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ドル円、高市円安に根強さ 再び159円台 週明けに円安加速の可能性も

ドル円相場は159円前後で推移。米国の金利低下で進んだ円高は長続きしなかった。消費税減税に向かう高市政権の動向や原油高が円安要因だ。

Source: adobe

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小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

ドル円相場で円安基調が続いている。ドル円相場は日本時間21日昼の取引で1ドル=159円前後で推移。前日夜まで158円台前半の円高水準で推移した後、改めて円安に転じた。ドル円相場で一時的に円高が進んだ要因は、アメリカの財務省が米国債の買い戻し増額を発表し、米国の金利を低下させたこと。半面、この円高が長続きしなかったことは、高市早苗政権の経済政策を材料視した円安の根強さを示しているといえそうだ。一方、日本経済をめぐっては21日発表の7月の消費者物価指数(CPI)が物価上昇の加速を示し、日本銀行の利上げ見通しを裏付けるという円高材料が浮上した。ただ、ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、高市政権が消費税減税へと歩みを進める中、円安圧力が強まる展開が想定される。また、イラン情勢悪化に伴う原油価格上昇も円安要因といえ、週明け24日のドナルド・トランプ政権の情報発信で円安が加速する可能性もある。

ドル円相場は159円前後で推移 158円台前半から円安に戻す

ドル円相場(USD/JPY)は日本時間21日午後1時17分段階で1ドル=158.98円で取引されている。ブルームバーグによると、午前4時台には159.18円を付ける場面もあった。ドル円相場は20日午前7時台に158.03円をつけ、10日以来、約1週間半ぶりの円高水準を記録。その後、20日夜までは158円台前半で取引されていたが、次第に円安方向に戻す値動きとなっている。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

高市円安の効果に強さ 米国の金利低下による円高を凌駕

ドル円相場で158円台前半まで円高が進んだ要因は米国の金利低下だ。米財務省は19日、すでに予定されていた10年-30年物の米国債の買い戻しの規模を少なくとも2倍に引き上げると発表。17日に30年物米国債の利回りが19年2カ月ぶりの高水準となっていたことから、金融市場では米財務省が米国債買いを増やすことで金利上昇を抑え込もうとしていると受け止められ、米国債利回りが低下した。この結果、19日のFX市場ではドル安が進行。ブルームバーグによると、19日のニューヨーク市場の終値では、円の対ドル相場が前日比0.91%の円高となったほか、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)が0.87%のユーロ高、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)が0.55%のポンド高、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)が0.52%の豪ドル高となった。

円、ポンド、豪ドル、ユーロの対ドル相場の推移のグラフ

半面、翌20日の値動きでは、円の弱さが際立った。円の対ドル相場の20日のニューヨーク市場の終値は前日比0.55%の円安となり、ポンドやユーロがドルに対してわずかながらも強くなり、豪ドルの対ドル相場も0.15%の豪ドル安に留まったことと対照的な値動きとなった。ドル円相場は7月下旬の日米両政府による円買い介入を経て、他の主要通貨通貨に比べて大幅に強くなったが、高市政権の積極財政路線による円安効果は大きく、為替介入の効果は薄れてきたといえそうだ。

日本の7月CPIで物価上昇加速 日銀の見立て通りの物価動向か

一方、日本経済をめぐっては円高材料も浮上した。総務省が21日に発表した7月CPIで、総合指数から生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数の伸び率が前年同月比1.9%となり、前月の1.7%よりも高くなったためだ。コアコア指数の伸び率が前月よりも大きくなるのは2025年10月以来、9か月ぶり。このほか、総合指数の伸び率(1.9%)、生鮮食品を除いたコア指数の伸び率(1.8%)も前月より高くなっている。総務省は今回のCPIから基準時を2025年に変更し、新基準に基づいた指数を過去の期間を含めて公表している。

日本の消費者物価指数の伸び率の推移のグラフ

日銀は7月31日までのの金融政策決定会合に際して公表した経済見通しで、コア指数の伸び率について、「2026年度後半以降、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想される」としていた。7月CPIで日銀の見立てが実現する可能性を示す物価動向が示されたことは、日銀の利上げの確度を高める円高要因といえる。

日本の予想インフレ率が2%超え 日銀の9月利上げ確率は82%

また、物価上昇が加速していく可能性は金融市場における予想インフレ率の動向からもみてとれる。ブルームバーグによると、長期金利(10年物国債利回り)から10年物の物価連動国債の利回りを引いたブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は12日以降、2%を超える水準で推移しており、7月15日段階での1.905%からの上昇基調が続いている。BEIはイラン戦争を要因として原油高が進んでいた5月19日に2.328%まで高まった後、28日の米国とイランの停戦合意延長を機に低下傾向となっていた。

日本の予想インフレ率の推移のグラフ

このため金融市場では日銀の9月利上げが有力視される状況が続いている。ブルームバーグによると、日本時間21日午後1時17分の金融市場で見込まれている9月17、18日の決定会合後の政策金利の水準は1.183%で、現状よりも0.183%ポイント高い水準。9月利上げ確率は82%まで上がってきた。

日銀の政策金利の見通しの推移のグラフ

消費税減税に向かう高市政権 週明けはイラン情勢で円安加速も 

ただ、ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、高市政権の経済政策に関連した情報発信で円安が進む可能性がある。高市政権は9月中旬に飲食料品の消費税率を1%に引き下げることを含めた税制改正大綱を閣議決定した後、内閣改造人事を行うとみられており、積極財政への前向きな姿勢が感じられれば円安が加速しそうだ。

さらにドル円相場では、イラン情勢悪化に伴う原油高が円安材料とみなされることも考えられる。ドナルド・トランプ大統領は19日、イランに対する経済制裁による圧力を強める考えを公表し、原油価格を上昇させた。スコット・ベッセント財務長官は20日、CNBCのインタビューで、イランへの経済制裁の具体策について24日に記者会見を開くとしており、米国内の物価上昇圧力が高まるとの見方が米国の金利高につながり、ドル円相場で円安が進む展開も考えられる。

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