日経平均株価 週間見通し(12/22週):上昇か、5万1000円視野も
IG証券のアナリストによる日経平均株価の週間見通し。今週は上昇か。日本225は5万1000円のトライが焦点に。
要点
- 先週の日経平均は4週ぶりに下落したが、日経平均VIの上昇は抑制され、VIX/VIX3Mレシオは「1」以下と投資家心理は安定している
- 国内金利の上昇に注目が集まっている。株高と金利上昇の共存は潜在的な成長期待を意識した動きと考えることができる
- 株価指数CFD「日本225」の週間予想レンジは4万9200円~5万1200円
今週の日経平均は上昇か、日本225は5万1000円が焦点に
先週の日経平均株価は4週ぶりに下落した(下落率2.6%)。下げ幅は1300円超で11月17日~21日週以来(1750円安)の大きさだった。TOPIX(東証株価指数)は2週ぶりに下落した(下落率1.2%)。
日経平均株価とTOPIXの週間変動率:今年7月以降
ブルームバーグのデータ
一見すると日本株の強気相場が後退しているように見える。しかし、投資家の心理は落ち着いている。日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は30ポイント台で上昇が抑制され、11月やトランプ関税リスクが意識された4月のような動きは見られない。
日経平均VIの日足チャート:今年3月以降
ブルームバーグのデータ
米国株のボラティリティ指数も同じく落ち着いた動きだ。VIXは警戒水準の「20」を下回る14ポイント台へ低下。VXNも18ポイント台にある。
また、VIX/VIX3Mレシオが「1」を下回る現在の状況は、投資家が短期的なリスク—現在ではAI相場がさらに崩れるリスク—を強く意識していないことを示す。
VIX/VIX3Mレシオの日足チャート:年初来
ブルームバーグのデータ
※VIX3M:90日間の予想変動率
また、日経平均株価のCFD指数「日本225」でも地合いの強さがうかがえる。
日本225は18日と19日に続伸。特に19日の大陽線は今月中旬以降の下落が調整相場だった可能性を示唆している。節目の5万円と2つの移動平均線-25日線と10日線をあっさりと上方ブレイクしている状況も地合いの強さを示唆している。
19日の上昇を止めた半値戻しの水準5万336円を上方ブレイクすれば、今月上旬にレジスタンスラインとして意識された5万1000円のトライが視野に入ると予想する。
日本225の日足チャート:10月下旬以降
TradingView提供のチャート
株高と長期金利上昇の共存が示唆すること
国内市場では長期金利の上昇に注目が集まっている。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは19日の市場で節目の2%を突破し、1999年8月以来となる2.02%まで上昇する局面が見られた。
高市政権が掲げる「責任ある積極財政」の懸念が金利上昇の要因との指摘が見られる。しかし、現在の長期金利の上昇は日銀の利上げとインフレの影響が大きいと筆者は考えている。
注目すべきは、トランプ関税ショックを克服した今年5月以降、株高と金利上昇が共存している状況だ。長期金利の変動要因に潜在的な成長期待がある。株高と共存する今の金利上昇は、この点を意識していると考えられる。
日経平均株価・TOPIXと国内10年債利回りの動向:年初来
また、先週13日のIG日本株レポートで指摘したとおり、円安は日本株を下支えする要因である。日銀の利上げを受けても円安が進行した状況は、日本株にとってポジティブに影響することが予想される。今週の日経平均株価の株価指数CFD「日本225」は、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
日本225のテクニカル分析
上限予想:5万1200円
今週、日本225が上昇相場となれば、日足チャートにまとめたチャートポイントの攻防に注目したい。
19日の大陽線で一目の雲を突破し、RSIは50を超えて上昇ムードが強まっている。19日の上昇を止めた半値戻しの水準5万336円を突破すれば、今月上旬以降、レジスタンスラインとして意識されている5万900円を視野に上昇拡大を予想する。直下の水準は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%にあたる。5万900円を突破する場合は、5万1000円のトライを想定したい。
日本225が5万1000円台へ上昇する場合は、5万900円レベルと同じくレジスタンスラインとして意識されている5万1200円のトライが浮上する。この水準を今週の上限と予想する。
チャートポイント:日足チャート
・5万1200円:上限予想
・5万1000円:レジスタンスライン
・5万900円:直下の水準5万886円は61.8%戻し
・5万336円:半値戻し
下限予想:4万9200円
1時間チャートのRSIとストキャスティクスは買われ過ぎの水準にあり、短期的な相場の過熱感を示唆している。この状況でAI相場の懸念が再び強まる場合は、ソフトバンクグループ(9984)やアドバンテスト(6857)などの値がさ株の売りが日本225の下押し要因となるだろう。円安の進行で介入観測の高まりによる突発的な円高の可能性も考えるならば、日本225の下落局面では5万円割れを想定したい。
25日線の下方ブレイクは、サポートラインに転換する可能性がある4万9600円を試すサインと捉えたい。この水準も下方ブレイクすれば、同じくサポート転換を意識する4万9200円までの反落を想定したい(いずれも1時間足チャートを参照)。この水準を今週の下限と予想する。
チャートポイント:1時間足チャート
・5万円:上に10日線、直下に25日線
・4万9600円:サポート転換の可能性あり
・4万9200円:下限予想
日本225の日足チャート:10月以降
TradingView提供のチャート
日本225の1時間足チャート:12月17日以降
TradingView提供のチャート
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