には上昇余地があるようにも映る。
アベノミクス当時とは環境の相違も 長期金利の上昇や米国経済の行方が焦点に
ただ、アベノミクス初期の長期金利は1.0%に満たない水準で、2013年4月から当時の黒田東彦日銀総裁が舵をとった大規模金融緩和が始まると下落圧力はさらに増していった。一方、現在の植田和男日銀総裁は物価上昇率の高止まりが続く中でも追加利上げに慎重姿勢を示しているとはいえ、金融緩和を進めることは念頭に置いていない。また、金融市場では高市氏の積極財政が財政悪化への懸念を強め、日本国債や円、日本株が売られるトリプル安につながるとの不安もくすぶる。ブルームバーグによると、債券市場では東京株式市場の取引終了後に長期金利が上昇し、午後4時半ごろには1.683%をつけている。

日経平均の期待先行での急上昇は期待失墜での急落につながる可能性もある。日経平均の6日の取引では午後2時48分に4万8150.04円をつけた後、4万8000円割れへとへと値を下げており、高値への警戒も浮上しているようだ。今後の金融市場で日本の長期金利の上昇がみられたり、米国経済をめぐる悪いニュースが株式市場の悲観を強めるなどすれば、楽観ムードが反転するおそれもありそうだ。
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