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米国株、エヌビディア決算を警戒 S&P500反落 半導体株が相次ぎ急落

S&P500は2営業日ぶり反落の0.28%安。エヌビディアなどの半導体株が急落した。米国のイラン関連の経済制裁は今後も進展がありそうだ。

Source:ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

アメリカの株式市場に波乱の可能性が続いている。S&P500種株価指数の24日の終値は前週末比0.28%安で2営業日ぶり反落。26日に2026年5-7月期決算発表を行うNVIDIA(エヌビディア)が7営業日続落となるなど、半導体株の急落が相次いだ。エヌビディアの決算発表への期待の高さは、ありきたりな好業績であれば投資家の失望を招く可能性を示しており、警戒感が高まっているようだ。一方、米財務省が24日に発表したイラン関連の経済制裁は全容が不透明なままで、金融市場への影響は限定的だった。24日の取引では原油価格が下落したほか、大手ハイテク株の多くは値上がりしている。ただ、ドナルド・トランプ政権はイランとの経済関係を継続している国に対してイラン経済孤立化への協力を要請しており、イラン産原油を輸入している中国との関係悪化が意識されれば株式市場は動揺しそうだ。また26日に発表される物価関連の経済指標も投資家心理を揺らす可能性があり、S&P500の今後の見通しをめぐっては急落リスクと背中合わせでの値動きが想定される。

S&P500は2営業日ぶり反落 前週の不振が継続

S&P500(SPX)の24日の終値は7652.86。前週末比0.28%安は2営業日ぶりの値下がりだった。ブルームバーグによると、S&P500は前週(17-21日)に週次1.43%安となって、4週ぶりの下落を記録しており、週明けの取引でも不振が続いた形だ。24日の終値は13日の最高値(7798.99)からは1.87%安にあたる。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアは7営業日続落 決算発表前に他の半導体株も急落

S&P500の下落要因は半導体株の急落だ。エヌビディアの株価(NVDA)の24日の終値は前週末比2.91%安で7営業日続落。2022年8月26日から9月6日にかけての記録に並ぶ、4年ぶりの悪い値動きとなった。24日の下落率は7月29日(3.55%安)以来の大きさで、7営業日続落の間では合計7.47%安となっている。24日の取引では、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)も3営業日ぶり反落の3.49%安。半導体の名門企業のインテル(INTC)は5営業日続落の3.12%安、ブロードコム(AVGO)も2.63%安となっている。

エヌビディア、AMD、インテル、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

半導体株の相次ぐ値下がりは26日の取引時間終了後に行われるエヌビディアの決算発表への警戒があるとみられる。エヌビディアは5-7月期の高成長が確実視される中、投資家の注目は8-10月期の業績見通しに向かっている。ブルームバーグによると、アナリストの間では8-10月期の総収入が前年同期比96.7%増の1121.49億ドルに達するとも予想されており、エヌビディアが投資家を満足させるためのハードルは高い。このためS&P500には25日と26日にも下落圧力がかかる展開が考えられそうだ。

イラン関連経済制裁の全容は明確にならず 原油価格は下落

一方、米財務省が24日に発表したイラン関連の経済制裁は全容が定かではない。米財務省はイランの体制と革命防衛隊の生命線を断つとして、経済政策の新たな枠組みを公表。イランとの間での仮想通貨による送金や軍事開発に必要な技術の供与、金による資産保全、航空、海運に関わった個人や団体を標的にするとし、約60の組織や個人、船舶を経済制裁の対象に加えたとした。しかしスコット・ベッセント財務長官は記者会見で、イラン産原油を輸入している中国の金融機関への経済制裁の有無について問われた際、「すべての国」が経済制裁の対象になりえると述べるにとどめた。S&P500を急落させる可能性があった米中関係の悪化は現段階では明確にならなかったといえる。

こうした中、24日の金融市場では米国とイランをめぐる緊張は大きくは高まらず、原油価格が下落。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(10月渡し、WTI原油)は前週末比2.35%安の1バレル=85.01ドルとなった。

WTIの価格の推移のグラフ

マグニフィセント・セブンは5社が値上がり メタは1.66%高

また、24日の取引ではS&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社のうち、エヌビディアとテスラ(TSLA)を除く5社の株価が値上がりした。メタ・プラットフォームズ(META)は前週末比1.66%高で、2営業日続伸。アマゾン・コム(AMZN)は1.33%高で、3営業日ぶりに反発した。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

米中関係にくすぶる火種 FRBの利上げをめぐる思惑も波乱要因に

ただ、米国はこれからイラン関連の経済制裁の強化を打ち出す可能性がある。ベッセント氏は24日の記者会見で、イランとの経済関係を維持している国に対して「悪い行動を改める機会を与えている」と言及。トランプ大統領は各国の首脳に電話をかけるなどして、イランとの関係を断つように「具体的な要請」を行ったという。ベッセント氏は各国の対応に期限を設けているわけではないとしつつも、永遠に対応を待ち続けるわけではないとして、米国の要請に応じない国には経済制裁を課す考えを示唆した。今後、トランプ政権からの情報発信で米中関係悪化の可能性が感じられれば、S&P500への下落圧力が強まることになりそうだ。

またS&P500の見通しをめぐっては、26日に発表される7月の個人消費支出(PCE)物価指数も焦点のひとつ。ブルームバーグによると、総合指数の伸び率は前年同月比3.6%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.3%と予想されている。発表される結果が予想を上回った場合には、物価上昇の過熱感が米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの現実味を高め、S&P500が下落で反応する可能性がある。

米国のPCE物価指数の伸び率の推移のグラフ

FRBの金融政策をめぐっては、ケビン・ウォーシュ議長が28日午前10時(日本時間28日午後11時)から、毎夏恒例のワイオミング州ジャクソン・ホールでの経済イベントで講演するという予定も控えている。エヌビディアの決算発表、米国とイラン、中国をめぐる国際関係、米国の物価動向とFRBの金融政策は、いずれも投資家心理を大きく揺るがす要因なだけに、S&P500の値動きは数多くの急落リスクを抱えているといえそうだ。

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