S&P500は週次1.43%安で4週ぶり下落。金利高が悪材料となった。週明けはイラン関連制裁やエヌビディア決算の発表が波乱要因だ。
アメリカの株式市場で緊張感が高まっている。S&P500種株価指数の21日の終値は1週間前比1.43%安で、4週ぶりの値下がり。前週までの最高値更新の勢いが途絶えた。米国での金利上昇が悪材料視された結果、大手ハテイク株が不振に見舞われ、半導体株にも影響が及んでいる。なかでも半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は6営業日続落となって、下落が止まらない。一方、株式市場が値下がりに苦しむ中でも米国企業の業績への期待は上向いており、26日に行われるエヌビディアの2026年5-7月期決算発表はこうした好材料を勢いづかせる可能性がある。ただ、エヌビディアの株価が上昇するためにクリアせねばならないハードルは高く、週明け24日以降の取引では警戒感が出そうだ。また24日に発表される米国によるイラン経済の孤立化を狙った経済制裁の具体策も波乱要因といえ、S&P500が急落に見舞われるリスクがある。
S&P500(SPX)の21日の終値は前日比では0.43%高の7674.37。週次での下落(1.43%安)は、アルファベット(GOOGL)などの4-6月期決算発表で人工知能(AI)ブームの継続性への不安が膨らんだ7月20-24日週(0.61%安)以来、4週ぶりだ。ブルームバーグによると、S&P500は8月13日につけた7798.99が8月に入ってから3度目の最高値更新となっていたが、記録更新の勢いが途絶えた。21日終値は最高値比で1.60%安だ。
S&P500にとって悪材料となったのは債券市場での米国債利回りの上昇だ。ブルームバーグによると、30年物米国債利回りは17日終値で5.306%となり、19年2カ月ぶりの高水準を記録。米財務省が19日に米国債の買い戻しの規模を2倍以上に引き上げると発表したことで、30年物国債の利回りは5.191%まで低下したものの、21日終値では5.271%まで高まっている。ホルムズ海峡封鎖の長期化による原油価格の上昇が金利の先高観につながっている形だ。金利高は株式投資の相対的な魅力を低くする株式市場全体にとっての重荷といえる。
同時に、米国の金利上昇は人工知能(AI)サービス拡充のために社債発行による資金調達を繰り返している大手ハイテク各社の業績にとっての悪材料といえる。S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の21日までの週次の取引では、メタ・プラットフォームズ(META)の株価が週次6.77%安となるなど、5社の株価が値下がりした。各社に最先端半導体を供給しているエヌビディアの株価(NVDA)も週次4.64%安という不振で、21日まで6営業日続落。2022年8月26日から9月6日にかけての7営業日続落以来の悪い記録となった。
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一方、株式市場の不調とは裏腹に、米国企業の業績への期待は上向き続けている。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は21日段階のデータで362ドル程度。S&P500が最高値をつけた8月13日との比較で0.2%程度増えている。S&P500の予想1株当たり利益は2024年以降、エヌビディアの決算発表のタイミングで大きく上昇しており、26日に行われるエヌビディアの5-7月期決算発表も株式市場にとっての好材料となる可能性がある。ブルームバーグによると、エヌビディアが決算発表に際して示す8-10月期の業績見通しをめぐっては、総収入が前年同期比83%増、1株当たり利益が81%増になると予想されている。
ただ、2023年以降のAIブームを象徴する銘柄であるエヌビディアの株価は、市場予想を大幅に超える圧倒的な成長見通しが示されなければ、下落基調に転じる可能性がある。このため週明け24日以降のS&P500の値動きは、エヌビディア決算への警戒感から上値が重くなる展開も考えられそうだ。S&P500はエヌビディアの2-4月期決算発表に際しては、発表前日の5月19日まで3営業日続落となっていた。
また週明け24日にはイラン情勢の悪化がS&P500にとっての逆風となる可能性がある。スコット・ベッセント財務長官が20日、CNBCでのインタビューで24日にイラン関連の経済制裁の具体策について記者会見する考えを明かしているからだ。ベッセント氏は20日のSNSのXへの投稿では、イランとの関係を続けている国は経済の崩壊を早めることになるとし、その関係が意図的に築かれたものか、わざと黙認されてきたものかは問わないとした。ドナルド・トランプ大統領は19日、イランを経済的に孤立させるため「最も強力な経済作戦」を発表すると表明していた。
こうした米国が打ち出すイラン関連の経済制裁が、イランからの原油輸入を続けている中国経済への打撃や、米中関係の悪化につながると受け止められた場合には、投資家心理が大きく悪化する可能性がある。また、ホルムズ海峡封鎖長期化の懸念が原油高につながった場合も、米国の金利の先高観を強める悪材料として受け止められるとみられ、S&P500の今後の見通しに潜んできた急落リスクが、週明けに一気に表面化する恐れがありそうだ。
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