日経平均、FOMCで波乱起きるか 週次237円上昇 長期金利高も逆風
日経平均は2週連続で5万円台を維持。ただ、長期金利が18年4か月ぶりの高さになるという逆風もあり、投資家心理が冷える恐れもある。
日経平均株価が底堅さをみせた。日経平均の5日の終値は1週間前比237.96円高で、週末として2週連続で5万円台を維持。株価急落で日経平均の足を引っ張ってきたソフトバンクグループが週次で5週ぶりの上昇に転じており、人工知能(AI)ブームの継続性をめぐる過度な不安は後退したといえそうだ。また、日本企業の好業績への期待の高まりも日経平均を下支えしている。ただ、日経平均には長期金利(10年物国債利回り)が18年4か月ぶりの高さになる逆風も吹きつけた。金利水準の高さは株式投資の魅力を相対的に低める要因といえ、今後の値上がりの足が引っ張られる可能性も否定できない。また、ドル円相場で円高や米国株安が進んだ場合には投資家心理が冷え込む恐れもあり、日経平均の週明け8日以降の見通しをめぐっては、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに関する思惑が波乱を呼ぶ可能性もありそうだ。
日経平均株価は週次237.96円高 米国株式市場の堅調さを好感
日経平均株価(N225)の5日の終値は前日比では536.55円安の5万0491.87円だった。週初めの1日に前週末比950.63円安の急落を記録した後はアメリカの株式市場の堅調さを好感して値上がり。4日には前日比1163.74円高となり、週次での上昇につなげた。4日終値の5万1028.42円は、11月13日(5万1281.83円)以来、3週間ぶりの高値だった。
ソフトバンクグループは週次14.62%高で5週ぶり反発 AIブーム懸念一服
個別株の値動きでは、対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIへの出資を進めるソフトバンクグループ(9984)が5日までの週次で14.62%高となって、日経平均を493円押し上げた。ブルームバーグによると、ソフトバンクグループの株価は、オープンAIが火をつけた2023年以降のAIブームの継続性への疑念が広がる中、前週(11月24-28日)まで4週連続で株価が値下がり。10月29日の最高値(2万7315円)から11月25日の1万5390円まで43.66%安となっていたが、直近の終値ではこの下落幅の約3分の1を取り戻した。
このほか、日経平均構成銘柄の中では、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も週次4.21%高。半導体検査装置のレーザーテック(6920)も週次16.10%高となっている。ソフトバンクグループとともに日経平均を牽引してきた半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は週次1.82%安となったものの、米国の株式市場で半導体株が復調していることもあり、AIブームの継続性をめぐる不安拡大は一服したといえそうだ。
日経平均構成銘柄の業績への期待が上昇 最高値時点よりも6.2%高い水準
こうした中、日本企業の業績に対する期待も高まっている。ブルームバーグによると、日経平均構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は5日段階で2192.41円で、日経平均が最高値(5万2411.34円)をつけた10月31日段階との比較で6.2%上昇している。各社の2025年7-9月期決算発表と業績見通しが好感された結果といえ、日経平均の最高値に向けた再浮上を期待させる材料といえる。
日本の長期金利は18年4か月ぶりの高さに 株価収益率は低下傾向
ただ、日経平均には金利高という逆風も強まってきた。ブルームバーグによると、日本の長期金利は5日に一時、1.946%まで上昇。2007年7月11日(1.970%)以来、18年4か月ぶりの高水準を更新した。高市早苗政権が打ち出す積極的な財政政策が日本の財政の健全性を損ねるとの懸念が国債価格の下落を招いた側面があるほか、日本銀行の植田和男総裁が1日に18、19日の金融政策決定会合で利上げを検討すると述べたことが、金利の先高観につながった。
こうした長期金利の上昇は株式投資の魅力を相対的に低めるため、株価の企業利益に対する比率を示す株価収益率(PER)を頭打ちにする要因といえる。ブルームバーグによると、日経平均の予想PERは5日段階で23.0倍。日経平均が最高値をつけた10月31日の25.4倍をピークとして下落傾向にある。予想PERの低下は割安感の強まりととらえることもできるが、この間、長期金利が1.663%から1.940%まで上がっていることを踏まえれば、高いPERが許容されなくなってきているとみることもできそうだ。
円高や米国株安が進めば日経平均には逆風 FOMCは悪材料のおそれ
また日本の長期金利上昇は円高を招く材料でもある。円高は海外で稼ぐ日本企業の業績を下押しする要因で、やはり日経平均の値上がりにとっては「天敵」といえる存在だ。ドル円相場(USD/JPY)は高市政権発足の起点となった10月4日の自民党総裁選挙前から足元までに7.85円の円安が進んでいるが、円高方向に振れた場合には、企業の業績見通しが下押しされるとの懸念が日経平均の足を引っ張る可能性がある。
このため日経平均の今後の見通しをめぐっては、ドル円相場の動向も注目されそうだ。FRBが10日に発表する政策金利や経済見通しが2026年の利下げ継続を感じさせて大きく円高が進んだ場合には、日経平均に関する投資家心理が冷え込む恐れもある。逆に、FRBの利下げペースの緩やかさが意識された場合は、円高にはつながらないものの、米国株式市場の投資家心理を冷やす恐れがあり、やはり日経平均にとっての悪材料となる筋書きも考えられる。
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