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ドル円に円高急進シナリオ 米経済指標焦点 日銀会合の情報発信は?

ドル円相場は155円台。米国の重要経済指標に加え、19日までの日銀の決定会合がきかっけとなって円高が急進する可能性がある。

ドル円相場に円高急進シナリオ 米経済指標焦点 日銀会合の情報発信は? 出所:ブルームバーグ

ドル円相場の横ばいでの値動きが続く中、円高急進のシナリオが浮上している。ドル円相場は日本時間12日の取引で1ドル=155円台で推移しており、1週間前とほぼ同じ水準。米連邦準備制度理事会(FRB)は10日に3会合連続での利下げを決めたものの、2026年の利下げ回数は1回だけとみており、円高につながる早期利下げへの期待は大きくは高まっていない。ただ、ドル円相場は11日の失業保険関連統計に円高で反応しており、FX市場がドルが売られやすい状況になっていることは確かなようだ。米国で16日と18日に発表される労働市場と物価に関する重要経済指標がFRBの利下げの確度を高めれば、円高が進む可能性がある。また、日本銀行の金融政策をめぐっては、18、19日の金融政策決定会合で利上げが決まる公算が高い。日銀が11か月ぶりの利上げを決めたうえで、植田和男総裁の記者会見が追加利上げ見通しを強める内容になれば、円高圧力が大きく強まる展開も考えられる。

ドル円相場は155円台で推移 直近1週間はほぼ横ばい

ドル円相場(USD/JPY)は12日午後3時5分段階で1ドル=155.76円で取引されている。ブルームバーグによると、ドル円相場は1週間前の5日に154台後半から155円台前半で取引されており、ほぼ横ばいの値動きが続いた形だ。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

FRBの利下げ決定は円高材料 2026年の利下げ回数は1回のみか

このところのドル円相場は米国経済の動向に左右されてきた。9日発表の10月の雇用動態調査(JOLTS)は非農業部門の求人件数が市場予想を超え、ドル円相場では一時、156.95円まで円安が進行。一方、FRBが10日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げを決めると、円高材料と受け止められ、10日には155.80円まで円高に戻した。

とはいえ、金融市場ではFRBの早期の追加利下げの見通しが大きく強まっているわけではない。ブルームバーグによると、ジェローム・パウエル議長の任期中最後の会合となる4月のFOMC後の政策金利の水準は11日時点で3.454%と見込まれており、4月までの利下げ確率は75%程度となっている。FRB自身が示した経済見通しでは、2026年の利下げ回数は1回になることが示唆されており、政策金利の水準が景気を刺激することも冷やすこともない中立金利に近づく中で、利下げの打ち止めが視野に入ってくる可能性がある。

FRBの政策金利の水準の見通しの推移のグラフ

失業保険申請件数の悪化に円高反応 16日の雇用統計や18日のCPIが焦点に

一方、ドル円相場は米国で11日に発表された週次の失業保険関連統計の悪化に円高で反応した。米労働省が発表した11月30日-12月6日週の新規失業保険申請件数は23.6万件で、前週の19.2万件から大きく増加。ブルームバーグがまとめた市場予想の22.0万件を上回った。ブルームバーグによると、円の対ドル相場は11日のニューヨーク市場の終値で0.28%の円高が進行。ユーロの対ドル相場(EUR/USD)やポンドの対ドル相場(GBP/USD)とともに、ドルに対して強くなった。失業保険申請件数の増加がFRBの追加利下げを裏付ける材料とみなされ、ドル安圧力として働いたとみられる。

アメリカの新規失業保険申請件数と失業率の推移のグラフ

こうした中、ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、米国の経済指標が焦点となりそうだ。米労働省は16日午前8時30分(日本時間16日午後10時30分)に11月の雇用統計を発表。労働市場の弱さが示された場合には円高圧力が強まることが想定される。また労働省は18日午前8時30分(日本時間18日午後10時30分)には11月の消費者物価指数(CPI)も発表する。こちらは物価上昇率の強さがみられた場合、FRBの利下げを遠のかせる円安材料となる可能性もありそうだ。

日銀は11か月ぶりの利上げが濃厚 2026年の利上げ見通しで円高急進も

また、ドル円相場は日銀が18、19日に開く決定会合後の情報発信でも大きく揺れ動くことが想定される。ブルームバーグによると、金融市場では今回の決定会合で利上げが決まる確率は94%程度と見込まれており、1月24日以来、11か月ぶりの利上げが濃厚だ。政策金利である無担保コールレートが0.25%幅で引き上げられて0.75%となれば、1995年8月以来、30年ぶりの高さとなる。前回の利上げ時は結果発表直前から植田和男総裁の記者会見までに0.80円程度の円高が進行しており、今回は反応がより大きくなることもありえる。

さらに、ドル円相場の反応は利上げ自体に加え、2026年の利上げペースに関する言及でも左右される。ブルームバーグによると、12日午後3時5分段階の金融市場では2026年6月の決定会合後の政策金利の水準は0.862%とみこまれ、19日に利上げが行われた後、2026年前半に追加利上げが行われる確率は53%程度と見込まれている。植田氏の19日の記者会見で、物価上昇の強さや賃上げ圧力の高まり、円安への警戒などが感じられれば、金融市場で日銀の利上げ見通しが強まり、ドル円相場が大きく円高に動く筋書きも考えられそうだ。

日銀の政策金利の水準の見通しの推移のグラフ

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