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ドル円、円高進行152円台 高市円安進まず 投機筋の円買い進むか?

ドル円相場は衆院選前から5円の円高が進行。投機筋が円買いを加速させれば、4月以降の円安が巻き戻される可能性もある。

ドル円、円高進行152円台 高市円安進まず 投機筋の円買い進むか? 出所:ブルームバーグ

ドル円相場が円高方向に大きく振れた。ドル円相場は日本時間13日昼の取引で1ドル=152円台を記録。8日の衆議院選挙で自民党が大勝した後も、高市早苗首相の積極財政を材料視した円安は進まなかった。高市氏が衆院選後、食料品の消費税率をゼロにする公約について慎重に検討する考えを表明したことが材料視されたようだ。また、アメリカ経済をめぐっては労働市場悪化の懸念を背景に長期金利(10年物国債利回り)が低下しており、日米の金利差は約4年ぶりの小ささまで縮小。今後、投機筋が円買いへのシフトを進めていけば、2025年4月以降に進んだ約20円の円安の巻き戻しが進む展開も想定される。ただ、米国の労働市場には強さを示すデータも出ており、投資家心理は定まりきっていない。米国で13日に発表される1月消費者物価指数(CPI)がドル円相場の円高傾向にブレーキをかけることも考えられそうだ。

ドル円相場は152円台前半を記録 衆院選前から5円の円高が進行

ドル円相場(USD/JPY)は日本時間13日午後3時7分段階で1ドル=153.33円で取引されている。ブルームバーグによると、ドル円相場は12日午前12時台には152.27円をつけ、衆院選前の6日につけていた157円台前半から5円の円高が進んだ。13日未明にも152.37円台をつけている。衆院選での自民党が定数の68%を獲得するという大勝利は、高市氏の積極財政を材料視する「高市円安」を進める可能性もあったが、実際には円高に振れたことになる。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

高市首相が金融市場への配慮に言及 赤字国債に頼らない消費減税を検討

高市円安が不発に終わった背景には、高市氏が衆院選後、金融市場への配慮に言及したことがありそうだ。高市氏は9日の記者会見で自民党が選挙中に掲げた食料品の消費税率ゼロに向けた検討を加速させるという公約について、2年間に限定したうえで赤字国債に頼らない形での実施を目指すことを強調。実施時期や財源、金利や為替など金融市場への影響を例に挙げながら「検討すべき諸課題がある」とも述べ、高市氏の政権運営が日本の財政を悪化させるとの懸念の払拭に努めた。

こうした中、円はドル以外の通貨との比較でも強さをみせた。ブルームバーグによると、円の対ドル相場の12日のニューヨーク市場での終値は衆院選前6日終値との比較で2.93%の円高。同じ期間のユーロの対ドル相場(EUR/USD)が0.47%のユーロ高、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)が0.08%のポンド高に留まっていることと比べ、円の強さが際立っている。このほか、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)も1.10%の豪ドル高で、やはり円の勢いには見劣りする。

円、豪ドル、ユーロ、ポンドの対ドル相場の推移のグラフ

日米の長期金利差は約4年ぶりの小ささ 投機筋は円買いに転じるか?

また、円高の要因には米国の長期金利の低下もありそうだ。ブルームバーグによると、米国の長期金利の12日の終値は4.100%で、12月4日(4.099%)以来、約2カ月ぶりの低水準。この結果、日米の長期金利の差は12日に1.868%ポイントとなり、2022年3月11日(1.813%ポイント)以来の小ささとなった。米国の長期金利は12月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が5年3カ月ぶりの少なさだったことが確認された5日、前日よりも0.095%ポイント低い4.181%まで低下しており、労働市場の悪化が米国の金利の先安観につながった印象だ。

日米の長期金利差とドル円相場の推移のグラフ

日本の財政悪化懸念の後退と、米国経済への不安の強まりが材料視されれば、投機筋が円買いに舵を切る可能性もある。米商品先物取引協会(CFTC)のデータによると、非商業部門は2月3日段階で円を1万9222枚売り越しており、4月29日段階での17万9212枚の買い越しから、一貫して円買いのポジションを縮小させてきた。こうした投機筋の動向が逆回転を始めれば、4月22日につけた139.89円から1月14日の159.45円まで19.56円進んだ円安が、巻き戻される筋書きも考えられる。

投機筋の円買い越し幅とドル円相場の推移のグラフ

米国の労働市場への評価は定まらず 13日の1月CPIが焦点に

ただ、米国の労働市場が悪化しているとの評価は定まりきっているわけではない。11日に発表された1月雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比13.0万人増となり、市場予想を大きく上回る結果。失業率も4.3%となり、前月の4.4%から改善している。逆に12日に発表された失業保険関連統計では、1-7日週の新規失業保険の申請件数が22.7万件となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の22.3万件を上回った。

アメリカの新規失業保険申請件数と失業率の推移のグラフ

米国経済の見通しが不透明となる中、ドル円相場では13日午前8時30分(日本時間13日午後10時30分)に発表される米国の1月CPIが投資家心理を揺らす可能性がある。市場予想通りに物価上昇の減速が確認された場合には、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを進めやすくなったとの思惑が円高材料として働く可能性がある。一方、物価上昇の根強さが確認された場合には円安要因ととらえられそうだ。ドル円相場で高市氏の経済政策への注目が薄れる中、米国経済の実態を占う経済指標がドル円相場を動かす度合いが大きくなっているともいえそうだ。


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