日経平均、急落継続も 週次1750円安 高市トレード半分帳消し
日経平均株価は週次1750円安。値がさ半導体株の下落が響いた。金融市場では週次でのトリプル安も起きており、急落が継続するおそれがある。
日経平均株価の見通しが悪くなっている。日経平均の21日の終値は1週間前比1750.65円安の4万8625.88円。10月31日につけた最高値からは3800円近い下落となり、自民党総裁選挙後の最大上昇幅の半分超を失った。ソフトバンクグループをはじめとする人工知能(AI)関連株が大きく下落しており、好業績への期待が高まった一部の銘柄の値上がりだけでは日経平均の下落を食い止められなかった形だ。一方、日経平均にはドル円相場での円安という好材料もあるが、高市早苗政権の財政政策への不信が背景のひとつとあって投資家心理は上向かず。金融市場では円と日本国債と株が同時に売られる「トリプル安」が起きている。アメリカの株式市場では依然としてAIブームの継続性に対する疑念がくすぶっており、3連休明け25日以降も日経平均の急落が続く可能性がありそうだ。
日経平均株価は週次1750.65円安 エヌビディアの好決算を生かせず
日経平均株価(N225)の21日の終値は前日比では1198.06円安。週初めの17日から19日にかけて米国の株式市場の下落を受けた値下がりに見舞われた後、米国の半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の2025年8-10月期決算が好感された20日は1286.24円高と反発したが、21日は勢いを維持できなかった。
10月の最高値から3785円下落 高市トレードの最大上昇幅の57%を喪失
日経平均の21日の終値は10月31日につけた最高値(5万2411.34円)からは3785.46円安。株式市場での高市トレードの起点となった10月4日の自民党総裁選挙前日から最高値までの上場幅(6641.84円)の約57%を失った。自民党総裁選から足元までの上昇率は6.24%で、2012年12月を起点とするアベノミクス相場の当初7週間の上昇率(14.93%高)に大きく見劣りする水準となっている。
ドル円相場は一時、10か月ぶりの円安水準 長期金利も17年5か月ぶりの高さ
一方、日経平均にはドル円相場(USD/JPY)での円安という追い風もある。ブルームバーグによると、ドル円相場は21日のニューヨーク市場の終値で1ドル=156.41円となり、1週間で1.86円の円安が進行。日本時間21日未明には一時、157.89円をつけ、1月以来10か月ぶりの円安水準となる場面もあった。円安は海外で稼ぐ日本企業の業績を押し上げる要因といえ、日経平均の値上がりにつながる材料ともいえる。
ただ、このところの円安は高市政権の積極財政が財務の健全性を損ねるとの懸念が日本売りを招いた結果ともいえ、株式市場にとっての悪材料とみることもできそうだ。日本の長期金利(10年物国債利回り)は国債価格下落の結果として上昇基調が鮮明。ブルームバーグによると、20日には一時1.840%をつけ、2008年6月17日(1.895%)以来、17年5か月ぶりの高さとなった。こうした中、21日までの週次では長期金利上昇(国債価格下落)と日経平均の下落、円安が同時に生じるトリプル安が発生。週次でのトリプル安は参議院選挙前に与党苦戦見通しが材料視されていた7月7-11日週以来、19週ぶりだ。
日経平均はソフトバンクグループとアドバンテストに依存 期待揺らげば急落継続も
日経平均の2025年に入ってからの急騰はアドバンテストとソフトバンクグループの上昇に依存する部分が大きい。21日段階の日経平均の2024年末比8731.34円の上昇のうち、2469円はアドバンテスト、1613円はソフトバンクグループの上昇による貢献だ。ブルームバーグによると、このうちアドバンテストは株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)が46.6倍という高さで、2023年以降の平均値(36.7倍)を大きく超える割高感が消えていない。またソフトバンクグループは出資先のオープンAIの収益性への不安が強まれば、株価の高さの裏付けを失う恐れがある。
米国の株式市場ではAIブームの継続性に対する不安がくすぶり続けており、投資家心理は暗いまま。3連休明け25日以降の日経平均の値動きをめぐっては、アドバンテストやソフトバンクグループへの期待がさらに冷え込めば、急落が続くおそれもありそうだ。
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