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日経平均株価週間見通し(12/15週):米AI相場の懸念再び、4万9000円割れ警戒

IG証券のアナリストによる日経平均株価の週間見通し。再び調整売りに直面する米AI相場。来週の日銀会合は無難通過の予想も、日本225は4万9000円割れを警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 再び調整売りに直面する米AI相場:来週も国内AI・半導体関連銘柄の売りを警戒。米国株次第で日経平均株価は4万9000円割れも
  • 日銀会合は無難に通過か:OIS市場は9割の確率で12月の利上げを織り込んでいる。来年の利上げペースは緩慢になることが予想される。外為市場で根強い円安が続けば、日経平均株価の下支え要因に
  • 株価指数CFD「日本225」の週間予想レンジ:4万8500円〜5万1600円



日経平均株価、来週は下落警戒

今週(12月8日〜12日)の日経平均株価は0.68%高で終えた。しかし、ソフトバンクグループ(9984)やレーザーテック(6920)など値がさ株の下落が影響し、TOPIXの上昇率(1.82%)を大きく下回った。

米AI相場が再び調整売りに直面するムードが高まっている。来週も国内のAI・半導体関連銘柄の売りが続けば、日経平均株価の株価指数CFD「日本225」は、後述するチャート水準を視野に入れた下落相場を警戒したい。

日経平均株価とTOPIXの週間変動率:今年8月以降

日経平均株価とTOPIXの週間変動率:今年8月以降

ブルームバーグのデータで作成


再び調整売りに直面する米AI相場

今週の米株式市場で材料視されたのが、オラクル(ORCL)とブロードコム(AVGO)の決算だった。

オラクルの9〜11月期決算では売上高が市場予想を下回った。一方、AI設備投資は予想の1.4倍となる120億ドルに急増。2026年5月期通期の設備投資計画も9月時点の350億ドルから500億ドルに増やすと発表し、過剰投資の懸念が強まった。

ブルームバーグによれば、債務不履行(デフォルト)リスクを売買するオラクルの5年物CDS(クレジットデフォルトスワップ)は、2009年以来16年ぶりの高水準となる1.4%(140ベーシスポイント)台へ急騰した。株価は週間で12.7%急落した。

ブロードコムの8〜10月期決算では売上高180億ドル、調整後1株利益1.95ドルと、いずれも市場予想を上回った。11月〜2026年1月期の売上高は前年同期比28%増の191億ドル前後の見通しを示した。しかし、決算説明会でカーステン・スピアーズCFOが第1四半期の売上高総利益率の悪化見通しを示し、同社の株価は今週7.8%安で終えた。

両社の決算を嫌気した売りは、他の主力ハイテク株にも波及した。AMD(-3.30%)、アルファベット(-3.73%)、エヌビディア(-4.05%)、メタ(-4.33%)と軒並み下落した。ハイテク株比率の高いナスダック100も1.9%安で終え、他の指数以上に下落した状況は、米AI相場が再び調整売りに直面しつつあることを示唆している。

米主要指数とAI銘柄の変動率:12月8日~12日

米主要指数とAI銘柄の変動率:12月8日~12日

ブルームバーグのデータで作成

来週16日に、11月の米雇用統計が発表される。18日には11月の米消費者物価指数(CPI)の発表も控えている。労働市場の底堅さとインフレの根強さが示される場合は、来年の利下げペースに対する不透明感が強まろう。FOMC後の株高を考えるならば、利下げに対する不透明感は、米国株の調整売りの要因として警戒したい。また、予想を下回る米雇用統計は景気不安を意識させる要因にもなり得る。

来週以降、海外の市場関係者が次第にクリスマス休暇入りすることも考えるならば、「米国株の調整売り→日経平均株価の下落」を警戒したい。


日銀会合は無風で通過か、円相場の反応に注目

12月18日〜19日に日銀は金融政策決定会合を開く。翌日物金利スワップ(OIS)市場では90%前後の確率で利上げを織り込んでいるため、利上げが決定されてもそれ自体が日経平均株価を大きく動かす可能性は低い。日銀会合は無難に通過すると予想する。

注目は来年の利上げペースだ。一部メディアでは、半年ごとの利上げペースを予想する記事が見られる。OIS市場の動向を確認すると、12月会合で政策金利を現在の0.5%から0.75%に引き上げる場合、節目の1%到達は来年7月以降になると見ている。

来年の利上げを巡り、市場参加者は植田和男総裁の会見に注目するだろう。利上げ姿勢を維持しながらも、その是非については慎重に判断するとの見通しを示す場合は、円相場の反応に注目したい。

日銀 政策金利の予想水準:2026年1月~10月

日銀 政策金利の予想水準:2026年10月まで

ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 12月12日時点

来週の日経平均株価を下支えする要因として注目したいのが、円相場の動きだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)後に外為市場では米ドル安が進行し、ドル指数(DXY)は11月21日の高値100.39レベルから12月11日に最大2.25%下落する局面が見られた。

ドル円(USD/JPY)も先月20日に158円の手前まで上昇した後、上値の重い状況にある。しかし、対G10通貨全体のパフォーマンスを確認すると、クロス円では円安が進行している。

円相場の変動率:11月21日~12月12日

円相場の変動率:11月21日~12月12日

ブルームバーグの為替データで作成

2025年の日経平均株価とドル円のトレンドを見ると、順相関の関係にあることが分かる。特に4月のトランプ関税ショックを乗り越えた後は、日経平均株価の上昇と円安が連動している。来週の外為市場で円安が米ドル安の影響を相殺し、ドル円(USD/JPY)が高値圏の攻防を維持すれば、日経平均株価の押し上げ要因となろう。

ドル円と日経平均株価のチャート:年初来

ドル円と日経平均株価のチャート:年初来

ブルームバーグのデータで作成


日本225のチャート分析

上限(予想):5万1600円
日経平均株価の株価指数CFD「日本225」のトレンドを日足チャートで確認すると、5万1000円がレジスタンスラインとして意識されている。この水準の突破は、さらなる上値トライのサインとなろう。突破後に5万1000円がサポートラインへ転換すれば、その可能性がより高まり、12月に入りレジスタンスラインとして意識されている5万1600円を視野に上昇拡大を予想する。この水準は11月の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%戻しにあたり、テクニカルの面でも意識されやすい状況にある。5万1600円を来週の上限と予想する。

日本225が5万1600円をトライするサインとして、11月中旬の高値水準5万1300円(11/13高値)、5万1400円(11/10高値)、5万1500円(11/11〜12高値)の攻防に注目したい。

チャートポイント
・5万1600円:上限(予想)、直下に76.4%戻し(4時間足チャート)
・5万1500円:11/11~12高値
・5万1400円:11/10高値
・5万1300円:11/13高値
・5万1000円:レジスタンスライン(日足チャート)

下限(予想):4万8500円
25日線と50日線に続き、日足チャートのMACDもデッドクロスに転じつつある。来週、日本225の下落局面では、サポートラインに転換する可能性がある4万9000円割れを警戒したい。

12日のNY市場で節目の5万円を下方ブレイクする局面が見られた。現在、この水準を挟んで上に50日線、直下に25日線が推移している。5万円はテクニカルの面でサポートラインとして意識されやすい状況にあるが、来週は下方ブレイクとレジスタンス転換を警戒したい。

下落拡大で日足チャートの短期サポートラインを下方ブレイクする場合は、4時間足チャートにまとめた半値戻し(4万9567円)とフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準(4万9198円)の攻防に注目したい。後者の61.8%戻しを下方ブレイクする場合は、4万9000円のトライを意識したい。

米国株次第では、4万9000円を下方ブレイクする可能性がある。この場合は、4万8500円までの下落を警戒したい。直下の4万8489円は半値戻しにあたる(日足チャート)。この水準を来週の下限と予想する。

チャートポイント
・5万円:上に50日線、直下に25日線が推移
・4万9567円:半値戻し(4時間足チャート)
・4万9198円:61.8%戻し(4時間足チャート)
・4万9000円:サポートライン(日足チャート)
・4万8500円:下限(予想)、直下に半値戻し(日足チャート)
※移動平均線:12日時点の水準


日本225の日足チャート:今年9月以降

日本225の日足チャート:今年9月以降

TradingView提供のチャート

日本225の4時間足チャート:10月下旬以降

日本225の4時間足チャート:10月下旬以降

TradingView提供のチャート


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