ソニーグループ、エンタメ増益予想 11日決算 半導体事業の見通しは?
ソニーグループの11日の7-9月期決算発表は映画事業の好調さがエンタメ3事業の増益につながる見通し。株価上昇が再燃する可能性がある。
ソニーグループが11日に行う2025年7-9月期決算発表は収益力の底堅さが焦点となりそうだ。ソニーグループの7-9月期決算は中心事業と位置付けるゲーム、音楽、映画のエンターテインメント3事業が減収になる見通し。9月に発売予定だった大型ゲームタイトルの発売が延期になったことが逆風となっている。一方、エンタメ3事業の中では映画事業が好調で、金融市場では3事業全体としての営業増益を確保できるとの見方が強い。ソニーグループの株価は割高感が重荷となって最高値から後退しただけに、利益面での堅調さが確認されれば、株価上昇につながる可能性がある。ただ、エンタメ3事業と並んで注目度が高い半導体事業をめぐっては、アメリカのドナルド・トランプ大統領の米国第一主義が業績見通しに悪影響を及ぼす可能性もあり、株価に逆風が吹きつける恐れもありそうだ。
ソニーグループの2025年7-9月期決算はエンタメ3事業が増益の見通し
ソニーグループは11日正午に7-9月期決算を発表。午後4時から業績説明会を開く。エンタメ3事業に関してブルームバーグがまとめた事前予想では、収入は前年同期比0.4%減の1兆8683億円、営業利益は2.7%増の2544億円となる見通しだ。また、半導体事業の収入は6.5%増の5702億円、営業利益は3.5%増の956億円と見込まれている。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は4日段階で24倍程度。前回決算発表前日の21倍程度から割高感が増している。アナリストが提示する目標株価の平均は4856円で、現状よりも13%ほど高い。31人のアナリストのうち25人は買い、6人は維持を勧めている。
ゲーム事業は減収の見通し 映画事業は「鬼滅の刃」人気で大幅増益か
ソニーグループのエンタメ3事業が減収になると見込まれている背景には、9月に予定されていた大型ゲームタイトル「Marathon(マラソン)」の発売が延期されたことがある。ブルームバーグのまとめでは、ゲーム事業の7-9月期の収入は前年同期比3.7%減の1兆0320億円となる見通し。音楽事業の収入が4.8%増の4697億円、映画事業の収入が3.0%増の3665億円と見込まれているのとは対照的だ。
一方、エンタメ3事業の7-9月期の営業利益で増益が見込まれているのは、映画事業の好調さが要因だ。映画事業では7月18日に日本国内で公開が始まったアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が大ヒット。配給を手がける東宝の公式Xの10月17日の投稿では、猗窩座再来が全世界で累計7753万人の観客を動員し、総興行収入の6億5400万ドルは2025年に公開されたすべての映画の中で5位にあたるとされている。ブルームバーグがまとめた見通しでは、映画事業の7-9月期の営業利益は前年同期比67.25億円(36.4%)増で、ゲーム事業の25.89億円の減益を補い、音楽事業の26.20億円の増益にも差をつけると予想されている。
ソニーグループの株価は10月上旬以降に失速 エンタメ3事業の増益で再加速も
こうしたエンタメ3事業の利益面での好調さは、10月上旬で頭打ちとなった株価の追い風になりそうだ。ソニーグループの株価が失速した要因には、株価の値上がりペースが利益成長への期待を大きく上回るペースにまで過熱していたという事情があるとみられるからだ。
ソニーグループの株価は前回決算発表でエンタメ3事業の好調さが評価されたうえに、高市早苗政権の誕生を好材料視する「高市トレード」の波にも乗って、10月9日には4648円まで上昇。しかしその後、11月4日までの3週間あまりの間に7.59%安と失速していた。日経平均が同じ期間中、6.00%高となり、一時は5万2000円台まで駆け上がったこととは対照的な値動きといえる。
ブルームバーグによると、ソニーグループの株価は前回決算発表からの3か月で2割上昇している一方、今後の12か月の予想1株当たり利益(EPS)の上昇率は2.44%どまり。10月9日の最高値時点での予想株価収益率は26.4倍に達しており、割高感が強まっていた。このため11日の決算発表でエンタメ3事業の収益力の強さが確認されれば、割高感を和らげる株価にとっての好材料といえそうだ。
半導体事業の見通しに影 トランプ氏の「米国第一主義」の影響は?
ただ、半導体事業についてはトランプ氏の米国第一主義を受け、ソニーのイメージセンサーをiPhone(アイフォン)のカメラに採用しているアップルが、将来的に調達先を米国テキサス州に工場を持つサムスン電子に切り替えるとの観測もくすぶっている。米国に半導体の製造拠点を持っていないソニーグループにとっては苦境が深まる可能性があり、事態の展開次第では株価に下落圧力がかかる可能性もある。
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