日経平均、急騰に急落リスク 週次3111円高 アベノミクス超えペース
日経平均は一気に5万2000円台に到達。高市トレードの出足はアベノミクス相場を超えているが、異例の割高感は急落リスクの大きさを示している。
日経平均株価が「高市トレード」で沸騰した。10月31日の終値は1週間前比で3111.69円高となり、過去最大の値上がり幅を記録。好決算を発表した半導体検査装置のアドバンテストを筆頭に値がさ半導体株が軒並み上昇したことが爆発的な上昇につながった。日本銀行の金融政策決定会合も円安進行に火をつける結果となり、日本企業の業績への期待が高まった側面もある。日経平均は高市早苗政権誕生の起点となった約1か月前の自民党総裁選挙前から14%超上昇しており、第2次安倍晋三政権発足時のアベノミクス相場を超える出足の勢いだ。ただ、日経平均の急激な上昇が期待先行であることは否めず、足元の割高感は、2012年以降では新型コロナウイルス感染拡大期以外ではみられない異例の水準に到達した。週明け以降の金融市場では、米国発の波乱が起きる可能性もあり、急騰した日経平均は急落リスクと背中合わせともいえる。
日経平均株価は週次3111円高 終値5万2411.34円
日経平均株価(N225)の10月31日の終値は前日比では1085.73円高の5万2411.34円。週初めの27日に米中協議の進展を受けた値上がりで史上初の5万円台に乗せた後、一気に5万2000円まで駆け上がった。ブルームバーグによると、週次での上昇幅(3111.69円高)は、20円もの円高急進が底を打ったことで5週ぶりの急反発を記録した2024年8月12-16日週(3037.67円高)を超え、過去最高の週次上昇となった。
アドバンテストは週次35.45%高 業績見通し上方修正を好感
個別株の値動きをみると、アドバンテスト(6857)が31日までの週次で35.45%高となって、日経平均を1631円押し上げた。アドバンテストは28日の取引時間終了後の2025年7-9月期決算発表に際し、2026年3月通期の業績見通しを上方修正したことが好感され、翌29日に株価が前日比22.08%高と急騰した。
日経平均にはドル円相場(USD/JPY)での円安も追い風となった。ブルームバーグによると、ドル円相場の31日のニューヨーク市場での終値は1ドル=153.99円で、1週間で1.13円の円安が進んだ。日本銀行の植田和男総裁が30日の金融政策決定会合後に行った記者会見が12月利上げに慎重と受け止められたためだ。円安は海外で稼ぐ日本企業の業績を上向かせる要因で、日経平均にとっての好材料とみなされる。
4週間の高市トレードで日経平均は14.51%高 アベノミクス相場を超える出足
日経平均の爆発的な値上がりは積極財政を掲げ、日銀の利上げを牽制したこともある高市早苗政権の誕生を材料視する高市トレードが推進している。日経平均の31日の終値は、4週間前に高市氏が勝利した自民党総裁選挙の前日(3日)との比較では14.51%高にあたる。こうした勢いは2012年12月の第2次安倍晋三政権発足を材料視したアベノミクス相場を超えている。第2次安倍政権発足の起点となった第46回衆議院選挙(2012年12月16日)から4週間の日経平均の上昇率は10.93%高だった。
日経平均株価の割高感は異例の水準 予想PER25倍に
ただ、高市トレードとアベノミクス相場の間では日経平均の割高感で大きな違いがある。ブルームバーグによると、日経平均の水準と構成銘柄の今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は31日段階で25.21倍。新型コロナ禍で株価や企業の業績見通しが混乱していた2021年1月以来となる異例の高水準だ。アベノミクス相場当時の日経平均の予想PERは20倍程度で頭打ちになっていたことを踏まえれば、足元の株価の上昇が企業の予想収益が高まるペースを大きく上回る期待先行型であることが分かる。
日経平均は2024年夏には25.5%の急落も 週明けの金融市場混乱に警戒
このため日経平均の高市トレードでの値上がりには脆さがあることも否めない。特に急速に進んできた円安の巻き戻しが始まれば、企業収益への期待が縮小し、日経平均が一気に急落するシナリオも考えられる。ドル円相場は2024年7月の日本政府の為替介入とみられる値動きなどがきっかけとなって、7月3日の1ドル=161円台後半から8月5日の141円台後半まで円高が急進したこともある。この時期、日経平均は7月11日の4万2224.02円から8月5日の3万1458.42円まで25.50%値下がりした。日経平均が前回の週次3000円超高を記録したのはこの直後だ。
米国では週明け3日以降、製造業の景況感指数などの民間経済指標の発表が予定されており、ドル円相場や株式市場に波乱が起きる可能性がある。日本の株式市場では3連休明け4日以降の値動きが激しくなるリスクもありそうだ。
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