日経平均、5万円台維持に黄信号 週次3連騰 円高と金利高に不安
日経平均株価は3週連続上昇ながら値動きには頭打ち感もある。日銀決定会合を受けて円高と長期金利高が進めば、下落圧力が強まりそうだ。
日経平均株価の5万円台維持に黄色信号が灯っている。日経平均の12日の終値は1週間前比344.68円高で、3週連続での上昇。ただ、5万1000円台到達には至っておらず、値上がりの頭打ち感が出てきた。日経平均を牽引してきた半導体株の値動きからは人工知能(AI)ブーム継続への疑念の強さも感じられるほか、長期金利(10年物国債利回り)の上昇が株価の重荷となる構図も続いている。こうした中、週明け15日以降の金融市場では、アメリカの重要経済指標や日本銀行の金融政策決定会合を機に円高が進行する可能性もある。なかでも日銀が11か月ぶりの利上げに踏み切り、2026年の追加利上げへの期待が強まれば、円高と長期金利上昇が大きく進行する展開も想定され、日経平均に対する下落圧力が強まることも考えられそうだ。
日経平均株価は週次344円高 3週連続で週末の5万円台を維持
日経平均株価(N225)の12日の終値は前日比では687.73円高の5万0836.55円。ブルームバーグによると、米連邦準備制度理事会(FRB)の3会合連続での利上げで円高が155円台まで進んだ11日には前日比453円安となり、一時、5万円を割り込む場面もあったが、12日は米国の株価上昇を好感して値上がりした。週次での値上がりは11月24-28日週(1628.03円高)以来3週連続で、週末としての5万円台維持も以来3週連続となる。
ソフトバンクグループなどが大きく下落 AIブームの継続への不安再燃も
ただ、日経平均の値動きには頭打ち感もある。ブルームバーグによると、日経平均は12日の取引では午前中に5万1127.69円をつける場面もあったが、5万1000円の大台は維持できず。日経平均を牽引してきた半導体株では、オープンAIへの出資を進めるソフトバンクグループ(9984)が12日までの週次で7.21%安、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も週次4.95%安となっている。アメリカの株式市場では、オープンAIとの関係強化が好材料視されてきたオラクル(ORCL)やブロードコム(AVGO)の株価が大きく下落しており、AIブームの継続性への不安が再燃しつつある。
長期金利は一時1.969%まで上昇 日経平均の予想PERを抑制か
また、日本株をめぐっては長期金利の上昇という逆風も吹き続けている。ブルームバーグによると、日本の長期金利は8日に一時1.969%まで上昇し、2007年7月11日(1.970%)以来、18年5か月ぶりの高さに到達。その後も1.9%台半ばで推移している。長期金利の上昇は株式投資の魅力を相対的に低くする株安要因だ。長期金利の上昇を背景として、日経平均の水準の今後12か月の予想収益に対する比率を示す予想株価収益率(PER)はこのところ22倍台まで下がっており、高すぎる株価が許容されなくなっているとみることができる。予想株価収益率は長期金利が1.663%だった10月末には25倍台まで高まっていた。
米国経済指標や日銀決定会合で円高も 長期金利高で日経平均大幅安リスク
日経平均の今後の見通しをめぐっては、円高進行への懸念も広がりそうだ。米国の金融市場では16日に11月の雇用統計、18日に11月の消費者物価指数(CPI)が発表される予定。労働市場の弱さや物価上昇の落ち着きがみられた場合には、FRBの2026年の利下げへの期待が強まり、円高が進行する可能性がある。円高は海外で稼ぐ日本企業の業績を下押しする要因で、日経平均の値上がりの足を引っ張ることも考えられそうだ。
また、日銀は18、19日の決定会合で11か月ぶりの利上げを決めるとの見通しが強まっている。ブルームバーグによると、12日の金融市場では今回の決定会合後の政策金利の水準は0.707%と見込まれ、現状の0.50%よりも0.207%ポイント高い水準。利上げ確率は91%と見積もられている。さらに、利上げ決定に加え、植田和男総裁の記者会見が2026年の追加利上げに前向きだと受け止められれば、円高圧力がいっそう強まる可能性がある。この場合には円高だけでなく、長期金利の上昇が加速する恐れもあり、日経平均にかかる下落圧力が大きくなることが想定される。
こうした中、米国の株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が12日の取引で前日比1.07%安と急落し、週次でも3週ぶりの値下がりとなった。米国株安を受けて週明け15日の東京株式市場では日経平均に対する売りが先行する展開が考えられ、5万円台の維持は危うくなってきている。
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