日経平均、急落リスク拡大も 週次2134円安 AIブーム巻き戻し懸念
日経平均株価は4月以来の下落幅。5万円台は維持しているもののAIブームの急失速が半導体2社の株価に下落圧力をかける恐れは大きい。
日経平均株価が急落に見舞われた。日経平均の7日の終値は1週間前比2134.97円安。直近2週間での4800円超もの値上がりの4割以上を失い、高市早苗政権誕生を好材料視する高市トレードの勢いが大きく損なわれた。日経平均を牽引してきたソフトバンクグループとアドバンテストの2社が大きく値下がりしており、人工知能(AI)ブームの巻き戻しも懸念される。一方、日経平均は週次での急落にも関わらず5万円台を維持しており、底堅さも感じさせた。高市トレードによる日経平均の上昇は2012年12月以降のアベノミクス相場を超えるペースで進んできたこともあり、足元の急落にはスピード調整という一面もありそうだ。ただ、株価の割高感は依然として強く、さらなる下落の可能性があることも否定できない。また、米国の株式市場ではAIブームの継続性への不安が広がっており、週明け10日以降の日経平均をめぐっては、さらなる急落のリスクも意識されそうだ。
日経平均株価は週次2134.97円安 相互関税発表時以来の下落幅
日経平均株価(N225)の7日の終値は前日比では607.31円安の5万0276.37円。3連休明けの4日と5日に合計約2200円の値下がりを見せた後、勢いを取り戻すことはできなかった。ブルームバーグによると、週次での下落幅(2134.97円安)は、米国のドナルド・トランプ大統領の相互関税発表で市場が揺れた3月31日-4月4日週(3339.75円安)以来の大きさ。日経平均は高市政権が発足した前々週(10月20-24日)と前週(27-31日)で合計4829.19円高を記録していたが、7日までの1週間でこの44%を失ったことになる。
週次で113銘柄が上昇 5万円台維持で底堅さも
一方、日経平均は大幅な値下がりに見舞われつつも、5万円台は維持。7日までの週次では225銘柄中の113銘柄が値上がりしており、日本株が総崩れになったわけではない。日経平均は10月31日の終値では5万2411.34円をつけ、高市トレードのきっかけとなった4週間前の自民党総裁選挙の前日(3日)との比較では14.51%高。アベノミクス相場の当初4週間を上回る異例のハイベースでの値上がりとなっていただけに、7日までの週次での大幅な値下がりはスピード調整が入った結果だともいえそうだ。
日経平均の割高感は継続 ソフトバンクグループとアドバンテストには下落余地
ただ、日経平均の割高感は依然として続いている。ブルームバーグによると、日経平均の水準と構成銘柄の今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は7日段階で24.2倍。最高値をつけた10月31日段階での25.1倍と比べれば割高感が和らいだとはいえ、依然として新型コロナウイルス禍が株価や企業収益の見通しを混乱させた2020-2021年以来の高水準だといえる。
また、日経平均の5万円超えを牽引したソフトバンクグループとアドバンテストの2社の株価にはさらなる下落の余地がありそうだ。ブルームバーグによると、アドバンテストの予想株価収益率は7日段階で51.7倍で、株式市場でのAIブームが本格化した2023年以降の平均値(36.6倍)を大きく上回っている。ソフトバンクグループに関しては10月29日の最高値(2万7315円)からの下落率が20%を超えており、「弱気相場」に入ったとみることもできる。11日には2025年7-9月期決算発表を行う予定で、投資家の期待を超える新たな好材料を示せなければ、株価に対する下押し圧力が増す可能性もある。
AIブームへの期待は米国でも急失速 週明けの日経平均の見通しに逆風か
さらにAIブームの発信地である米国の株式市場のムードにも変化が出ている。AI開発やサービス展開に不可欠な高性能半導体を供給するNVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価は7日終値で1週間前比7.08%安となり、4月以来の下落率。メタ・プラットフォームズ(META)やマイクロソフト(MSFT)は7-9月期決算での利益成長の減速が悪材料視されており、AI関連投資が利益を圧迫することへの不安が強まっている形だ。ソフトバンクグループの子会社である英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価も週次10.27%安となっている。
日経平均の5万円突破はAIブームを背景としたソフトバンクグループとアドバンテストの上昇が原動力となっており、米国株式市場でのAIブームの急失速は日本の株式市場の投資家心理も冷やしそうだ。週明け10日以降の日経平均の見通しをめぐっては、急落リスクが高まる展開も想定される。
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