日経平均、5万円台から陥落も 週次小幅高 AIブームに息切れ感
日経平均は週次100円高。ソフトバンクグループなどの大幅安が足を引っ張った。米国でAIブームへの期待が後退すれば、日本株への下落圧力も増す。
日経平均株価が5万円台から陥落する恐れが出てきた。日経平均の14日の終値は1週間前比100.16円高で、前週(3-7日)の2000円を超える大幅な下落からの力強い反発は果たせず。対話型人工知能(AI)サービスChatGPTで知られるオープンAIに出資するソフトバンクグループなどの値がさ株がそろって値下がりした結果で、これまでのAIブームの反動が意識される状況だ。一方、こうした中でも日経平均が14日の終値で5万円台を維持できた背景には、日経平均構成銘柄全体の7割以上が週次で値上がりしていることがある。値上がり株は好調な業績が評価された銘柄で、日経平均の底堅さの基盤とみることができそうだ。ただ、AIブームの継続性に対する疑念はブームの発信源である米国の株式市場でも高まっており、週明け17日以降に米国株の不振が強まれば、日経平均への下落圧力がますます大きくなることは避けられない。
日経平均株価は週次100.16円高 前週の大幅安からの強い反発は果たせず
日経平均株価(N225)の14日の終値は前日比では905.30円安の5万0376.53円。13日終値では5万1281.83円まで上昇し、株価上昇期待の強さを示していたが、勢いを維持することはできなかった。週次での上昇(100.16円高)は0.20%高にあたる小幅な値上がりで、日経平均が前週に記録した2134.97円安からの大きな反発はならなかった。
AIブームを背景に急騰を続けてきたソフトバンクグループの株価は10月29日の最高値(2万7315円)の段階では2024年末比で約3倍。アドバンテストの株価も同様に、31日終値(23135円)で約2.5倍となっていた。両社の2週連続での値下がりは急激な上昇の反動が出た形といえそうだ。
ソニーグループはの鬼滅の刃の大ヒットで週次10.35%高 好業績株に資金移動か
一方、こうした中でも日経平均が5万円台を維持することができた背景には、好業績を発表した日本株への評価がある。ソニーグループ(6758)が11日に発表した7-9月期決算はアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」の世界的な大ヒットなどが貢献し、総収入と営業利益がともに市場予想を超える好決算。株価は週次で10.35%高となり、日経平均を73円押し上げた。
日経平均構成銘柄の4分の3が週次で値上がり 高市トレードの勢いは継続
このほか医療従事者向け情報サイトを手掛けるエムスリー(2413)は証券会社による目標株価引き上げが好感されて週次30.08%高、11日に業績予想を引き上げた三井金属鉱業(5706)も週次24.60%高となっている。日経平均を構成する225銘柄のうち約4分の3にあたる174銘柄が14日までの週次で値上がりしており、AI関連株から好業績株への資金移動が起きているとみることもできそうだ。
この結果、高市早苗政権への期待を背景とした高市トレードの勢いはまだ崩れていない。ブルームバーグによると、日経平均の14日の終値は高市政権発足の起点となった6週間前の自民党総裁選挙前日にあたる10月3日との比較で10.07%高。2012年12月から始まったアベノミクス相場の出足の6週間(12.21%高)に匹敵する上昇率といえる。アベノミクス相場当時の日経平均は起点となった2012年12月中旬から5月中旬までの5か月間で6割超の値上がりをみせた。
AIブームの継続性への疑念は米国でも拡大 エヌビディア決算や9月雇用統計が焦点に
ただ、AIブームの継続性への疑念は米国の株式市場でも広がっている。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価は下落傾向が出ており、割高感を修正しようとする投資家の意図も感じられる。
また、日経平均の急騰の背景となってきた海外投資家による日本株買いも節目を迎えた。日本取引所グループが13日に発表した週次の投資部門別売買状況によると、海外投資家は3-7日週、東京証券取引所と名古屋証券取引所の合計ベースで、日本株を3559億円売り越した。海外投資家の売り越しは6週ぶりで、今後の日経平均の値動きでも下落圧力として意識される可能性がある。
日経平均の週明け17日以降の値動きをめぐっては、AIブームへの懸念が株式市場で深まるかどうかが焦点だ。米国株式市場では19日の半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表と20日の9月雇用統計発表というイベントが控えており、米国で投資家心理が悪化すれば、日本の株式市場にも波及し、日経平均の5万円台維持を難しくする展開も考えられそうだ。
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