エヌビディア、株価一時6%超上昇 成長加速見通し 最高値に再挑戦
エヌビディアの8-10月期決算発表は投資家の期待に応える内容。時間外取引で株価は上昇した。一方、生産能力の確保といった課題も浮上する。
半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が19日の取引時間終了後に行った2025年8-10月期決算発表は投資家の期待に応えられた。8-10月期の実績に加え、11月-2026年1月期の見通しでも市場予想を上回り、人工知能(AI)ブームの勢いの強さを感じさせた。エヌビディアの業績をめぐっては、AI用半導体の中国向け輸出の停止やライバルとの競合といった逆風もあるが、ジェンスン・ファンCEOは19日の決算会見で高成長への自信をみせている。19日の時間外取引ではエヌビディアの株価が一時6%超値上がりし、今後は最高値更新を見据えた値動きも考えられそうだ。ただ、急成長を続けるエヌビディアは生産能力の確保という課題にも直面しており、思惑通りの成長シナリオを実現できるかには不確実性も伴う。
エヌビディアの8-10月期は予想を超える好決算 今四半期の見通しも強気
エヌビディアの8-10月期決算は総収入が前年同期比62.5%増の570.06億ドルで、前四半期(5-7月期)の55.6%増から成長が加速した。また調整ベースの1株当たり利益(EPS)は60.5%増の1.30ドルで、やはり前四半期(54.4%)から伸び率が大きくなっている。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が551.88億ドル、1株当たり利益が1.26ドル。発表された実績はいずれも予想を上回る好決算だった。
またエヌビディアは11-1月期の総収入について、前年同期比65.3%増の650億ドルになるとの見通しを提示。やはりブルームバーグがまとめた市場予想の620億ドル程度を上回った。対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIや、AI開発やサービス展開の拠点となるクラウド事業の拡充を進めるマイクロソフト(MSFT)など大手ハイテク各社の積極投資が追い風となっている。
中国市場は63.5%減 ファンCEOはエヌビディア製品の優位性に自信
この業績見通しについて、コレッタ・クレスCFOは19日の決算会見で、輸出再開の見通しがついていない中国向けのAI用半導体による収入は含まれていないとした。エヌビディアが19日に米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、中国に本社機能を持つ顧客から得られた収入は8-10月期で前年同期比63.5%減の29.73億ドル。総収入の5.2%に留まり、前年同期の23.2%から大きく低下した。中国という巨大市場を失ったにも関わらず、エヌビディアが高い成長を見込んでいることはやはり、AIブームの勢いの現れだといえる。エヌビディアは8-10月期から総収入を地域別に分ける際の基準を変更した。
一方、急成長するAI向け半導体市場ではアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)などとの競合関係が強まってきているが、エヌビディアの成長見通しは揺らいでいないようだ。ファン氏は決算会見でエヌビディアの半導体はAI開発からサービス展開まであらゆるニーズに強みを発揮できると強調。電力当たりの処理能力の高さは「世代を重ねる度に非常に優れたものになっていくだろう」とし、競合製品に対する優位性に改めて自信をみせた。
エヌビディアの株価は時間外取引で一時6.29%高 AIバブル懸念を否定
中国市場の喪失や競合激化を跳ね返したエヌビディアの強気な業績見通しを受け、エヌビディアの株価(NVDA)は19日の時間外取引で上昇。ブルームバーグによると、一時、198.26ドルをつけ、直前の終値(186.52ドル)から6.29%高となった。10月29日につけた終値ベースでの最高値(207.04ドル)からは4.24%安の水準だ。ファン氏は決算会見で株式市場で「AIバブル」が口にされていることに言及しつつ、AI産業の中核を担うエヌビディアの立場からは「まったく異なる景色がみえている」とした。
供給能力確保に課題 投資家不安で上値が重くなる可能性も
ただ、エヌビディアの急成長には新たな障壁も立ちはだかる。急拡大する需要に応えるためには生産能力の確保が不可欠。半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)や、エヌビディア製品を他社のメモリ半導体などと組み合わせてデータセンターなどで用いられる製品の形に組み上げる工程までを巻き込んだ、巨大な供給網の確立が求められる。ファン氏はエヌビディアのサプライチェーンは「基本的に世界のすべてのテクノロジー企業が関わっている」と指摘。大きな飛躍の年に向けて計画を立てているところだとしつつも、「簡単な仕事であるはずがない」とも述べている。
また、エヌビディアの顧客企業であるマイクロソフトなどの大手ハイテク各社は設備投資負担の大きさが嫌気されて、株価に下落圧力がかかっている。AIブームの継続性をめぐる投資家の不安が今後もくすぶり続ける可能性も否定できず、エヌビディアの株価の上値を重くすることも考えられそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。